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誰にも言えない重い秘密を抱え、ひっそり孤独に生きてきたハンナと、全身に大やけどを負って身動きも取れず、一時的に視力をも失っているジョゼフ。寡黙に世話をするハンナに、ジョークを交えて話しかけるジョゼフだが、実は、消し去れない心の傷を抱えていた。外界から遮断された油田掘削所の仄暗い病室で言葉を交わし合う二人には、不思議なきずながはぐくまれる。次第に心を通わせていくハンナとジョゼフの姿を追ってみよう。ハンナの閉ざされた心を開く「鍵」となるジョゼフの言葉に注目! |
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看護師を探していた男の会話を耳にし、自ら名乗り出て油田掘削所にやってきたハンナ。やけどと骨折で起き上がることもできないジョゼフの看護を2週間ほど担当することになる。ハンナは自己紹介もしないまま、慣れた手付きで検温し、淡々とジョゼフの下の世話をする。目が見えなくなっているジョゼフは、これから身を任せることになる女性の人となりを知ろうと質問を重ねるが、ハンナは名前すら答えない。そこで言った言葉、1つ目の「鍵」がこれ。下の世話をしてもらっていることに引っ掛けたジョークだ。はっきり言って下ネタなんだけど、品が悪くならないのはジョゼフの人柄によるもの。 |
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ジョゼフはハンナを「コーラ」と呼び、屈託なく話しかける。ハンナは甲斐甲斐しくジョゼフの包帯を取り替え、ケガの手当をする。治療の間にも、絶えずジョゼフは他愛もない冗談を繰り出している。そのときに口にした2つ目の「鍵」は、目の見えないジョゼフが感じ取れる唯一のハンナの印象、《匂い》についての言葉だった。少しだけ心を開いたハンナは、初めてジョゼフに問いかける。なぜ「コーラ」という名前が出てきたのか、と。自分のことを話したら教えるというジョゼフに、ハンナは耳が悪くて補聴器をしていることを打ち明ける。 |
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ケガの手当だけでなく、優しくジョゼフのひげそりまでしてあげるハンナ。ベッドに横たわっていても身だしなみを気にするジョゼフって、意外とおしゃれさんなのかも。ハンナとジョゼフの間には、だいぶ打ち解けた雰囲気が漂ってきている。ジョゼフのおしゃべりは相変わらず。顔を知らないはずなのに、ハンナの夢を見たという。ジョゼフは夢をプログラムできる装置の話をして、それを使うとしたら、南の島でハンナと二人、ぴったりと身体を寄せ合って眠る夢が見たいとつぶやく。じっとジョゼフを見つめるハンナ。そして、3つ目の「鍵」となる言葉が飛び出す。 |
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同僚が何気なく口にした言葉に心の傷をえぐられ、ジョゼフは語気を荒げて彼を病室から追い出す。ふさぎこんだジョゼフはハンナが病室に来てくれることを待っていた。油田掘削所の世間話をしようとしたハンナを制し、ジョゼフは「これから重大な秘密を話す」ともったいぶる。わざわざハンナをそばに引き寄せ、耳元でささやいたその秘密とは、なんと「泳げない」ということだった。これが、4つ目の「鍵」。ハンナは、海で働いている人が泳げないなんて面白いと、こらえきれずに笑い出す。ジョゼフが泳げないのは、幼いころにおぼれた経験があるからだった。 |
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ジョゼフはハンナに最後の秘密を打ち明ける。親友の妻と恋に落ちてしまったこと。親友にそれを告げてしまったこと……。ジョゼフの目の前で、彼は自ら死を選ぶ。ぬぐいきれない罪悪感がジョゼフをさいなんでいる。あまりにもつらい現実に直面し、絶望の淵に立っているジョゼフに、ハンナは「前に進むしかない」とつぶやく。まるで、自分に言い聞かせるかのように……。 |
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