猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • デリシュ!
    目にもハートにもアピールする
    ★★★★★

    タイトル通りデリシャスな映画。予想以上に面白く、お宝を発見した気分。才能豊かな宮廷調理人がクビにされ、料理への情熱を失ったところへある女性が現れて、新しいことにつながっていく。ストーリーもキャラクターもしっかりしていて、頑固でプライドが高いが繊細なところもあるこの主人公にずっと思い入れができる。あの時代のフランスで、貴族と平民にとって「食」がどんなものだったのかを見られるのも興味深い。このすぐ後に革命が起きるのだと思うと、貴族らが傲慢でとびきり嫌な奴らに描かれているのも痛快。食べ物を用意した人、それらを美しくとらえた撮影監督にも大拍手。目にもハートにもアピールする映画。

  • ミー・タイム
    現代的な夫婦の姿を普通に出してきたことは評価
    ★★★★★

    監督、脚本のジョン・ハンバーグは「ミート・ザ・ペアレンツ」「ズーランダー」などを書いた人。だが、今作は欲張りすぎた感じ。R指定らしく性的なジョークもあれば、小学生の男の子が喜びそうな、おならやトイレのジョークもあり。それらは時に笑えるし、時にはまるで可笑しくない。ただ、建築家の妻がバリバリ働き、夫は家にいて子育てに専念するという夫婦の姿を普通に描いているところは評価する。しかも、ケビン・ハート演じる夫はそのことに不満も疑問も持っていないし、妻も優しくて良い人なのだ。大衆向けコメディ映画でこういったモダンな夫婦像を出してくることは、人々の意識に影響を与える。ということで、星ひとつおまけ。

  • サマリタン
    既視感はあるがそれなりに楽しめる
    ★★★★★

    コミックブックを原作としないスーパーヒーロー映画。しかし、あちこちに既視感があり、“オリジナル”という言葉を使うのは適切とは言えない。ひっそりと引退生活を送っていたのにまた呼び戻されることになるスタローンの姿は「ランボー ラスト・ブラッド」や「クリード チャンプを継ぐ男」の彼を思わせるし、ピルウ・アスベック演じる悪者が人々を前に演説するところは「ダークナイト ライジング」のベインのシーンのようだ。それでも、スタローンは76歳にしてあいかわらず大暴れし、彼らしいユーモアも持ち込んでいる。彼と子役のジャヴォン・“ワナ”・ウォルトンの相性も良いおかげで、それなりに楽しんで見られる。

  • 残り火
    ダークでセクシーなスリラー
    ★★★★★

    Netflixオリジナル映画で初のデンマーク作品は、小説にもとづく、とてもダークでセクシーなスリラー。主人公は同情の余地もないダメ男だが、最初はかわいそうな被害者に見えた妻が、実はなかなか上手だった。愚かな選択をしたために彼がどんどん泥沼にはまっていく様子は、ついつい事故現場を見てしまうような感じで、目が離せない。愛と憎しみは背中合わせで、そこに嫉妬が入るととても危険だということ。ストーリーは予測のつかない展開で、最後まで緊張させる。「危険な情事」のレベルには及ばないけれども、その手の話が好きな人は楽しめるのでは。

  • プリンセス・ダイアナ
    ここに映し出されるダイアナ妃に推測はない
    ★★★★★

    このドキュメンタリーのために取った誰かのコメントも、ナレーションもなし。すでに存在する記録映像だけで綴る今作に、推測の要素はない。それがとてもパワフルなものにする。まず、ダイアナ妃の映像がこれほどあることに改めて驚いた。それだけ彼女は常に世間の目に晒されてきたということ。空港でパパラッチに執拗に追いかけられ、本当に嫌がっている彼女の姿は、見ていて心が痛む。生まれてくる赤ちゃんは男の子か女の子かと雑談する様子など、一般人の映像も多数折り込まれていて、純粋にダイアナ妃が好きだったにしろ、人々もまた彼女を追い詰めていたのではないかと思ってしまう。見終わった後も考えさせる、優れた作品。

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