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批評家は大絶賛!アメリカン・ドリームと人種の壁を描いた野球映画!

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アナ・ボーデン、ライアン・フレック
アナ・ボーデン、ライアン・フレック - Photo:Nobuhiro Hosoki

 映画『ハーフ・ネルソン』(原題)で、サンダンス映画祭などで数多くの賞を総なめにしたライアン・フレックとアナ・ボーデンの両監督が、新作映画『シュガー』(原題)について熱く語ってくれた。本作は、ドミニカ共和国の大リーグ養成キャンプでメジャーリーグを目指していたシュガーが、アメリカのマイナーリーグに入団し、白人だらけの孤独感と言葉の壁というジレンマに苦しみつつもアメリカン・ドリームを追い求めるというストーリー。

 まず製作意図について、ライアンは「新聞でメッツのドミニカ共和国でのキャンプ記事を読んだんだ。僕は野球好きで結構何でも知っていたが、このことはまったく知らなかった。詳しく調べてみたら、メジャーリーグのほとんどのチームがドミニカ共和国に大リーグ養成キャンプを持っているとわかったんだよ。そこでは基本的な野球用語を英語で教えたり、マイナーリーグとの契約を交わしているんだ。ドミニカ共和国出身のスター選手の話は聞くが、メジャーへと頑張っている選手の話はあまり聞かないと思い始めたのが製作のきっかけだね」と語ってくれた。
 
 俳優経験のない野球選手アルゲニス・ペレス・ソトを主役にキャスティングしたことについて、アンナは「俳優をキャスティングするのを反対したわけじゃないの。19歳ぐらいの年齢で、野球のできるドミニカ共和国の俳優がいたら喜んで任せたかもしれないわ。その役に必要な要素を持ち合わせた人を捜したんだけれど、俳優で野球をやっている人たちより、野球をやっていた選手を使った方が信ぴょう性の高い映画に仕上がると思って決断したの」とのことだ。シュガー役を探すのに、600人近くの選手を見て回ったそうだ。

 アメリカの野球界における人種の壁について尋ねると「この映画のタイトルは、アメリカがドミニカ共和国のサトウキビ(シュガー)産業に興味を持っていることを示したもので、野球にもそれが言えると当てはめたものでもあるの。メジャーリーグがドミニカ共和国でキャンプを始めたのも、安い契約金でサインできるからなのよ。ただ、現在は状況が変わってきて、選手に対する扱いも随分良くなったらしいわ。メジャーまでたどり着かなくても、ほかの職業にも就けるよう手助けしているみたい」とまったく知られていない現実を教えてくれた。現在20代でありながら、インディペンデント映画界で旋風を巻き起こした二人。本作も批評家ウケが良く、今後が楽しみな監督コンビである。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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