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携帯で撮った115分の映画!日本の女流監督作品、第38回ロッテルダム映画祭に正式出品!

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実際に撮影に使用したドコモ、FOMA SH904を手にする石橋今日美監督-第38回ロッテルダム国際映画祭にて
実際に撮影に使用したドコモ、FOMA SH904を手にする石橋今日美監督-第38回ロッテルダム国際映画祭にて - Photo:Harumi Nakayama

 オランダで第38回ロッテルダム国際映画祭が現地時間21日に開幕した。今年は、メーンの「VPROタイガー・アワード・コンペティション」に、内藤隆嗣監督の映画『不灯港』が出品されているほか、俳優オダギリジョーの長編初監督作映画『さくらな人たち』が招待上映されるなど、長編・短編合わせて35本の日本映画が紹介される。中でも最もユニークな作品が、携帯電話の動画機能で撮影された石橋今日美監督の映画『スパイダー』で新設されたさまざな映像手法の作品を取り上げた「シグナル:サイズ マター」部門で同24日、上映された。 

 昨今は日本でもフランスに習い、携帯電話を使って制作された作品を集めた「ポケットフィルム・フェスティバル」が開催されているのが、出品作のほとんどが短編だ。しかし石橋監督は、115分の長編に挑戦。携帯映画は2007年に製作した中編『サイレント・スクリーム』に続き、2作目となる。

 「もともと映画評論を10年以上行っていて、自分は映画製作者のサポーターでいようと思っていたんです。でも、アメリカで暮らし、フランスに留学した経験からか、日本社会になじめずにいた自分の私的な映画『サイレント・スクリーム』をフランスの『ポケット・フィルムフェスティバル』に出品したら、フランス人が共感してくれた。その体験のおかげで、映画を再発見できたんです」と自分を表現する喜びを知った石橋監督は、昨年夏、再び携帯映画『スパイダー』に取りかかる。今回はフランスの友人であり、作家のティエリー・アコット=ミランダの同名小説が原作。定住せず、都会で放浪生活をしている女性“スパイダー”の生き様を描いたものだ。監督・主演・撮影・編集とほとんど一人でこなし、電車内のシーンは自分で携帯を持ちながらゲリラ撮影。時には母親や、当時務めていた東京芸大大学院メディア映像専攻家の生徒たちに協力を仰ぎ人件費は削ったが、フランスロケも行い、iMacや編集ソフトの「ファイナルカット」など機材を買いそろえたため、製作費は約100万円になった。

 「せっかく作ったのでダメもとで、ロッテルダムに応募したら出品決定の連絡をいただいて冗談かと思いました。ただ画質や音響の面など、携帯映画の限界も知りました。次に撮るなら、DVカムを使用したい」とのこと。ちなみに、石橋監督は現在、東京工科大メディア学部の教授であり、映画評論家としてwebマガジン「flowerwild」の編集長なども務めている。映画評論家として自身の映画を批評してもらうと「ちょっと長すぎ(苦笑)。今回は予算の都合上、自分で演じたけど、せめてほかの人を起用したかった。その一方で良かったところは、フィリップ・ガレルなど影響された監督たちはたくさんいるが、その誰の作品にも似てなかったことだと思います」と冷静に分析した。(取材・文:中山治美)

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