『幸せのポートレート』サラ・ジェシカ・パーカー単独インタビュー
取材・文:高野裕子
大胆な性表現と独身女性の本音を微妙に描き、世界に大反響を起こしたテレビ・シリーズ『SEX and the CITY セックス・アンド・ザ・シティ』で、主人公キャリーを演じて一挙に人気が爆発したサラ・ジェシカ・パーカー。『SEX and the CITY セックス・アンド・ザ・シティ』が終了し落胆している世界中のファンを喜ばせてくれる新作映画『幸せのポートレート』が公開になる。この作品で彼女はキャリーとは正反対、ニューヨークのお堅いキャリア・ウーマンのメレディスを熱演。これまでとは違った魅力を披露している。
複雑な女性
Q:『SEX and the CITY セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー・ブラッドショウのイメージから抜け出すのは大変でしたか?
彼女のイメージから抜け出すというのがわたしの目標になったことはないの。女優としてずっと自分が興味をそそられる役というのを選んできた。今回の仕事も主人公のメレディスがキャリーとは全く対照的で、これ以上違った女性は2人といない、と思ったからこの役を引き受ける気持ちになったの。
Q:家庭がテーマだったというのも本作の魅力でしょうか?
とにかく脚本が良かったから。メレディスは複雑な女性で、こんなキャラクターの出てくる脚本とこれまで出会ったことはなかった。彼女のような女性に出会ったことも、彼女のような役を演じたこともなかったから。彼女って一見したところとっつきにくい。ところが内面はとても優しくて人間的な女性なの。驚かれるかもしれないけれど、メレディスには脚本を読んだそのときから、たまらない愛着を感じたわ。実際のわたしとは全く共通点がないにもかかわらずね。
実際の家族と比べて……
Q:メレディスのフィアンセの家族との関係、あなたとご主人の家族との関係を比べてみてどう思いますか?
マシュー(夫で俳優のマシュー・ブロデリック)のお父さんはかなり前に亡くなったの。お母さんのほうとはマシューに出会う以前に会っていて、ずいぶんメレディスの立場とは違っていたわ。映画で描かれる家族とわたしの家族とはまったく違うけど、それでもお互いに対する思いやりや、家庭の環境を工夫して、皆が幸せでいられるように努力する点などに共通点を見いだすことができたの。
Q:メレディスはフィアンセ家族にとけこめないわけですが、嫌われ役を演じることに抵抗はありますか?
全然ない。わたしはメレディスが好きだし、また彼女がフィアンセの家族の心を最後につかむ、その困難な過程を知って演じてみたいと思ったの。常に人から好かれる役を演じ続けるなんて不可能だし、俳優としての挑戦に欠けるわ。
ファッション・アイコン
Q:衣裳は自分で選んだのですか?
ええ。全部選ばせてもらった。監督のトーマス(ベズーチャ)はファッション業界にいたこともある人だから、彼と仕事をする場合、衣裳には念入りな打ち合わせがある。スタッフを交えて5人で打ち合わせをしたんだけど、驚くほど全員の意見が一致したの。40年代の女優のようなフォーマルなスタイルで行こうって。ヘアーはひっつめたスタイルで。完全に彼女のパーソナリティーを隠しているような。メレディスはキャリー・ブラッドショウのように着飾ることを愛し、着飾るために生きているわけじゃないのよ。
Q:あなた自身ファッション・アイコンとして重要な存在ですが、どんなファッションが自分に一番合っていると思いますか?
実は人が思っているほどわたしはファッションに関心があるわけじゃないの。役柄上、美しい衣裳を着られるのはもちろん、うれしいけど。それよりわたしは第一にシリアスな俳優であり、また一児の母でもある。だから基本的にショッピングはしない。自分に合ったファッション? 平凡かもしれないけどやっぱりドレスが好きね。
Q:映画やキャンペーンで着た衣裳はもらえるんですか?
もらうこともある。きっとオフィスのどこかにあるはず。でもディスプレー・ケースに入れて飾ったりとかはしないわ。実のところ自分の番組とか観たりしないのよ。ぜんぜん!
最先端トレンドのファッションに身を包む、最高にクールな女性として世界中の女性からの憧れであるサラ・ジェシカ。意外な発言にびっくりさせられた。
女優業ばかりでなく、プロデューサー、テレビのコマーシャルやオリジナル・フレグランスなどの発表など多方面で活躍する彼女。3歳半になる息子がいて、息子が学校に通ううちは基盤であるニューヨークでの仕事を優先させたいとか。これからもニューヨークを背景に様々な女性のあり方を演じてくれるはずだ。
写真:(C)2005 TWENTIETH CENTURY FOX, (C)Steven Meisel / Art + Commerce / IPJNET.com
『幸せのポートレート』は7月15日よりシャンテシネほか全国にて公開。