相馬 学

相馬 学

略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。

相馬 学 さんの映画短評

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  • ハロウィン KILLS
    強烈スプラッター路線を走りつつ、社会派劇に発展!
    ★★★★

     1978年の『ハロウィン』の続きとして作られた、2018年版『ハロウィン』で意外だったのはホラー経験のないD・G・グリーン監督の起用。彼がさらにメガホンを取ったこの続編は、その意味をより明確にする。

     ドラマを基盤にして殺人鬼マイケルの凶行を絡めるのは前作と同様。新味は、マイケルの正体を追求し、現代の群集心理にも言及する点だ。そういう意味では社会派ホラー。

     18年版『ハロウィン』から始まったシリーズは、この後のさらなる続編で完結する。もちろん監督はグリーンで、78年版の鬼才カーペンターと話し合いながら制作を進めているとのこと。本作を見れば、それが楽しみになってくるだろう。

  • そして、バトンは渡された
    分断の世で、性善説の夢を見る
    ★★★★★

     物語の構造はトリッキーな変化球だが、描かれるヒューマニズムはストレート。前に進もうとするヒロインたちの姿が、それを下支えする。

     母性と悪女ぶりが見え隠れする石原さとみの巧演はもちろん、子役の稲垣来泉の純朴な個性も光る。そして何より、主演を務めた永野芽郁だ。悪意に染まることなく浮遊するキャラは『地獄の花園』のヒロイン像とはある意味真逆で、演技の幅を広げてみせた。

     人物描写は性善説に寄り過ぎの感もあり、そこは評価が分かれるだろう。が、分断が加速する世の中で、こんな世界があっていいと思わせるのも本作の魅力だ。

  • G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ
    アジア系俳優主体でハリウッド活劇が成立する奇跡
    ★★★★★

     子どものころに見ていたら絶対に夢中になっていただろう……そんな気持ちで、この戦隊シリーズ風のアクションに見入ってしまった。

     とにかく“動ける”役者たちの肉体言語が圧倒的で、ニンジャ・スタント的には大満足。メインの舞台となる日本の描写には疑問符は付くものの、そもそもこのシリーズ自体、荒唐無稽であることを思えば納得できる。大蛇とのバトルなどの奇想天外なアクションには理屈抜きに燃えた。

     何より、わずかな白人を交えつつ、アジア系俳優をがっつりキャスティングしている点は、ある意味、奇跡。『シャン・チー~』に次いで多様性重視のハリウッド大作の分岐点となるかもしれない。

  • ビルド・ア・ガール
    90sUKロックとヒロインの個性で押し切り勝ち
    ★★★★★

     原作者で脚本も手がけたC・モランの生の言葉が活きた、快活にしてユーモラス、かつ赤裸々な青春ドラマ。

     彼女の実体験に基づいていることもあるが、主人公のドラマがリアルで、かといって重すぎず。壁に貼られた彼女のヒーローたちの絵や肖像との会話にはファンタジーの味も宿る。

     主人公がカメラと向き合うラストの長セリフをはじめ、言葉で説明し過ぎるきらいもないでもないが、B・フェルドスタインの圧倒的個性と、当時のヒット曲の高揚感で押し切り、後味は心地よさが勝る。冒頭に流れるエラスティカの曲は当時まだリリースされてないのでは?などの時代考証の微妙な危うさは、この際置いておきたい。

  • 燃えよ剣
    三条ストリートのならず者の信念に迫る
    ★★★★

     新選組副長、土方歳三を今描くことの意味を考えつつ見たが、“バラガキ(=ならず者)”の面にスポットを当てている点が面白い。

     理想を抱いても感情で動くことはある。感情で生きていても理想を優先することはある。バラガキが筋を通すとき、双方が成立する人間性。“鬼の副長”のイメージでとらえられがちな土方歳三を違う目で見ることができた。

     一歩引いて見ると、土方歳三が極細のロープの上を歩き続けていたこともわかる。いつ落ちてもおかしくない細い道を太く描き切った原田監督のダイナミズムあふれる演出や、バラガキの信念を体現した岡田准一の骨っぽさに熱くなる。昔も今も、時代を動かすのはならず者なのかもしれない。

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