映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~ (2018):映画短評
映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~ (2018)ライター2人の平均評価: 4.5
理屈を超えたラストの展開にはオトナこそ感動必至!?
主人公のしんちゃんたちが悪の組織の陰謀などを阻止していく基本フォーマットは踏襲しながらも、毎回趣向を凝らして飽きさせないことに感心させられるが、悪の組織を倒すだけでは終わらず、正義とは何かや巨大な力を持つことの怖さなど、現在の世界情勢を見据えたかのようといえば大げさだが、ものすごく道徳的なことを、バカバカしい笑いを交えて説教臭くなく見せてくれるのは、さすが。難しいテーマに挑んでいるだけにどういう結末にするのかと思ったが、ラストの展開には理屈を超えた感動があるし、30~40代以上の方が納得させられてしまう気がする。いつもは影の薄いマサオくんの活躍も見所で、まさに大人も子供も楽しめる作品。
「オラたち、●●の正義をやっつけにきました!」(名言)
これ凄いじゃないですか! 『酔拳』の「柔(あるいは「遊」)よく剛を制す」を深めた、ぷにぷに拳のメッセージ。カンフー映画の参照は『バケモノの子』に比べるとツボだけ強く押さえた趣が◎。スラップスティック的なキレも良し、音楽&選曲も渋い。やはり高橋渉監督の『映画クレしん』は原恵一期以来の沸騰ぶりか?
麻薬的なブラックパンダラーメンは『包丁人味平』のブラックカレーを連想したが(笑)、そこからゾンビ応用形のホラー/風刺に突っこみ、さらに「力(ギフト)」や「正義(の怒り)」の考察など何層にも丁寧に掘っていく脚本(うえのきみこ)が本当に見事。なによりマサオくんのコンプレックスや孤独への寄り添い方は泣けた!