マリー・ミー (2021):映画短評
マリー・ミー (2021)ライター3人の平均評価: 3.3
歩み寄りに説得力を宿す、正しいロマコメ
セレブ女性と一般人男性の、ありえないロマンス。そんな設定の説得力はもちろん、立場を超えた心温まる交流や、分不相応の意識など、多くの点で『ノッティングヒルの恋人』を連想させる。
地道なシングルファーザーの男性は平穏から一歩踏み出そうとし、ひとりで生活できないセレブ女性は自立へ踏み出す。それが歩み寄りとなって表現される点が、ロマコメとしての高い完成度につながる。
この手の映画はどうしても男性目線で見てしまうのでO・ウィルソンに肩入れしたが、セレブイメージの強いJ・ロペスの柔軟キャラもツボ。過去ラブコメに挑戦してはビミョーだった彼女だが、躍動的なライブパフォーマンスを含めて魅力が映えた。
ジェニファーの魅力、見せ場たっぷり
原作はグラフィックノベル。実際、昔の少女漫画の男女を入れ替えたような設定で、「さすがにありえない」と各スタジオから拒否されたとのこと。しかしプロデューサーのゴールドスミス=トーマスは、長い付き合いであるJ-Loに最高だと信じ、実現に持っていった。そんな今作は彼女の魅力の見せ場だらけ。映画の中で歌うことを夢見てきたJ-Loだが、今作にはライブコンサートシーンも、レコーディングシーンもあり。歌は書き下ろしで、ファッションも華やか。目と耳に楽しく、ストーリーも許せてしまう。婚約者を演じるマルーマが24歳も下というのも普通なら無理があるが、17歳下と交際したことがあるJ-Loなら、まあ、ありか。
ジェニロペの素顔と重ねずにはいられず。王道的ラブコメの爽快
ベン・アフレックとの復縁が話題のこの時期に、恋人の浮気発覚でコンサートの客に思いつきでプロポーズするポップスター役というのは、ジェニファー・ロペス、強運か、計算か…と本人をダブらせながら観るのも、これまた映画の醍醐味。
『ローマの休日』などを源流とする身分違いのラブストーリーなので、ある程度、展開は読めている。とりあえずの偽装結婚が本気の恋へ変化するプロセスも、相手役オーウェン・ウィルソンの朴訥マイペースぶりが、こちらも全開でハマってるので、安心して流れに身を任せられるかと。ちやほやされてきたスターが、自力で何でもやろうとする奮闘など“お約束”の楽しさに、久々にラブコメの王道を満喫できるはず。