まほの[子連れ]ハリウッドへの道21
20ドルで買った車、フリーウェイで停まる!(LAチキチキ猛レースの巻 ) |
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カムイがお腹に入りたてのある夜、私はダンナさんと映画を見に行きました。うれしいことに、つわりのオエッも襲ってこずおいしい御飯も食べて腹も満腹。大満足で帰路についたのです。 皆さん御存じのフリーウェイをダウンタウンに向けて軽快にかっ飛ばしていると…。 「ぷすぷすっ」 なんだかおかしな音が聞こえてくる。 一つ言い忘れましたが、やつの車は、私の生まれた年に誕生しました。1980年生まれ、走行距離は購入時なぜか10キロ(あり得ん!)。 屋根の閉まらないさいてーなコンバチのアメ車です。 アメリカじゃよくある話なんだけど、悪徳ディーラーにかってに走行距離わかんなくさせられちゃうんです。 しかもダンナはそのゲテモノ車をなんと20ドル。つまり2000円で購入!! そんな、おっそろしく危険な車に妊婦である私を乗せたことがまず間違ってたわけなんですが、私も車ぶつけて修理に出してたもんで仕方ない。 さて、フリーウェイのまん中でぷすぷすっと言う音が聞こえてきたのは、夜中の11時。日本だったら11時なんて外歩いてたってヘッチャラな時間だけど、アメリカ、ロス、しかもダウンタウン近郊で11時は夜中。超物騒な時間帯であります。 おいおい、じょうだんじゃねーよ。こんなトコで、エンストなんて命ねーよ。また運の悪いことに、後部座席には安売りで買ったテレビが…。 屋根が思いっきり開いたコンバチに弱そうなダンナ、確実に狙われるテレビ。襲われ条件がそろいまくったボロ車は、私の祈りもむなしく、ぷすぷす微妙な音を吐き続ける。さらには煙りまで吐き出しやがった。きゃー。 またたく間に、チキチキマシン猛レースのように大量の煙りに包まれ、ガクガクなんとか走り続けるおんぼろマシン。 ジェットコースターには強いはずの私もこれにはお手上げ。だ、誰か助けて-。 けど、ガックンガックン走る私達に誰も助けの手を差し伸べてくれず、御丁寧に窓まで開けてくれちゃって 「とっとと走れボロぐるま-!!!」 と、中指立てられるばかり。 アメリカ人ってなんて冷たいの!ひどい!あうあう。 それでも、まだ良かったのは、夜中のフリーウェイだったこと。昼間のビュンビュン車が走ってる時だったらきっとひとたまりもないわ。 5台ぐらいの運ちゃん達に怒鳴られて、車もかなりよろよろし始めた頃、私はエンジンの焼けるにおいに気付いた。こ、こげくさい。うう。気持ち悪い。 そうなのです、私つわりがひどいんでざます。 御飯の炊けるにおいで、オエッてくる妊婦は世の中にたくさんいるかも知れないけど、エンジンの焼けるにおいでオエッとなってる妊婦は私くらいだわ。 「とっとと停めてくれー。ぎもぢわるいー。」 慌ててますますハンドル操作がおぼつかなくなるダンナ。ううう。 結局、瀕死の状態でフリーウェイをおりたところで、ダンナ車は御臨終。爆発しそーだけどなんか!!しかも、まっくらだぞ! ていうかここどこ! 泣きそうな私、よりさらになきそうな弱虫ダンナは、まっつぁおを通 り越して白くなってる。 「マ、マホ。タクシーを呼ばなきゃ。…。お金ある?」 ねーよ!5ドルしか! 結局、二人合わせて所持金12ドルの私達は、ダンナのル-ムメイトにはるばる迎えに来てもらうことになった。もう、つわりどころじゃないさ。サイテーだよ。 犯罪エリアLAダウンタウンの路上で、屋根もなく吹きっさらしで1時間も迎えを待つはめになった不運の妊婦マホに、優しいダンナ様はこう言った。 「まほ、テレビを守って」 …なんで、なんで私が-!妻を守れよ!!妻を!! と怒りつつもテレビに覆いかぶさるように守ってしまった自分がいたのだった。 せつねえ。 <お知らせ
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来週に続く… |