指名手配中のマフィアが出演し逮捕! 巨大なマフィア組織の実態を描く『ゴモラ』
去年のカンヌ国際映画祭グランプリ受賞の映画『ゴモラ』(原題)について、マッテオ・ガローネ監督が語ってくれた。本作は、ナポリ周辺の住人たちが、新興マフィアのカモーラが繰り広げる抗争に巻き込まれる日常を描くドラマで、ベストセラー作家ロベルト・サヴィアーノのノンフィクション小説「死都ゴモラ」の映画化作品だ。なおロベルトは、マフィアから命を狙われているため、警察に警護される身となっている。
製作経緯についてマッテオ監督は「出版当時、ロベルは警察に警護されていなかったし、本もヒットしていなかった。だが僕はこの原作の重要性をしっかり理解していた。特に犯罪組織を内部から描き出した内容にね。このときわたしが思い付いたアイデアは原作と異なり、フィクションのキャラクターでこの地の問題を描くことは可能ではないかということだった。そこからカモーラが牛耳る、南イタリアに乗り込んだわけさ」と語った。
撮影時の危険性については「こういう特定の場所に行くときは危険性が伴うものさ。だが、これはジャングルに似ているんだよ。ジャングルを知らなければ恐怖を抱くが、一度知ってしまえば、価値観は変わるものだろう? そこでのルールを認識するからなんだ。ただナポリ周辺は、合法と非合法のグレーゾーンにいるような気分になるときがときどきあって、困惑することがあるけどね。撮影は、抗争に巻き込まれた経験のある人たちの力を借りたから、うまくいったよ」と述べ、これといった混乱はなかったようだ。
なお本作には、指名手配中だったカモーラの一員が出演し、それがきっかけで逮捕されたという驚くべくきエピソードがある。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)