バトルヒート (2015):映画短評
バトルヒート (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
極悪一家の超身勝手な家族愛に一瞬ひるみます
ドルフ・ラングレンとトニー・ジャーのダブル主演だが、どちらかというと人身売買組織に家族を奪われたアメリカ人刑事(ラングレン)寄りの内容と言えよう。
組織を仕切るボス一家の固い絆、主人公2人を敵対させる悪徳刑事の存在など、展開的にはありがちだが、丁寧な脚本と手堅い演出のおかげで平均点以上の仕上がり。特にボス一家の熱い家族愛は要注目。血縁以外は虫けら扱いという超身勝手な愛情だけど、大人たちが小さい孫を守ろうとするシーンではヒーローコンビが一瞬悪人に見えてしまうから困った(笑)。
ピーター・ウェラーやロン・パールマンなど脇の顔ぶれもヨシ。体力勝負の肉弾アクションを含め、良質なB級アクションだ。
位置づけ的には“トニー・ジャー版『プロテクター』”
『ワイルド・スピード SKY MISSION』で爪痕を残したトニー・ジャーが、久々にアホっぽくないドルフ・ラングレンと激突する以外も、マイケル・J・ホワイト戦や、ロイ・ホランの愛娘、セリーナ・ジェイド(元・小室ファミリー)とのラブシーンも! しかも、ブレない悪役っぷりを魅せるロン・パールマンなど、懸念していたチープ感皆無で、アクション映画好きならマスト。ゲイのムエタイ選手・バリンヤーを描いた『ビューティフル・ボーイ』の監督だけに、軸となる人身売買を社会派として扱った生真面目さや、『エクスペンダブルズ』のスタントコーディネーターならではの大味さも見え隠れするが、意外な仕上がりに思わず唸る。