天本 伸一郎

天本 伸一郎

略歴: キネマ旬報社に約20年所属し、映画雑誌「キネマ旬報」やムック本および単行本などの編集に携わった後、シネマトゥデイに所属。同社退社後にフリーの編集者&ライターとなり、本の企画・編集や各種記事の取材・執筆などを行っています。

近況: 編集を担当させていただいた、全国巡回の展覧会『富野由悠季の世界』の図録が、キネマ旬報社にて好評発売中です。展覧会『富野由悠季の世界』は、延期された2会場の新たな日程も決まり、次回は静岡県立美術館にて9月19日から開催です。なお、図録は、会場以外でも、キネマ旬報社のオンラインショップや書店注文にて、購入可能です。

天本 伸一郎 さんの映画短評

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  • 恋は雨上がりのように
    青春時代の“雨宿り”の物語を理想的なキャスティングで描く
    ★★★★

    ある挫折のようなもので立ち止まってしまった高校生の美少女と、さえないバツイチ中年男性のラブストーリーだが、少女を主軸にすることで、中年男性のファンタジーに陥らず、いやらしさも感じさせない青春映画に仕上がっている。
    主人公役の小松奈々と大泉洋は、一見した印象は似ているものの実は原作漫画のビジュアルそっくりというわけではないと思うが、役者として原作で描かれているキャラクターを体現するのにピッタリで、理想のキャスティングといえる。
    昨年末に撮影を行っていながらも、今年3月に完結した原作と近い結末を描いているし、エピソードの切りとり方もうまいため、原作ファンも納得できる作品ではないだろうか。

  • となりの怪物くん
    役者陣の好演と非現実的な表現には面白さもあるが…
    ★★★★★

    漫画ならではの話をメジャー作品として成立させる上で、菅田将暉、土屋太鳳、山田裕貴など、芝居のできる若手俳優たちの力が活かされているのは確かだし、役者たちは好演していると思うが、こういうジャンルの作品にはフレッシュさも重要なのだなということを痛感させられた。もちろん実年齢がどうかではなく、役にあっているかどうかが重要で、原作のキャラと合っている役者を選んだのかもしれないが、原作未読の自分にはもっと若い役者がやるべき役ではないかと感じた。少女漫画の映画化として、一部リアリティを無視した表現に挑んでいるが、全編にわたってもっと非現実的な表現に挑むくらいであれば、このキャストたちが活かされたかも。

  • ママレード・ボーイ
    主人公二人の新鮮な魅力と設定の妙がポイント
    ★★★★★

    2組の夫婦が互いのパートナーを入れ替えてシェアハウスで同居することにより、見知らぬ男女のお互いの子供同士も一つ屋根の下で暮らすという設定は、少女漫画的設定を生み出す上では面白いし、この設定自体がこの作品最大の妙味ともいえる。こういうジャンルの作品では、画としての美しさを重視するあまり、役者たちの自然な芝居をひきだせていない場合もあるように思うが、この作品は若い主人公の二人――桜井日奈子と吉沢亮の芝居をきちんと撮ることを中心に据えている感じに好感がもてる。少女漫画ならではの気恥ずかしい台詞もあるが、初主演の桜井には新鮮な魅力があるし、吉沢もナイーブな役に合っていたと思う。

  • 映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~
    理屈を超えたラストの展開にはオトナこそ感動必至!?
    ★★★★

    主人公のしんちゃんたちが悪の組織の陰謀などを阻止していく基本フォーマットは踏襲しながらも、毎回趣向を凝らして飽きさせないことに感心させられるが、悪の組織を倒すだけでは終わらず、正義とは何かや巨大な力を持つことの怖さなど、現在の世界情勢を見据えたかのようといえば大げさだが、ものすごく道徳的なことを、バカバカしい笑いを交えて説教臭くなく見せてくれるのは、さすが。難しいテーマに挑んでいるだけにどういう結末にするのかと思ったが、ラストの展開には理屈を超えた感動があるし、30~40代以上の方が納得させられてしまう気がする。いつもは影の薄いマサオくんの活躍も見所で、まさに大人も子供も楽しめる作品。

  • いぬやしき
    新宿を飛び回る大バトルシーンは必見!
    ★★★★

    スリム化しながらも、かなり原作に忠実に映像化しており、多少違う都庁でのアクションも、コンパクトにまとめる上ではうまいアレンジ。ただ、予算や上映時間の都合を抜きにすれば、もう少しで原作のラストまで描けただろうし、それによりなぜ機械化されたのかの一応の理屈もつけられたと思うので、そこは少し残念。佐藤健の鍛え抜かれた肉体は、老けメイクの木梨憲武との対比として活きているし、こういうジャンルの作品であれば高校生役でもあまり違和感がない。ロケとCG合成を駆使して新宿の街中を飛び回るクライマックスのアクションは圧巻で、日本の映像技術の最先端を知ることができる作品としても見応えがある。

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