母よ、 (2015):映画短評
母よ、 (2015)親だって子供だって完璧ではありません
仕事でもプライベートでも深刻なスランプに悩む女性映画監督が、今度は愛する母親の死の宣告という厳しい現実に直面する。ナンニ・モレッティ監督が自らの実体験を投影した作品だ。
いわゆるお涙頂戴の感動ドラマではない。家族とはいえお互いを十分に知っているわけではないし、人生にはままならないことも圧倒的に多い。そんなやるせなさをシビアに捉えつつ、それでもなお家族が支え合うことに救いと希望を見出していく。
教師だった母親の教え子から娘には見せなかった別の顔が語られ、主人公は撮影現場で懸命に闘う自分の赤裸々な姿を思春期の娘に見せる。親だって子供だって一人の人間。そう考えれば理解し合えることも多いはずだ。
この短評にはネタバレを含んでいます