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『ライフ・アクアティック』ウェス・アンダーソン監督独占インタビュー

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『ライフ・アクアティック』ウェス・アンダーソン監督独占インタビュー

取材・文:高山亜紀 写真:FLiXムービーサイト

登場キャラクターのユニークさは当然、その衣装やセット、美術の細々したところにまで、神経を注ぎ、まるでドールハウスのように自分ワールドを作り上げるウェス・アンダーソン監督。新作『ライフ・アクアティック』でもその個性は健在。なんと海の生物までオリジナルで創造しているのだ。イタリアでの撮影中に銀縁メガネをコンタクトに変えて、すっかりイケメンになった監督に、そのユニークな発想の源を直撃してみた。

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■ビル・マーレイとは仲良し

Q:ビル・マーレイをキャスティングするのは3度目ですね。『ロスト・イン・トランスレーション』で注目を集めた後の撮影となりましたが、キャスティングはすんなり決まったのですか。彼の印象は変わりましたか。

本作でビルを起用することに関しては何の問題もなかったです。前にも2回仕事をしていて、僕と彼はすでに友好関係にあるものですから。むしろ、ソフィア(・コッポラ監督)の方が苦労していたみたいですね(『ロスト・イン・トランスレーション』の時)。マーレイは連絡がとりにくい俳優として有名なんです。彼女はどうしても彼をキャスティングしたかったようで、僕に協力を依頼してきました。僕が彼女にマーレイとの共通の友人を紹介し、何とかコンタクトをとったようです。僕が大変だったことといえば、撮影期間が長かったことですね。しかもイタリアでの撮影だったのも問題でした。長期間、彼が家族と離れて暮らさなければならなかったので。

■オーウェンは出演しているのにルークはなし

Q:本作には監督作品の常連、オーウェン・ウィルソンも参加しています。ただこれまで全作品に登場している、彼の弟のルークは出演していませんね。

いい質問ですね(笑)。いつも、いつも同じメンバーを起用するのはどうかなって、気にしていたんです。それに本作は国際色豊かなキャスティングにしたかった。船のクルーには、イタリア人、ブラジル人、日本人、ドイツ人、インド人までいます。残念ながら、今回、ルークは国籍的に必要ではありませんでした。

Q:『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のテネンバウムズさんというのは同級生の名前から、とられたそうですね。今回も主人公の名前はズィスーというユニークなものですが、それはどこから発想されたんですか。

フランスの写真家、ジャック・アンリ・ラルティーグです。彼はお兄さんをよく撮影していたんですが、その兄のニックネームがズィスーなんです。そのお兄さんというのが、冒険家でいろんなものを発明していた人物なんですよ。名前も面白いし、キャラクターもぴったりだということで、そこからもらいました。

■デヴィッド・ボウイの起用

Q:脚本を執筆しているときは、いつも作品で使用する曲を何十回もかけっぱなしにするとか。今回はどんな曲をヘビーローテーションにしていたのですか。

本作のエンディングでかかっている「クイーン・ビッチ」をよく聞いていました。残念ながら、作品の中では使わなかったんですが、レディオヘッドもずいぶん聞きましたね。

Q:監督はボウイ世代ではないですよね。なぜ、本作ではデヴィッド・ボウイの曲を使用しようと思ったんですか。

そうですね。リアルな世代ではないです。もともとボウイの1曲だけがずっと頭の中に残っていたんです。孤独感、冒険、自分が周りに上手く溶け込めないような喪失感を表現している。それが「スペース・オディティ」で、ビルの役ズィスーにぴったりだと思ったんです。彼も冒険をしているけど、1人きりで孤独でもありますから。それにやっぱり僕自身が、ボウイのサウンド、精神がすごく好きなんですね。使用された12曲は自分のお気に入りのボウイの曲です。結局は直感で選びました。

■ファッションのこだわり

Q:今作のファッションも個性的で素敵ですね。いったいどういうときに思い浮かぶのですか。何か参考にしているものはあるんですか。

衣装は作品にとって、とても重要なものです。キャラクターによって、きちんと変えています。非現実的な世界でありながら、キャラの世界を作りだす一部でもある。衣装からいろんなものが見えてくるでしょう。僕は目にしたもの、思い浮かんだものをきちんと書き留めておいて、記憶するようにしています。今回の衣装については、まず赤いキャップはズィスーのモデルでもある、ジャック・クストーからヒントを得ました。さらにアディダスのスニーカーについては、もし彼らクルーたちのスポンサーがアディダスだったら、面白いなと思って、履かせました。そのほかに青いZのロゴ入りセーター。これは30年代の映画を観たときに、印象に残っていて、取り入れました。本当にいろんなものにインスピレーションを受けて、それをミックスして作り上げていくんです。ちなみに『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のときにグウィネス・パルトロウが着ていたラコステのワンピース。あれは自分が小学校5年生くらいのときに周りの女のコがほとんどみんな着ていたものなんです。

■日本人とフランス人は性格が逆

Q:監督には独特の観察眼があるように思うのですが、初来日した日本で、何か不思議に思ったこと、気になったことはありますか。

残念ながら、まだ滞在して数日なので、いろいろ知ることができてないんです。もうちょっと日本にいて、もっとさまざまなことを発見できればと思います。ざっと考えて、思い浮かぶのは旅館に泊まったことかな。普段やらないような変わった体験で興味深かったです。でも、現代の日本人にとっても、旅館に行くというのは特別なことで、ノスタルジックな気分に浸れるものなんでしょう。そういえば日本に来る前はパリにいたのですが、日本人は本当にマナーを配慮する人々ですね。相手に失礼にならないようすごく気を遣う。訪れる者に対して、不快にならないように気を配るところがパリと全く逆だと思いました。パリは、アメリカ人が来ることを歓迎していないようなムードの街でしたから(笑)。

『ライフ・アクアティック』は5月7日より恵比寿ガーデンシネマにて公開。

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