恋するプリテンダー (2023):映画短評
恋するプリテンダー (2023)ライター3人の平均評価: 3
『ピーターラビット』監督が原点回帰!?
「緋文字」を元に脚色した『小悪魔はなぜモテる?!』で、エマ・ストーンをブレイクさせ、注目を浴びたウィル・グラック監督が、今度はシェイクスピアの『空騒ぎ』を元に脚色。そう考えると、モノ足りなさが目立つが、とにかくよく脱ぐグレン・パウエルと下ネタもいとわないコメディエンヌとして開花したシドニー・スウィーニー。2人の魅力を堪能するラブコメであり、オーストラリア観光映画としての見せ場など、いろんな意味で王道な作り。そんななか、両家の親にブライアン・ブラウンとダーモット・マローニーを配し、この12年間に『ピーターラビット』シリーズを手掛けた監督ならではのキャラクター捌きは興味深い。
このヒットが劇場用ロマコメの復活を助ければ良いが
グレン・パウエルとシドニー・スウィーニーという今最も勢いに乗っているふたりが組むのが、最大の見どころ。だが、シェイクスピアの「から騒ぎ」を元にしたというストーリーに新鮮さはなし。肌を露出させ、性的なジョークを入れるのが現代風ということ?せりふも陳腐で、感動を狙うロマンチックなシーンでのスウィーニーのせりふも予想通りだった。主演のふたりは魅力的で頑張っているが、できることは限られている。ただ、最近Netflixが量産しているロマコメに比べて劣るわけでもないので、星は3つ。このジャンルの劇場用映画がほぼ消滅しているだけに、このヒットが優れたロマコメ映画の製作に繋がりますようにとの祈りも込め。
あっけらかんとベタなギャグも放り込まれるラブコメの見本型
シドニーおよび周辺のリゾートでのロケを全面に打ち出し、ゴージャス気分この上ないラブコメが仕上がった。出会いのきっかけになるエピソードは、ときめき度も高く、気が利いている。その後のすったもんだ、そしてとりあえず恋人のフリをする主人公2人がやがて…という、お約束の展開も予感されつつ、下ネタや「タイタニック」パロディなども含んだ、わかりやすいギャグがあちこちでスパイスとなり、素直に楽しめる作りに。
シドニー・スウィーニーは表情を変幻自在に駆使し、水を得た魚のごとくラブコメ演技が冴えわたる。相手役のグレン・パウエルは、演出上やたら裸になるのだが、単に脱ぐのが好きなキャラに見えるのは大いに謎であった。