未見のアナタ、人生ソンしてます!「ブレイキング・バッド」が伝説になったワケ 海ドラ座談会企画PART1(6/6)
海外ドラマスペシャル
主演映画『トランボ』はクランストンの実人生とシンクロする良作
司会:ブライアン・クランストンがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』はいかがでしたか?
池田:トランボって、赤狩りの弾圧で仕事を干された不遇の人なんですよね。耐える人っていうイメージがあったんだけど、この映画を観ると意外に普通に乗り越えているように見えた。
今:監督がジェイ・ローチだからなのか、恨み節の話にはなっていないですよね。大変なことを描いてはいるけど、非常に気分の良い映画というか。
司会:ジェイ・ローチは『ミート・ザ・ペアレンツ』(2000)や『オースティン・パワーズ』シリーズといったコメディー作品で知られる人なんですね。
犬塚:「BB」とは全然違う役柄なんだけど、ウォルターと共通しているなと思ったのは、クランストン自身の資質もあるのでしょうが、「知的」で「二面性がある」ところ。家庭人の顔と、運動に突き進む活動家としての顔がある。どこか弱さみたいなところが見え隠れするところも魅力的。
池田:あと、全裸になっちゃうところ(笑)。腰が痛いからバスタブで脚本書いていたんだってね。
犬塚:B級映画の脚本を仲間で書いている場面なんか楽しそうでしたよね。
司会:“エイリアンと農婦”とか(笑)。
今:ウォルターとあえて結び付けて考える必要もないと思うんだけど、自己顕示欲っていうところで言うとトランボとウォルターは真逆。トランボには書くことしか生活の糧がなくて、家族を養わなければならないから書いている。いろんな脚本を仲間のためにふったり、編集プロダクション状態になっていましたとね(笑)。この映画に関していえばトランボは作品を評価されたことを喜んでいて、実名で評価されないことがさぞかし悔しかったんだろうなと思わせる描写はあっても、彼のエゴを前面に出すようなつくりにはなっていない。
犬塚:それはやっぱりクランストン自身のキャラクターと合っているってことなんですかね。名声にこだわらない人っていう。
池田:「日陰で生きてきた」という点でシンクロしますよね。『GODZILLA ゴジラ』(2014)のときも家族思いのキャラクターで。ただ、『~ハリウッドに最も嫌われた男』って邦題がこれでよかったんだろうかという懸念は残る。だってそんなに嫌われてはいないですよね。「BB」のイメージを持たせたかったのかな。
参加メンバープロフィール
池田敏(いけだ・さとし)
海外ドラマ評論家(映画も好き)。雑誌「SCREEN」「映画秘宝」や海外ドラマのムック、BSやCSのチャンネルのサイトなどに寄稿。8月下旬、“海外ドラマ入門の決定版”となる初の新書を発表する予定。
犬塚駆(いぬつか・かける)
編集者、ライター。都市情報誌やビデオ雑誌などを中心に編集・執筆活動を行う。今回は海外ドラマファン代表として参加。
今祥枝(いま・さちえ)
映画・海外ドラマライター。「BAILA」「日経エンタテインメント!」ほか劇場パンフ、プレス等に執筆のほか、ラジオやCS・BS等の番組に出演・監修など。どんなジャンルでもブラック・ユーモアや風刺が効いた作品が好き。
「ブレイキング・バッド」はココで観られる!
シーズン1~5
Netflix、Google Play、Rakuten SHOWTIME、U-NEXTで配信中
ソニー・ピクチャーズエンタテインメントよりブルーレイ&DVD発売中
シーズン1
スーパー!ドラマTVで放送中
※シーズン1(7話)・2~4(13話)・5(16話)