森田まほ
映画が好き!現場で働きたい!その思いがこうじて単身アメリカ、ハリウッドへ渡り、現場でインターンとして日夜現場を飛び回る日々であったが、ある日アメリカ人の青年と結婚。その後予定外の妊娠をするが、無事出産。現在はグリーンカードを取得すべく待機中。 |
「ヘイユー!!ウエイト!!!」
ムキムキ軍曹に呼び止められた私は、震え上がった。
ま「な、なんすか?」
軍「お前、どこいく?」
ま「いや、私このままじゃきっと日暮れまでかかっちゃいそうなんで。次行きます」
軍「なーに言ってんだよ。おれたちのことは気にしないでゆっくりやれよ。テイクユアターイム!」
ま「い、いやあの。まじでいいから」
軍「ノウ!!! ジャスト ドゥーイット!」
ジャストドゥーイットッてあんたナイキのCMじゃないんだからさ。いつから、こんな強制的にパターやんなきゃいけなくなったのよ。もうヤなんだよ、ほっといてくれよおおお!!!
私の切実な願いも空しく、半ば力ずくでもとのコースに連れ戻された私はまたも、こつんこつんと一生入るはずのないパターをはじめた。暑い。つらい。
つらすぎて涙が出てきた。もうやだよー。ひそかにぐすぐすしながらコツコツ打ち続ける私に、今度は軍曹自ら教育しだした。
「こうこうこうやってうつんだよ。分かったか??」
「へえ」
コツ。
おおおおお!!! はいったぜー!!
いやったー!!
軍曹と抱きあいながらしばしこの瞬間を体感していたものの……。
気付けば、このアーミーたちの中でノリノリなのは軍曹のみ。他のやつらは、かなりしけた目で私を見てやがる。そらそーだわな。こんな砂漠の真ん中、この暑さの中でヘッタクソな私のパターにつきあってられんわな。
こ、こえええっっっ。たのむ軍曹。お願いだから私を解放してッ。
「センキューセンキュー」
を連発して、またもすごすご逃げようとする私たち。ジョンも、昔のトラウマのせいで真っ青。「俺、吐きそう」とまで言ってるよ。なのに。
「へい。おまえら。どうせだったら俺らと回ろうぜ。」
軍曹のこの一言で、私たち森田まほ解放戦線は崩壊。
この後、おっかい白人のアーミー達の抱えるプレッシャーに押しつぶされながら、いじめられっ子のジョンは過呼吸寸前になりながらも、大健闘。なのにオイラは軍曹に空振りのたんびにケツ叩かれまくって、げっそり。
プレーは、あり得なく2時間をこえた。
ようやく、最後のショットを決めたとき、わたしゃ神の声を聞いたもんだ。
まほ、もうロスに帰ってもいいよ。
悪夢は終わった……。
駐車場で、へろへろになって車に乗り込む私たちにアーミー達は、なぜかすがすがしく満足げな笑顔で、一人ひとりにハグ。
なんなんだ、この人らは。いったいなんだってんだ。心の中に、燃えたぎるほどのにっくき炎が燃え上がる中、なぜかちょっと感動してる私。あんたら、ホントはえー人だったんやないか??
今まで、ただのこわもてな兄ちゃんだと思ってたアーミーを見直しながらも、もう二度とパターはやんねえぞ!!とかたく胸に誓った森田なのであった。
お知らせ:月刊フリックスでまほちゃんが、「まほの小部屋」の連載を始めました。要チェック!
ハリウッドへ戻れる日を指折り数えて待ちつつ、子育てに励む22歳の乙女、まほちゃんへ励ましのメールを!
(皆様からいただいたメールから、まほちゃんはパワーをいただいているそうです。メールは編集部で1度受け取ってからまほちゃんへ渡されます。本人へ直接メールされるわけではありませんのでご了承下さい。また、いただいたメールはまほちゃんが必ず読んで出来る限りお返事を書きたいとのことです。)
FLiXムービーサイト内「まほのハリウッド日記」
maho@flix.co.jp
|