破墓/パミョ (2024):映画短評
破墓/パミョ (2024)ライター3人の平均評価: 4
チームワーク抜群! 韓国の対悪霊アベンジャーズ
韓国のエンタメ大作にはこのところMCU風の展開がしばしば見受けられるが、悪霊バスターズ的な本作もそんな風格が漂う。
巫女と弟子、風水師と葬儀師の4人がスクラムを組み、墓から甦った悪霊と立ち向かう物語。墓の下になぜか墓があるなどのミステリーを、韓国の土着の風習に根差しながら解き明かしていく物語の組み立てが巧い。
ベテラン、チェ・ミンシクとユ・ヘジンの安定の好演もさることながら、キム・ゴウン&イ・ドヒョンの若手にも魅了され、とりわけ『哭声/コクソン』ばりの儀式シーンの大熱演に目を見張った。本国で今年最大のヒットを飛ばしたこともあり、続編にも期待したくなる。
韓国社会に根深い負の遺産を投影した秀逸なフォークホラー
親子三世代に渡って跡継ぎの長男ばかりが奇病に侵される大富豪一族。忌まわしい呪いを解くべく風水師や祈祷師など、その道のプロ4名が雇われて先祖の墓を掘り返したところ、想像を絶する邪悪な「何か」を解き放ってしまう。朝鮮半島特有のシャーマニズムを題材としている点で『哭声/コクソン』と似ているが、こちらの方がだいぶ分かりやすくエンタメ指数も高い。父子主義や血縁主義といった儒教思想的な価値観や、大日本帝国による植民地支配の記憶など、韓国社会にいまだ根深い過去の負の遺産を恐怖の背景としているところもユニーク。日本語のセリフに少々難があるのは惜しまれるが、予想外の後半の展開を含めて完成度は非常に高い。
後半の展開に度肝を抜かれる巫女ホラー
凄腕の巫女、老練な地官(風水師)、ベテランの納棺師、巫女の若き弟子の4人が、それぞれの力を合わせて、不穏すぎる墓に込められた秘密に挑む。韓国の巫俗(シャーマニズム)、土葬文化、五行思想、さらに日帝時代をはじめとする近現代史まで含めたストーリーがよく練り込まれている。不穏な雰囲気が満ち溢れる前半から、明らかにヤバいものが目に見えるようになる中盤、後半の展開に度肝を抜かれる人は多いはず。ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のキム・ゴウンによる巫女の儀式は一見の価値あり。この映画が韓国で爆発的なヒットを記録したのは、韓国社会には巫女の文化が日本におけるそれよりもはるかに身近にあるからだろう。