悪女/AKUJO (2017):映画短評
悪女/AKUJO (2017)ライター4人の平均評価: 4.5
女性アクション映画の最高峰現る
数ある女性アクション映画も『アトミック・ブロンド』で一つの頂点に達したと思っていたが、その認識を文字通り根底から覆すような傑作が韓国から登場した。一人称の主観映像で描かれるオープニングの疑似ワンカット・アクションこそ、イリア・ナイシュラー監督の『ハードコア』を見ていればさほど驚くに値しないし、『ニキータ』の韓国的解釈と呼ぶべき愛憎のリベンジ・ストーリーにも目新しさはないものの、主人公スクヒを演じる女優キム・オクビンのスタント演技はシャーリーズ・セロンを軽く凌駕するし、隙がないくらいにスタイリッシュなチョン・ビョンギル監督の演出にも圧倒される。まさにあっという間の2時間強。抜群に面白い。
女性アクション映画をなめてはいかんぜよ!
愛する人を殺害されたヒロインが単身、敵地に乗り込んでハードコアな殺戮を繰り広げる冒頭から「なんだ、これは!」と思わず前のめりになる勢い。しかもこれがほんの手始めで、アクション演技未経験のキム・オクビンが次々と難解なアクションをこなしていくから驚く。チョン・ビョンギル監督はスタントマン志望だったらしく、“見せる”アクションの撮影が骨まで染み込んでいるのだろう。もちろんドラマ部分もしっかりしていて、愛憎渦巻く人間関係を巧みに組み立てている。『ワンダーウーマン』や『アトミック・ブロンド』に続く、女性アクションの傑作が誕生!
ボンネット日向もたじろぐ、エクストリームな『ニキータ』
日本リメイクされた『殺人の告白』のチョン・ビョンギル監督、待望の新作。とはいえ、ストーリーテリングの面白さで魅せた前作と違い、冒頭7分の『ハードコア』な殴り込みから圧倒的なアクション・シークエンスで魅せる本作。今後パクられるだろうバイクチェイスや、『ハイロー』ボンネット日向もたじろぐボンネットに乗りながら運転というなんじゃこりゃなシチュエーションが展開。まさに、“エクストリームな『ニキータ』”であり、『アトミック・ブロンド』好きなら、さらにオススメ! 哀愁の復讐ヒロインを演じるキム・オクビンもいいが、チョ・ウンジ(『ホテルビーナス』の花屋の姉ちゃん)の憎まれ役あってこそ、さらに引き立っている。
世界最高レベルの技術を駆使した壮絶なアクションに驚愕!
韓国アクションのレベルの高さがわかるのみならず、その撮影技術と表現力の豊かさに圧倒される。
殺し屋として育てられた女性の愛と復讐の物語は、“「ニキータ」+恨(ハン)”といった感じだが、時世を入れ替えた構成の妙もあって、アクションを見せるだけの物語に陥らない工夫がなされている。
ワンカット長回し風に見せた『ハードコア』的な主観映像や、闘っている者同士の間に割って入ったようなカメラワークなどの撮影技術と多彩なアクション表現は、世界最高水準といっても間違いなく、スタントマン出身の監督ならでは。
また、大半のアクションを自らこなしたという主演のキム・オクビンの身体能力の高さと美しさにも魅了される。