まほの［子連れ］ハリウッドへの道78

さ、コーヒービーンの素晴らしさをよーく分かってくれたところで日本人にしかできない、とっておきの遊び方を伝授しちゃおうじゃない。

コーヒービーンでは、注文の時に名前をいいます。たとえば、私だったら

「まほー」

と店員の兄ちゃんにいうと、兄ちゃんはカップのふたに名前を書く。それで、できた順に名前を呼んでくってわけ。そうすればどんなに混んでても、間違えて人のもんとっちゃうことないでしょ？

ここで、いたずら坊主の私の血がうずいたわけよ。フフ

ポイントは日本人。そう、店員はあなたがどんな名前か、日本人の名前がどんな名前か、全く分からないわけ。はじめは、わざとキャサリンとか、ジョセイフィーヌとかいって、一人で日系キャサリンになりきっていた私だったのだけど。それじゃあだんだん物足りなくなってきた。ある日、コーヒービーンにいったときに、ちょっと過激にでてみようと思って「う、うんこ……」
と名乗ってみた。

なんか、めちゃめちゃ悪いことしてるみたいでかなりどきどき。しながら待っていると

「ウンコオーウ、ウンコーウ」

おおおおっ。ほんとに、ウンコって呼んだよこの人。あーあ、はずかしー。このひとったら何も知らずにそんなお下劣な言葉発しちゃってさ。

やあねえ……なんてウンコって呼ばれた自分のはずかしさにも気づかず、ほくそ笑みながらコーヒーをのむ森田。

このころ、私は友達に８ちゃんでやってた「笑う犬の生活」が友達にビデオ送ってもらうくらい大ファンだった。そのなかでも、「てりーあんどどりー」っちゅうコントがめちゃ好きだったんだけど、それは、ネプチューンの泰造さんと、ほりけんが、外人プロレスラーの格好して叔母かなことするっちゅうやつだったのね。

その決まり文句で弟の土りーがお兄ちゃんのてりーを呼ぶときに「ウォニイチュアーン」！って変な発音で呼ぶのがあってね。

な、生のテリーが聞きたい、、という欲望が私の中でうずいてきて……。やがて、その欲求が爆発してしまったのだ。
例によって、レジで、「お、おにいちゃん」。と名乗ってみる。
ドキドキしながら待ってると

「ウォニーチュアーーン！！」

おおおおっ！！！
すげー。ほんまもんだあっ。私は、感動に打ち震えたよ。そのかわり、私はコーヒービーンではすっかり危険人物扱いになっちまった。

だって、毎回、言う名前違うし、奴らが私の名前を呼ぶたんびに一人でほくそ笑むおかしな日本人女だもの。そら疑われるのも無理ないわな。

やっぱりおにいちゃんは失敗だったかな。なんてなんて後悔していると「へい。まほ、いまなんか変な名前呼ばれてなかったかい？？」

と、背後で声が。げげっ。ロビー……お昼休みにコーヒー買いにきた旦那にみつかっちまった。しぶしぶ、真相を白状したものの、そんなおばかな妻に落胆するような夫ではなくむしろ、大コーフン！

「なんだそれー、すげーおもしろそう！！俺にも教えてよ。ねーねー」
「はあ？あんた思いっきりアメリカ人じゃん。しかも思いっきり顔割れて
んじゃんよ」
（ロビーは当時、メルローズで有名なお店のカリスマ（？）店員だったの
さ）

「いいじゃんいいじゃん。」
「し…しかたないねー。じゃ、ウンコって言ってみ。」
「何それ、どんな意味？」
「poo」
「ぎゃははは！！さいこーだぜハニー。おっしゃ、言ったろ言ったろ」

ほんとに下品な夫婦ですみません。
でも、こういうときの二人は一番キラキラしちゃっているのだ。
二人で、わくわくしながら待っていると……。
そこに、、。
観光客のギャル男軍団が入ってきた。なにーっっ。ま、まずい。早くでてけーっ！
二人で、オロオロしていると

「ウンコーッウンコーッ」
………呼ばれた。

日本人軍団の、ギャルお。とっさに気づく。
「今、ウンコっつわなかった？」
ロビーのバカは、気づかないふりしてやがる。店員はいらつきながら

「うんこっ！」
を連発。

ギャル男たち大爆笑。

「やべー。超顔みてー。誰だよー？」

なんて言いながら店内を見回してる。きゃあああー。
ロビー早くいけよっ。
でもいざとなると、だめなふぬけ野郎の旦那は完全にしらを切ってる。
耐えられなくなった私は、ダッシュで店員のもとにいき、コーヒーを奪い
取り、ついでにロビーの首根っこをひっつかんでコーヒービーンを後にし
た。

「あっ　日本じ……」

という声を聞きながら……。
つうわけで、ちょっと恥ずかしいこともあったけど、やっぱり病みつき。一度やったいたずらはそうそう治らないのだ。みなさんも、このドキドキ。一度試してみてはいかがでしょう？

注）実行するときは周りをよく見てからやってみよう！！

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