小林薫、『深夜食堂』は細かいところに技があると称賛
13日に都内で行われた『映画 深夜食堂』完成披露イベント・舞台あいさつに、小林薫、不破万作、綾田俊樹、光石研、山中崇らが出席し、細部にまでこだわり抜かれたセットなど、撮影エピソードを語った。
本作は、安倍夜郎の人気コミックをもとにしたテレビドラマの劇場版。深夜だけ営業する「めしや」を舞台に、ワケありの客たちがマスター(小林)の作る料理で胃袋と心を満たし、新しい明日への一歩を踏み出していく姿を描く。
山中によると、撮影は「アミューズメントパークのよう」な広大なセットで行われたそうで、小林は「光石さんのデビュー作品『博多っ子純情』のポスターがわからないところに貼ってあったり、新宿の劇団のチラシがそのまま貼ってあったりとか、非常に細かいところに技がある」と称賛。「一度、ツアーを組んでチラシとかを探しに行ったことがある」と楽しそうに述懐した。
ゲイ歴48年の小寿々役を務める綾田は、「オネエの告白」と称し、「小寿々ちゃんは甘い卵焼きが好きという役なんですが、本人(綾田)は関西人なのでだし巻きが好き。(フードスタイリストの)飯島(奈美)さんに告げたら、2回目からはおいしいだし巻きを甘い卵焼き風に見せて出していただきました」と明かし、観客を驚かせた。
小林は、名匠・黒澤明監督と同じ「天気待ち」があったことも告白。マンションのべランダで洗濯物を干すという、原作やテレビシリーズでは深く描かれなかったマスターの日常生活のシーンで、小林は自分なりに考えて演技をしたそうだが、「1回目は撮り直し、2回目もなかなかカメラが回らなかった」とぶつぶつ。「予算がないのにこんなに待たされて、黒澤ふうにやっていいの?」と思ったそう。
実は、監督にとって重要だったのはベランダから見える西新宿の高層ビル群と青空だったそうで、小林は「映画ってそういうもんなんだな。役者を撮ってはいるけれど、役者の芝居はどうでもよくて、いろいろこだわったところでしょうがないなと改めて思いました」と笑い飛ばしていた。この日のイベントには、安藤玉恵、須藤理彩、小林麻子、吉本菜穂子、宇野祥平、金子清文、松岡錠司監督も出席した。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『深夜食堂』は1月31日より全国公開