コンフィデンシャル/共助 (2017):映画短評
コンフィデンシャル/共助 (2017)ライター3人の平均評価: 4
南北融和ムードの今だからこそ見るべき異色バディアクション
南北朝鮮の安全を根底から揺るがす犯罪事件を解決するため、北朝鮮のエリート捜査官と韓国の落ちこぼれ刑事がコンビを組んでソウルを舞台に大暴れする。平昌オリンピックでにわかに南北融和ムードが高まる中での、まさにタイムリーな日本公開だ。
基本は『リーサル・ウェポン』に連なるバディ物。韓国映画ならではの凄まじいアクションのド迫力もさることながら、「確かに北朝鮮は邪悪な独裁国家だが、しかし韓国とて理想的な民主国家だと胸を張って言えるだろうか?」という視点で描かれる骨太な人間ドラマが実に奥深い。ラストは少々楽観的にも思えるが、しかしこれは朝鮮半島の平和を願う韓国人の偽らざる気持ちの表れであろう。
韓国アクションのセンスの良さが光るバディムービー
韓国アクションのレベルの高さを思い知らされる作品の一つ。
全く性格の違う韓国と北朝鮮の刑事が組んで合同捜査を行うという物語自体は、オーソドックスなバディムービーなのだが、ハードな展開の中にも日常的なシーンや笑いを交え、上手く緩急をつけながらテンポよく展開していくため、香港映画のような面白さもある。
特にアクションシーンが素晴らしいのだが、斬新なことをやっているわけではなく、使いどころの上手さや、戦闘シーンだけでなく例えばジャンプなどの動き一つ一つにまで世界レベルといえるセンスやキレの良さが感じられ、唸らされる。
韓国本国での大ヒットも納得の痛快な娯楽作となっている。
平昌オリンピックより前に南北の刑事がタッグを組む!
北朝鮮の国家事業とされるスーパーノート印刷工場を特殊部隊が摘発という前提には疑問符がつくが、南北融和の可能性を示唆したい意図が伝わってくるエンタメ作だ。一緒に行動することになる南北の刑事が置かれた各々の状況やカルチャー・ギャップで味付けしながら“人間だもの”と友情を培うあたりがわかりやすい。主役はヒョンビンが演じる北の刑事チョルリョンで、切れ味鋭いアクション演技を大盤振る舞い。国際問題になるよ〜と苦笑する場面も多いが、コリオグラフィーが最高にかっこいい! また韓国の庶民派刑事カンを演じるユ・ヘジンのコミックリリーフも効いていて、バランスのいいバディものに仕上がっている。