『THE MYTH/神話』ジャッキー・チェン 単独インタビュー
取材・文・写真:FLIXムービーサイト
ジャッキー・チェンが初めて挑んだ武侠大作『THE MYTH/神話』がいよいよ公開される。本作は、ジャッキーが歴史上の伝説的な英雄と現代に生きる男の2役を熱演。とくに将軍役では、重そうな鎧に身を包みながらも刀を片手に派手なアクションを演じているファンには待ち遠しい大型エンターテイメント作品だ。そんな大作をひっさげてわれらがジャッキーがインタビューに答えてくれた。
前世は将軍?
Q:1人2役を時代まで違う設定で演じられていかがでしたか?
現代の設定のほうは、いままでやったことがあるような役だったので、あまり面白くなかったかな。やっぱり将軍役のほうが面白いね(笑)。鎧やかぶとは重かったけど、刀を使ったアクションシーンも楽しかったし、馬に乗って200人くらいの部下を引き連れているときはなんだかうれしかった。ちょっと後ろを振り返って、大勢の人間に「あっち行くぞー!」って言ったら「うぉー!」ってついてくるんだもん。ウレシイネ(日本語)! だから昔だったら、僕は将軍になっていたと思うな(笑)。
Q:では前世は将軍だったと思われますか?
ソウソウ(笑)。
Q:本作ではいつもの"ジャッキー・スマイル"が封印されていましたが、辛くなかったですか?
どうだろう? 前作の『香港国際警察/NEW POLICE STORY』でも笑いのシーンはなかったからね。今回の作品も撮影は大変だったね。
けがで肩の骨が出ている
Q:エンディングで流れたNGシーン集のジャッキーさんは、命綱をつけていなかったようですが、撮影中事故などには遭われなかったのですか?
覚えていないんだよ。撮影中はけがをしていても、痛みなんて忘れているからね。つい最近、けがをしたんだ。肩を脱臼してしまってね、今、肩の骨が出ている状態なんだよ。撮影している映画が撮り終わったら手術しなくちゃいけないんだろうなあ。
Q:撮影中のけがですか?
そうなんだ。お医者さんは「3か月動かすな」って言ってたんだけど、僕は翌日から動かしていたね(笑)。
Q:なぜ今回初めて武侠映画に挑戦されたのですか?
昔は武侠映画のマーケットが今ほどなかったからね。今だって、スゴイ人気があるというわけでもないし……。全編武侠映画というわけにはいかないと思ったので、今回は過去と現代を半分半分にしたんだ。
毎日悩み、考えていた
Q:今後も武侠映画に出演される可能性はありますか?
うーん、まだ考えている段階なんだよね。世界中の観客が中国の歴史を知っているわけじゃないからね。中国といえば「チンギスハン」とか「万里の長城」や「孫悟空」くらいしか知らないかもしれない。でも警察をあつかった映画ならどこの国に住んでいても、皆さん共感しやすいでしょ? やはり映画を作るには観客の好みや、世界に通じる題材を選ぶことも大切だからね。
Q:映画には、兵馬傭や万里の長城など中国の文化もたくさん出てきましたね。
そうだね。特に意識していれたわけではなかったんだけど、この作品には中国政府がとても協力的だったんだ。いま、兵馬傭に撮影隊なんてとてもじゃないけど入れないからね。僕たちなんて、下まで入らせてもらったんだからすごく貴重な経験ができたよ。
Q:撮影していて一番楽しかったアクションシーンはどこですか?
楽しいことはなかったよ。毎日悩み、考えていたからね。映画にのめりこみすぎて、自分自身があまり現実離れしないように心がけていたよ。だから現場ではしょっちゅう怒っていたんだ(笑)。僕が映画を撮っているときは絶対現場に来ないほうがいいと思うよ。今のような“ジャッキー・チェン”ではないからね(笑)。
現場では怒ってばかり?
Q:本当ですか? メイキング映像などを拝見するといつも笑顔を見せていらっしゃいますが。
メイキング映像ではよくないシーンはカットしちゃっているんだよ(笑)。 人を怒っているところとか、かんしゃくを起こしている場面なんかはファンには見せたくないからね!
撮影中にかんしゃくを起こすなんて、とても考えられないほど、最後まで優しい笑みを絶やすことのなかったジャッキー。来日回数は数え切れないとだけあって、インタビューの答えにもときどき日本語を混ぜて答えてくれる。生まれて初めての将軍役に大はしゃぎのジャッキーは、「日本のみなさんにぜひ、観てもらいたいよー!」とみずから日本語でラブコールを送ってしまうほど、元気いっぱいのカリスマスターだった。
『THE MYTH/神話』は3月18日より日比谷みゆき座 ほかで公開。