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カメラの前に立った時には、僕はハーレイではなくトレバーになりきっていた |
H |
ハーレイ・ジョエル・オスメント(以下H)
あけましておめでとうございます! こんにちは(どちらも日本語で)。
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Q |
役作りについて |
H |
どの役作りをする時も、僕にとってはチャレンジなんだ。特に今回の役柄は非常に変わったものだったので、僕はトレバーを演じるにあたって、脚本を読みながらトレバーという男の子がどのようにして歩くのか、どのように話をするのかということを探し出した。そして、実際にカメラの前に立ったときには既に僕はハーレイではなく、トレバーなんだということを自分自身で信じ込んでいる状態だった。そうなると、セリフの暗記とか他の役者に対するリアクションなどは、考えなくても自然と出てくるんだよ。これは非常に大きなチャレンジなんだけど、僕はこうした役作りの上でのチャレンジというものを楽しんでやっているんだ。
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Q |
演じる上で気をつけた点、苦労した点 |
H |
いろんな面
で難しい役だったけど、さっきも言ったように、僕は自分が役になりきる、自分がトレバー自身だと信じられた時には、トレバーがどういう風にしてリアクションするかというのはかなり自然にできた。
トレバーと僕自身と何が違うかというと、僕の周りの環境はとても幸せなんだということ。一方で、彼は悪いことがたくさん見える環境に育っている少年なんだ。だけどとてもいい心を持っているから、何とかそういう状況をよくしようとする思いがトレバーには働いたんだろうね。役作りをする時に、僕は必ず役と自分自身にどこか共通
点があるかなと考えるんだけど、今回は彼と僕の生い立ちがあまりにも違った。それが非常に難しい点だったと思う。
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行動を実現に移す時、人間は信念を持たなければいけないと思う |
Q |
脚本を読んだ時の感想と「ペイ・フォワード」というアイディアについて |
H |
最初に読んだ時は非常にすばらしい脚本だと思ったし、「ペイ・フォワード」というアイディアもすばらしいと思った。そしてストーリーにオリジナリティがあるという点でも、役者としてこの映画にぜひ参加したいと思った。
いわゆる社会の何かをよくしたいという気持ちは、人間誰しもが持っていると思う。この映画を観た人は、みんな心のどこかにちょっとした電流が走って、それが走った時に「自分もこういうことをしたい」という気持ちになるんじゃないかな。「ペイ・フォワード」というアイディアはとてもシンプルなものだけど、それを行動に移すのはとても難しい。それを実現しようと思った時に、人間はある信念を持たなければいけないと思う。その信念はなにかというと、自分がやったいいことを、その相手がまた他の人にやってくれると信じることなんだ。その信頼する心があった時に、「ペイ・フォワード」という運動は初めて実現するのだと思う。
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Q |
世の中をよくしようと思ったことは? |
H |
僕も、いつも自分なりの力で何かできることがあればそうしたいという気持ちは、常に持っているよ。この映画でも、僕のそういう気持ちが生かされているんだ。『ペイ・フォワード』を観た人たちの中には、必ず一つの意識が生み出されていくと思う。その意識というのは、自分がこの世の中をもっとよくする力を持っている、可能性を持っていることを思い出してもらえるということなんだ。それが、僕がこの映画に参加してよかったと思うことの一つでもある。
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Q |
ミミ・レダー監督について |
H |
今回の作品に限っていうと、ミミはリハーサルを非常に重視していた。なぜかというと、今回の映画の中には観客のみなさんに伝えたいメッセージがあり、それが本当に伝わるかどうか確かめるために、彼女はリハーサルを何度もやったんだ。2週間近く、脚本を書き換えたりシーンを全く違うようにやり直したりしたよ。だけど、これをやってよかったと僕は思っている。そのおかげで、観客のみなさんに何かを伝えることができる映画になったんだと思うよ。 |
Q |
役になりきった後に自分自身に戻るのは難しい? |
H |
役を演じる時に、役になりきるのは難しいけど、自分に戻るのは簡単だよ。アクティングコーチについてるかどうかだけど、僕の役者の知識はすべて父親から学んだもの。父も俳優であり大学の頃から舞台で活躍しているんだけど、彼が僕に教えてくれた一番大事なことは、演じることはその役柄になりきってしまうこと、そしてその役になりきったことを自分が信じられた時こそが、本当の役者なんだということだ。 |
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スペイシーもハントも、子供の心を持ったすばらしい人間だよ |
Q |
ポケモンはまだ好き? |
H |
午前中の取材で、ポケモンを1分間で書くというコンテストでも勝ったぐらいだからね(笑)。 |
Q |
物語の結末について |
H |
僕はこの結末でよかったと思う。全くのハッピーエンドじゃ、現実味がないよ。世の中には、まだまだ解決しない問題がたくさんあるんだというメッセージが伝わると思うので、僕はこの結末でよかったと思っている。 |
Q |
現場の雰囲気について |
H |
今回のセットでは、緊張感は一切なかったよ。僕にとって、スペイシーやハントのような素晴らしい人たちと一緒に仕事ができたのは、とても価値のあるものだった。勉強になったし、僕自身ももっといい役者になれたと思う。ハントもスペイシーも仕事をしているときは本当にプロフェッショナルだけど、二人とも根っから子供の心を持った人間なんだ。スタッフもキャスティング・クルーもとてもすばらしくて、彼らと仕事ができて本当に幸運だと思っているよ。 |
Q |
今回の来日でおみやげに買いたいもの、行きたい場所は? |
H |
お寺めぐりをしてみたいな。僕が東京にくるのがなんで好きかっていうと、アメリカにいたら絶対に見られないものが見られるからなんだ。東京は人がたくさんいて、ものすごく大きいよね。だから、都内を車でドライヴするだけでも楽しいんだ。今回の短い滞在中にもまたドライブしたいと思っている。それから、今晩は日本の伝統的なレストランに連れて行っていただけるということなので、それも楽しみにしているよ。 |
Q |
新作『A.I.』について |
H |
次回作については、皆さんのお楽しみということで秘密にしなきゃいけないという約束をさせられてるんだ。一つ言えることは、僕自身知らなかったことをたくさん学ぶことができたという、とてもいい経験をさせてもらったということ。また皆さんに新たな大きな感動をもたらしてくれることを願っています。 |
Q |
父親からみたハーレイくんについて |
父 |
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▲ハーレイくんの父親 |
ある日、私が映画のセットから帰ってきた時に、家の中に非常に変わった生き物が住んでいることに気づいた。それは、ハーレイが3歳の時のこと。彼はケープを羽織って、グリーンのサングラスにスーパーマンがするような大きめのベルトをして、自分こそが新しいヒーローだ、名前はキャプテン・ダイナソーだと言って飛び回っていたんだよ。その姿を見て、ちょっと異様な、私たちとは全く違う人間が一緒に住んでいたと気づいたというのが最初にありました(笑)。
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H |
今までの役で、あれが一番すばらしい役だったと思うよ! |
父 |
父親としては、彼が大きくなったら政治家になりたいとか、そういう気持ちをなるべく遅めに遅めに遠ざけるようにして、彼の本当の純粋な気持ち、子供らしい若さというのを保って欲しいと思っています。 |