森田まほ
映画が好き!現場で働きたい!その思いがこうじて単身アメリカ、ハリウッドへ渡り、現場でインターンとして日夜現場を飛び回る日々であったが、ある日アメリカ人の青年と結婚。その後予定外の妊娠をするが、無事出産。現在はグリーンカードを取得すべく待機中。 |
私ってヤツは、常に衝動的な野郎だ。
アメリカ行ったのも衝動的、結婚したのも、子供産んだのも、今こうして原稿書いたりしてんのも。何もかもが、自分の中でのどどーん!!と打ち上げられた衝動で、動き出す変な女だ。
そして、その特徴として私は、その衝動をあまり人には見せない。そして物事をすべて、自分の中で決めてしまってから、皆にはっぴょーする。とりあえず、こそこそ野郎なわけよ。
こっそり森田は、野望を抱いているときはかなり自分勝手だ。これまた、こっそりと自分勝手なの。例えば、アメリカ行きを自分の中で決めたとき、どういって大学をやめちゃおうかとひそかに案を練り、「講義要項」提出日(これに遅れると、もう超大変! 大学には行きませんっていってるようなもんなのです)に仮病を使っていえに引きこもったり。
結婚もそう。かなりぎりぎりになってから、突如言い出す汚い私。
そしてこのくせは、子供を産んでからも実は治っちゃいなかった。カムイが生まれて3か月ほどたったある日。ひょんなことから、切ないニュースを耳にした。
私が、3歳くらいの頃から冬になると駅前で焼き芋を売っているおじいちゃん。そのおじいちゃんが、その春50年近く続けてた焼き芋屋さんをやめちゃうというじゃありませんか。
この話を知った夜、私はドキドキ眠れなかった。どどーん!! またも、いつもの衝動が噴火しだした。うああああ。どうしよお。あのおじいちゃんで映画とりたい!! 撮りたい。 撮りたああーい!!
こうなったら、もうダメ。こっそり森田は、またもこそこそ作戦を練り始めた。早速、おじいちゃんと親しい人をインターネットで見つけだし、その人に頼み込んで、おじいちゃんに映画を撮影させて下さい!! とおねがいしに行った。
おじいちゃんが快く引き受けてくれたことに、心弾ませた私は、もうやる気満々だった。ここでひとつ。私の恐ろしいところは、映画制作に関する知識がほぼ0だったってこと。いやあね。たしかに現場でインターンとかはしてたよ。
でも、あんなでっかいカメラもないし。私は監督でもなかったわけだしさ。メイクはメイク。衣装は衣装。ほかの部署には手は出せないんだもんね。規模も、やり方も、何もかもが一人での自主映画とはちがうわけよ。こちとらわかんないわけさ。全然。
でも、可愛いかむたんの成長を撮ろうと、ビデオカメラは買ってあったから、撮影できるし、まいっか。やっちゃえやっちゃえー。
向こう見ずの大バカ野郎とは、まさに私のこと。映画制作があんなに大変とはね。
しかし! 制作より何より、私の心配はかむいだ。あ、あの子どうしよう。まだおっぱい星人だし。連れてくわけにもいかないし。
はっ。
私の中で素敵なアイデアが浮かんだ。ロビオ。いつもは、くその役にも立たない私の旦那。焼き芋のことでいっぱいいっぱいだったけど、そういえばあいつ、あさって日本に来るんだわ。カムイに初めて会いに。
ふふふ。こいつあ、使える。ふふふ。
おじいちゃんが、お店を閉めるのは13日。ロビーが帰るのは15日。そーか! 私が撮影してる間はヤツにかむたんを預けよう。どうせ私がいても、カムイはママママになるし。良いじゃんいいじゃん2人ッきりの親子の時間。
こうして、私は自分の中でまたもこっそりめらめら燃えて、すべての準備を整えて成田に到着した旦那にこう言い放った。
「ようこそ! あのね。私映画とるんだ。撮影は、これから一週間。キミその間カムイを頼むぜ!!」
次週につづく
ついに、まほちゃんが映画を完成させました!
映画「おじいちゃんの焼き芋」を自主上映します。御興味のある方はこちらへどうぞ!
http://yakiimo2002.tripod.co.jp/
お知らせ:月刊フリックスでまほちゃんが、「好き勝手クロスレビュー」の連載を始めました。ハリウッドのカリスマビデオ店員マイケルのちょっと辛口レビューも要注目!
ハリウッドへ戻れる日を指折り数えて待ちつつ、子育てに励む20歳の乙女、まほちゃんへ励ましのメールを!
(皆様からいただいたメールから、まほちゃんはパワーをいただいているそうです。メールは編集部で1度受け取ってからまほちゃんへ渡されます。本人へ直接メールされるわけではありませんのでご了承下さい。また、いただいたメールはまほちゃんが必ず読んで出来る限りお返事を書きたいとのことです。)
FLiXムービーサイト内「まほのハリウッド日記」
maho@flix.co.jp
|