告白 コンフェッション (2024):映画短評
告白 コンフェッション (2024)ライター4人の平均評価: 3.8
コンパクトな尺で一気に見せる密室サスペンスの佳作
雪山で遭難してしまった学生時代からの親友男性コンビ。もはやこれまでの命か…。そう覚悟した1人が、過去に殺人を犯していたことを告白。ところが、その直後に山小屋を発見して命拾いをする。救助隊を待つ間、狭い山小屋で2人きり。殺人の告白をバラされるんじゃないか。口封じのために殺されるんじゃないか。高山病や怪我の影響もあって、お互いの疑心暗鬼がどんどん肥大化。やがて血みどろの殺し合いへと発展する。原作コミックの映像化に際し、片方を韓国人と設定することで「言葉の壁」という障害要素も加味。よくよく考えると短絡的なご都合主義も少なくないが、しかし70分強という短い尺のおかげもあり、勢いとパワーで見せ切る。
ジャンル映画に向けた山下監督らしいラブレター
山下敦弘作品としてはずいぶんとコンパクトな尺だが、彼が『死霊のはらわた』を引き合いに出していたことを知って腑に落ちた。
雪に閉ざされた脱出不可能な山小屋で、親友同士と思われた男ふたりの思惑が交錯する。殺すか、殺されるかにまで発展する事態はブラックユーモア満点。“死霊”が地を這って迫ってくるような描写も織り込まれ、ついつい笑ってしまう。
つまるところ、これは山下のジャンル映画へのラブレター。とはいえ、人間の小賢しさや不器用さを客観視する彼らしさも生きている。短い尺のなかで濃密な演技をみせる、生田斗真とヤン・イクチュンの演技合戦にも見入った。
ギュッと詰まったシチュエーションサスペンス
嵐の雪山で遭難した二人の男は命からがら山荘に逃げ込む。そこで死を覚悟したゆえに発した告白によって、親友だった二人は、一転してサバイバル劇を演じることになる…。シチュエーション設定がとにかく秀逸で、これは巧くやれば面白い映画になるだろうと思いましたが、山下敦弘監督が見事にやってのけました。あまりサスペンスの印象はなかった監督ですが、このジャンルでも腕利きぶりを堪能できます。もちろん生田斗真とヤン・イクチュンという二人が揃ったからこそでもあります。74分という短い時間を一気に駆け抜けます。
凝縮された映画時間で生田斗真ら俳優も濃密に変幻
上映時間74分は体感的にちょうどいい。というのも、中盤からかなりハードな描写が相次ぐので、これ以上長かったら体力的にしんどいと察せられるから。言い方を変えれば、かなり「やり過ぎ」な仕上がり。ドッキリ演出はホラー映画のノリなので、その方向で楽しむべきかと。
メイン2人(プラス重要なもう1人)の関係性を、もうちょっと深く、じっくり突っ込んでたら、別アングルの戦慄も喚起されたはず。
演技に関しては、特に生田斗真、あらゆる表現テクニックを駆使できる役を存分に満喫している様子。
一夜のドラマなので、終わった後、すべてが夢の中の出来事だったようにも思える。映画とは、夢を現実として見せるものだと改めて…。