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ジブリ、押井守作品音作りの舞台裏とは!音響監督・若林和弘が語る

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名作アニメの数々に関わる若林和弘監督
名作アニメの数々に関わる若林和弘監督

 スタジオジブリ押井守のアニメーション作品などを手掛ける音響監督の第一人者・若林和弘が13日、都内・デジタルハリウッド大学で行われた公開講座に出席。クリエーターの卵たちが見守る中、自身が参加した映画『千と千尋の神隠し』や『イノセンス』などを例に挙げながら、音響にまつわる製作秘話を熱く語った。なお、この日は、同大学の高橋光輝准教授が司会進行役を務めた。

 効果音から選曲、声優のキャスティングにいたるまで、“音”に関わる全ての作業を統括する音響監督。1992年、テレビアニメ「ヨーヨーの猫つまみ」(日本テレビ系)で一本立ちした若林監督は、当時の製作状況について、「実写もアニメも、音響は演出家が各専門スタッフと打ち合わせをして決めていた時代。ところが、アニメ作品の監督に絵描き出身者が増えてきたことから状況が変わってきた」と振り返る。「彼らは音に対して漠然としたイメージしかなく、スタッフに真意を伝えられない。そこで『音の専門家を立てたほうがいい』という意見が出始めた」。時代の流れによって生まれた音響監督だが、今ではその存在なしではアニメ作品が成立しないほど重要なポストを担っている。

 その顕著な例が、若林監督が数多く手掛けるスタジオジブリ作品(ジブリ作品のみ本名の林和弘で参加)。「抽象的な注文を具現化していくのが僕たちの仕事。例えば、『千と千尋の神隠し』に登場するススワタリの足音。虫っぽくするとうるさくて違和感があるので、人の声で作って提案すると、宮崎(駿)監督から『人間っぽすぎる』とダメ出しされて、そこから修正していくわけです」と裏話を披露。「ジブリはストックされた効果音を嫌い、できるだけ新しい音を要求される」というハードルの高さもあり、スタッフも常時10人以上は現場に配属されるという。

 一方、押井作品の場合は、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995)からの長年の信頼関係が礎(いしずえ)となっているという若林監督。「『イノセンス』(2004)のときは、『スカイウォーカー・サウンド』(ルーカスフィルム)に、あるワンシーンを課題として自由に作ってもらったのですが、音でシーンのイメージを変えるエンターテインメント性を、押井さんは一発で気に入ってくれた」と述懐。「彼らは音に対する設備環境と時間のかけ方がすごい。製作費は高いが、ほかの仕事を一切断り、1作品に集中してくれる」と目を輝かせていた。(取材:坂田正樹)

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