なぜ彼は売れ続けているのか?七色に輝く俳優・池松壮亮総力特集!
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2016年の公開作品はなんと9本。トム・クルーズと共演したハリウッド映画『ラスト サムライ』(2003)でスクリーンデビューし、NHK大河ドラマ「風林火山」などで名子役として活躍したのち、テレビドラマ、映画、舞台で着実にキャリアを積み、特に2014年以降爆発的な人気を得た池松壮亮。なぜ彼は売れ続けているのか……? その理由を分析してみました!(構成・文:シネマトゥデイ編集部 石井百合子)
陰のある&クールな役柄が似合う
子犬のような瞳、少年のようなルックスを持ちながら、どこかアンニュイな雰囲気を醸し出す池松は、やはり陰のあるキャラクターが似合う。その代表格がテレビドラマ「MOZU」シリーズだろう。本作では一卵性双生児、新谷和彦・新谷宏美の一人二役に挑み、幼いころから殺人の衝動を抱えた殺し屋とその兄を熱演。得体のしれない狂気をたたえたダーク&ミステリアスなキャラクターはお茶の間でたちまち人気となり、より幅広い層にその名が知れ渡ることになった。中性的な顔立ちのためか、女装シーンも違和感なくばっちり決まっているのがまたすごい。そのほか、高校最後の夏休みを通して成長する寡黙な主人公を描いた『大人ドロップ』(2013)では、橋本愛ふんするヒロインに「好きです!」と告白するシーンがあり、ときめく女子多数。菅田将暉と共演した『セトウツミ』(2016)ではクールなインテリメガネ高校生にふんし、親友役の菅田と延々と漫才のような掛け合いを展開。「2人の高校生が放課後にしゃべるだけの映画」にもかかわらずまったく飽きさせないのは、現場で打ち解けた菅田とのあうんの呼吸ゆえだ。25歳にして、学ラン姿がフツーに似合っていたのも印象的だ。
そして、「ダークサイドの池松」を堪能できるタイトルとして今注目すべきは大ヒット作『DEATH NOTE デスノート』シリーズの10年後の世界を描く続編『デスノート Light up the NEW world』(10月29日公開)。本作の役どころは、前作で松山ケンイチが演じたLの後継者とされる天才探偵・竜崎。『セトウツミ』に続く共演となる菅田将暉、東出昌大と顔を並べ、圧倒的な存在感を放っている。Lのミステリアスさを踏襲しながらもワイルドなキャラクターに変化し、池松は水を得た魚のように生き生きと好演。白髪交じりの長髪、青い目、全身黒ずくめの服装、ひょっとこのお面を着けたルックスも含め、“正義の人物だが悪にしか見えない”竜崎のキャラクターは佐藤信介監督と佐藤貴博プロデューサー、池松の3人でディスカッションを重ねて作られた。この、ひょっとこのお面は前作で松山ケンイチがアドリブで用意したもので、原作にはないものだという。
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