『グランド・ブダペスト・ホテル』特集:ラグジュアリーさに魅了!『グランド・ブダペスト・ホテル』の究極のおもてなし!!
格式高いヨーロッパ最高峰のホテルで“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれた主人公が、ルネサンスの絵画をめぐる連続殺人事件の謎に挑む姿をにぎやかに描いた『グランド・ブダペスト・ホテル』。才人ウェス・アンダーソン監督の最新作であり、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した本作は娯楽要素が満載。物語の鍵となる主人公の“究極のおもてなし”さながら、監督の“お・も・て・な・し”が詰まった作品ともいえる。そんな『グランド・ブダペスト・ホテル』の“究極のおもてなし”ポイントをご紹介しちゃいます!
- 作品情報:
- グランド・ブダペスト・ホテル ベルリン国際映画祭
- 人 物:
- ウェス・アンダーソン
多彩な個性的すぎるキャラクターばかりが登場する本作の主役は、天才コンシェルジュと移民ベルボーイの究極の凸凹コンビ。コミカルな彼らのやり取りだけでも楽しませてくれるが、彼らの周りには一癖も二癖もある愛すべき変わり者たちが次々と登場する。そのアンサンブルこそがアンダーソン作品の魅力の一つ! 小さな脇役こそキャラが立ち、それゆえ大物俳優がこぞって出演を希望する。その才能にスターが集う様子は三谷幸喜監督作品とも似ている。もったいないくらいの布陣が続々と顔を覗かせるだけに、隅々まで目がくぎ付けっ!
- 人 物:
- 三谷幸喜
仕事や生き方に強いこだわりのある伝説のコンシェルジュ。夜の相手も拒まない究極のおもてなしが人気で、ホテルを定宿とするマダムたちの目的はほぼ彼。名家出身ファインズならではの気品ある身のこなしがぴったり。
ベルボーイをしていたところ、グスタヴの目に留まり、彼の右腕となって大活躍。とある中東の国出身。
ゼロの恋人でズブロフカ一番の名ベーカリー“メンドル”のパティシエ。彼女の作るスイーツが大人気。
トム・ウィルキンソン演じる旧ズブロフカの国民的作家の若い頃。ホテル滞在中に彼が聞いた話が本作という設定。
懇意にしていたグスタヴに莫大な財産の中から貴重な絵画を遺(のこ)す84歳の伯爵夫人。老女のヘアメイクには毎回5時間かかったとか。
マダムDのドラ息子で、欲しいものは何でも手に入れようとする。ブロディは同監督の『ダージリン急行』に続いての出演。
脱獄したグスタヴを追うルッツ軍警察の大尉。ノートンは同監督の前作『ムーンライズ・キングダム』に続いての出演。
グスタヴが所属する、コンシェルジュの秘密結社の仲間。マーレイはジェイソン・シュワルツマンらと同じく監督の作品の常連俳優。
軍によるホテル占領後、グスタヴの後を引き継ぐ軍人コンシェルジュ。ウィルソンは監督と学友で共同脚本を手掛けたことも。
- 人 物:
- レイフ・ファインズ トニー・レヴォロリ シアーシャ・ローナン ジュード・ロウ トム・ウィルキンソン ティルダ・スウィントン エイドリアン・ブロディ エドワード・ノートン ビル・マーレイ ジェイソン・シュワルツマン オーウェン・ウィルソン
- 作品情報:
- ダージリン急行 ムーンライズ・キングダム
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』では三つの有名スポーツブランドをメインキャラ3人の個性に取り入れ、『ダージリン急行』ではルイ・ヴィトンのマーク・ジェイコブスがスーツケースのデザインを手掛けるなど、常に脚光を浴びるアンダーソン作品のファッション。今回はプラダ、フェンディ、オランピア・ル・タンなどが、コートやアクセサリー、プロップのデザイン協力、製作をしている。衣装担当はソフィア・コッポラ監督作『マリー・アントワネット』も手掛けたミレーナ・カノネロ。また磁器はマイセンで修業を積んだアーティストが手描きするなど、小道具一つ取ってもアート。何から何まで手が込んでいて目がくらみそうで、究極のきらびやかさだ。
- 作品情報:
- ザ・ロイヤル・テネンバウムズ ダージリン急行 マリー・アントワネット
主な舞台となるグランド・ブダペスト・ホテルは、1930年代に温泉リゾートとして栄えたものの、現在は寂れているという設定。描かれる時代によってその盛衰を見せるために選ばれたのがドイツのゲルリッツにあるデパートで、そこを最高のコンシェルジュである主人公のイメージに合わせ、当時のホテルらしく大改造。大階段や大広間を取り入れる一方、独特な配色を施し、芸術的スイーツのような究極のゴージャスかつ愛らしいホテルが出来上がった。ちなみにゲルリッツはポーランドとチェコ共和国の国境にあり、世界遺産にも登録されたことのあるドレスデンの町(※)。劇中の舞台は架空の町だが、ヨーロッパの香りや歴史が感じられ、その美しさや風格にきっと多くの人が訪れてみたい気持ちになるはず。ヨーロッパ大陸を駆け巡り、舞台設定がくるくると変わる本作は、旅行気分も味わえる。
(※)ゲルリッツのあるドレスデンのエルベ渓谷は、2004年に世界遺産に登録されたが、エルベ渓谷に橋を架けたことから、登録を抹消された。
懇意にしていた宿泊客の伯爵夫人が殺され、その殺人犯に仕立て上げられてしまったイケメン・コンシェルジュのグスタヴ。彼はコンシェルジュとしての人脈を駆使して脱獄を謀り、殺人事件の謎の解明とホテルの威信を取り戻すべく、弟子のベルボーイ・ゼロと共に奔走する。逃げ回るグスタヴを警察と殺し屋が追う中、ゼロとその彼女までもが危険にさらされ、絶体絶命のピンチに立たされる……!? そんな、殺人ミステリー、バディームービー、ロードムービー、ラブストーリー、コメディーなど、ありとあらゆるジャンルの醍醐味(だいごみ)をふんだんに盛り込んだ奇想天外、豪華絢爛(ごうかけんらん)、究極の娯楽作品の本作。多くの人々が癒やしを求めて訪れた“グランド・ブダペスト・ホテル”のように、どんな観客も大いに満足して帰れることは、保証付き。