「Empire 成功の代償」クッキー、ジャマル、ハキーム 来日インタビュー
昨年放映が始まるや、アメリカでシーズン1全12話連続視聴者数アップという、アメリカテレビ史上初の快挙を成し遂げた「Empire 成功の代償」。大手レコード会社エンパイア社を築き上げたルシウス(テレンス・ハワード)の後継者をめぐり、3人の息子や元妻らが争いを繰り広げる本作は、音楽業界のスキャンダラスな舞台裏を赤裸々に描いた。今回、日本でのリリースに合わせ、元妻クッキー役のタラジ・P・ヘンソン、次男ジャマル役のジャシー・スモレット、三男ハキーム役のブリシェア・グレイがそろって来日し、本作が変えた俳優人生や役づくりなどを語り合った。
■ドラマの人気で生活もラクになった
Q:放映開始以来、大反響を呼んだことで、どんな変化がありましたか?
タラジ・P・ヘンソン(以下、タラジ):映画出演のオファーが一気に5作も来たわ(笑)。これまでにないほど出演作の選択肢が増えたのは事実で、そういう意味で、「Empire」という作品、そしてクッキー役には感謝の気持ちでいっぱいよ。
ブリシェア・グレイ(以下、ブリシェア):僕にとっての最大の変化は、本作で俳優としての仕事をスタートできたことかな。タラジや、テレンス・ハワードといったそうそうたるスターと共演できたんだから、この上なくラッキーだったよ。
ジャシー・スモレット(以下、ジャシー):僕もタラジと同じく、仕事の可能性が広がったね。俳優としてはもちろん、歌手としても自分が心から表現したいテーマに取り組むことができている。一番の喜びは、請求書の支払いに困らなくなったことだけどね(笑)。
タラジ:そういえばあなた、大きな家に引っ越したわよね(笑)。
Q:演じた役と、自身が重なる部分はどこでしょう。
タラジ:演じたクッキーと同じで、現場では常に母親の気持ちになってしまうの。(ブリシェアの肩に手を掛けて)特にこの子に関してはね! ちゃんと教育してあげないと(笑)!
ブリシェア:(照れ笑いを浮かべ)確かにハキームには、ワルな一面もある。でも誰でもそういう部分はあるよね? ハキームは頑固な性格だから、演じるときは普段より暗い気持ちに自分をもっていくんだ。
ジャシー:僕とジャマルは、結構似ているかな。忠誠心があって、時として繊細すぎる部分に共感できる。違うのは、彼のハングリー精神の少なさだ。ジャマルは基本、お坊ちゃまだからね。
■バスケでいえば、相手はマイケル・ジョーダン級!?
Q:演じる上で、参考にした作品などはありましたか?
タラジ:撮影に入る前に、クッキーはミュージカル『ジプシー』のママ・ローズのような役だと聞かされていたの。『ジプシー』をあらためて観直したら、正真正銘のステージママだった。ただ、今回はミュージカルではないので、ローズをリアルに表現した感じね。
ブリシェア:僕は、テレンスやタラジ、(監督・製作の)リー・ダニエルズから直接、指導を受けただけ。だって、これがバスケットボールの世界だったら、マイケル・ジョーダン級の人だらけなんだから。
タラジ:ちょっと待って。マイケル・ジョーダンはテレンスのこと? それともわたし?
ブリシェア:もちろんタラジだよ(笑)。
ジャシー:僕の役には、リー・ダニエルズ自身が投影されていると聞いた。ただし僕の考えで、ジャマルのスーパースターへの成長を、マイケル・ジャクソンに置き換えてみた。もともとマイケルは僕のアイドルなので、自然とインスピレーションを受けたんだ。
Q:ジャシーとブリシェアは、ミュージシャンとしての経験も本作に生かされていますね。
ブリシェア:ハキーム役にぴったりで、なおかつ自分の満足がいくラップを表現するのがチャレンジだったな。ライブのシーンは、12時間くらいセットで撮影して、その後、録音スタジオで6時間過ごしたり、かなりハードだった。ジャシーは歌うシーンが多いから、のどのケアとか大変だったよね?
ジャシー:そうだね。歌った直後に、感情を表現するために叫ぶ演技をしたりするから、声が枯れないように注意した。ブロードウェイでミュージカルを演じる感覚だったね。だから、今までとは違う歌い方も、一から学び直さなくてはならなかった。