道行く人に指をさされまくるド派手のファッション日本人監督がロッテルダム国際映画祭に登場!
第38回ロッテルダム国際映画祭が開催中のロッテルダムで、ド派手なファッションに身を包んだ日本人女性がかっぽし、「あれは誰?」と話題となっている。
彼女の正体は、関西在住で、ミュージシャンとしても活躍している映像作家の平岡香純だ。映画『落書き色町』が同映画祭「タイガー・アワード・コンペティション」短編映画部門に選出され、現地入りしている。平岡監督は「1か月毎に服の好みは変わるんですけど、大体こんな感じです。皆さん、声をかけてくれるならまだうれしいんですけど、こちらの方にはヘンな目で見られてます」と取材中も小さな女の子に指をさされて大笑い。
映画『落書き色町』も平岡監督に負けず劣らず、カラフルであやしげな色彩が印象的な作品だ。何者にも束縛されずに生きる娼婦たちが、色町を少女のように飛び回るファンタジー。今も大正当時の色町の雰囲気が残る大阪・飛田新地近辺に住む平岡監督が、実際に見聞きした街や娼婦たちのエピソードを作品に盛り込み、ビデオカメラで撮影した。平岡監督は「基本的には娼婦なんて職業はなくなればいいと思っています。でも、古いモノもフィルムに残しておきたいと思ってこの映画を作りました」と説明する。
平岡監督は本作品を引っ提げて、調布映画祭グランプリをはじめ、世界15か国、約40の映画祭を回っている。その記念すべき初映画祭が、インドのムンバイで開催されたトライバル・アート&カルチャー国際映画祭。平岡監督にとっては初の海外旅行でもあり「お客さんが像や竹馬に乗って映画を観に来ていました」と“笑撃”の初体験を語った。また、ボスニア・ヘルツェゴビナで開催された短編映画祭では「地雷が埋まっているから、町の外れに行くなと注意されました」と今も残る戦争の傷跡を体感した。
そのほか、クロアチア、メキシコ、キューバと回ったが、もちろんファッションも自身のスタイルを変えることはなかったという。「ボスニアでは写真をバチバチ撮られましたけど、インドではむしろ宗教を重んじている人に見られたようで、町に溶け込んでいたと思います」と振り返る。
残念ながら本映画祭の短編部門は欧州プレミアが条件で、現地に来てから他国でも上映していたことが発覚し、賞の対象から漏れた。平岡監督も「映画祭に応募しまくっていたので、忘れてました」と苦笑いしていた。
なお、平岡監督は2月15日に東京・渋谷のアップリンクで「プリミ恥部な世界」と題し、音楽家・白井剛史による音楽ユニット「プリミ恥部」が、映画と音楽による実験ライブショーを行う。(取材・文:中山治美)