私的スター・ウォーズ宣言【Part2】イチ押しエピソードはこれだ!
スター・ウォーズ特集
SF映画の金字塔『スター・ウォーズ』シリーズは、エピソード1~6が劇場公開されており、お気に入りのエピソードを決めるのは至難の業。人それぞれに思い入れがあり、好きなエピソードを聞くだけで語り合うことができるのは歴史ある作品だからこそ。『スター・ウォーズ』好きの映画ライターの皆さんに、イチ押しエピソードについて語ってもらいました。
【くれい響/映画ライター】
文句なしに、小1だった自分を狂わせてくれたエピソード4。これまでの映画では観たことのない、まぶしいほどにキラキラしていた初見のインパクトは当然のこと。とにかく深読みさせないほど単純明快なストーリーに、老若男女が分かりやすいほど派手なハッピーエンド(エピソード6は、エンドアの風景があまりに地味過ぎ)。それでいて、かなり不気味な絵面なのに、ノー天気な「カンティーナ・バンド」流れるモス・アイズリーの酒場シーンに代表されるように、SF(スペースオペラ)がベースになりながらも、エロ以外のエンタテイメント要素が随所にちりばめられている構成。
そして、人間とクリーチャーが混在する世界を違和感なく魅せてしまう、妙に説得力ある演出。その後の80年代のブロックバスター大作への傾向を示唆した娯楽映画の見本市というべき仕上がりであり、「この121分でハリウッドを変えてやるぜ」という声が聞こえてきそうなジョージ・ルーカス監督ら若手スタッフ&キャストの気合いが、40年近く経った今でもビシビシと伝わってくる。だからこそ、松崎しげるがアテたハン・ソロが、限りなくコブラに近いTV初放送時の吹替版すらも許せてしまえるのだ!
プロフィール
1971年生まれ。東京都出身。大学在学中、クイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝し、バラエティ番組制作、「映画秘宝(洋泉社)」編集部を経て、映画評論家に。『スター・ウォーズ』を『星球大戦』と表記するエンタメの極致・香港愛が高じて、地元紙「香港ポスト」では10年以上にわたって、カルチャーコラムを連載中。そのほか、映画やCDでAKB48のオフィシャルを担当するなど、ライターとしても多岐にわたって活動中。
【なかざわひでゆき/映画ライター】
自分にとって旧3部作はどれも捨てがたい……というより3本で1つの作品として観るべきだろうと思っているのですが、その中でも特に好きな作品となると、やはり『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』。それはなにも、前回お話したような思い出があるからというだけではなく、客観的に見て最も中身の濃い作品だと思うからです。
まず、このエピソード5だけがダントツにシビアで暗い。冒頭の凍てついた雪原シーンから不穏な空気を漂わせ、帝国軍に襲撃され撤退する反乱軍、追い詰められるハン・ソロやレイア姫などなど、主人公たちが圧倒的に不利な状況でストーリーが進んでいく。しかも、終盤にはハン・ソロがあんなことになり、ルークもこんなことになり。自由を勝ち取るための戦いがいかに過酷で困難な道のりなのか。単純明快なSF冒険活劇に終わらせない志の高さがうかがえます。
その一方で、特撮を駆使した戦闘シーンのダイナミックな見せ場もたっぷり。中でも気に入っているのは、雪原を四本足でノシノシと進む巨大なスノーウォーカー。あのリアルな重量感はストップモーション撮影だからこそ。また、本作で初登場したジェダイ・マスター、ヨーダの造形や操演も見事な出来栄え。やっぱりCGよりパペットの方が味わい深い。そして、ジェダイとしてまだまだ未熟なルークの複雑な葛藤やダース・ベイダーとの深い因縁。エピソード6へと繋がる親と子の、そして善と悪の宿命的なドラマもグッとくる。何度観ても飽きのこない作品です。
プロフィール
映画及び海外ドラマ専門のフリーライター。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。また、「スカパー!TVガイド プレミアム」、「海外ドラマTVガイド WATICH」(各東京ニュース通信社刊)などの雑誌やウェブなどにも執筆中。海外取材の経験も豊富で、ハリウッドスターへのインタビューも数え切れない。クラシック映画やホラー映画、SF映画などを愛する根っからの映画マニア。