ADVERTISEMENT

『蒼き狼 地果て海尽きるまで』モンゴル撮影現場

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
『蒼き狼 地果て海尽きるまで』モンゴル撮影現場

取材・文・写真:シネマトゥデイ

松竹映画史上最高となる製作費30億円を投じた超大作『蒼き狼 地果て海尽きるまで』が、2007年3月3日より公開される。モンゴルの英雄チンギス・ハーンがモンゴル帝国を築くまでを描いた本作は、主演のチンギス・ハーン役に『男たちの大和/YAMATO』の反町隆史、監督は『時雨の記』の澤井信一郎、プロデューサーには角川春樹を迎え、壮大なスケールで撮影中だ。モンゴル政府からの全面協力を得て、すべてモンゴルで行なわれている撮影現場を取材した。

ADVERTISEMENT

松竹映画過去最大規模のモンゴル取材を敢行

角川春樹、反町隆史

角川春樹事務所と配給元の松竹が、大規模な撮影現場訪問を敢行した。7月14日(日本との時差なし)から2泊3日のスケジュールで行なわれた取材には、マスコミと関係者を合わせた総勢約200名が招待された。

撮影はモンゴルの首都ウランバートルからバスで1時間半ほど離れた、ウンドルドフ(即位の丘とも呼ばれる)と呼ばれる大平原で行なわれた。辺り一面緑が茂る大地が広がり、馬や羊の群れ、ゲル(遊牧民が住む移動式の住居)が点在する広大な風景は圧巻。標高1300メートルの高地だけあり、雲が低く、澄みきった青い空がとてもまぶしかった。

今回取材したのは、クライマックスとなるシーン112で、チンギス・ハーンがハーン(皇帝)の称号を授かる戴冠式のシーンだ。このシーンには、反町隆史、若村麻由美、菊川怜、袴田吉彦のほか、モンゴル国軍兵士とモンゴル国民2万人がエキストラで参加し、日本映画史上類を見ないほど大規模な撮影となった。

“エンペラー角川春樹”見参!

角川春樹、反町隆史

戴冠式のシーンを撮影する2日間に限り、澤井監督に代わり、角川春樹自らが監督を務めた。角川は27年前にモンゴルを訪れ、なぜだか「おれはチンギス・ハーンの生まれ変わりだ」と感じ、いつの日かチンギス・ハーンを題材にした映画を撮りたいと切望していた。

作品への並々ならぬ思い入れと、過去に『天と地』で大規模な戦闘シーンの撮影を成功させた経験から、「この壮大なシーンを撮影するには、技術的な力だけでは解決できない。必要なのは気迫だ! できるのはおれしかいない!」と自信満々に語った。監督やプロデューサー陣も「モンゴル人のエキストラ2万人を統率できるのは“エンペラー角川春樹”しかいない!」と話し合いで決定したそうだ。

当日は、上下カーキ色の服にサングラスと帽子をかぶった姿で撮影に臨み、照りつける日差しの下、しきりにモンゴル語の通訳に向かってエキストラたちへの指示を出していた。セットの一番高い位置から、すべてのキャストやスタッフたちを把握しつつ撮影を進める姿は、まさに“エンペラー角川春樹”ここにあり! といった印象を受けた。

過酷極まる撮影現場の様子

角川春樹、反町隆史

現場にいる撮影スタッフは、30度近い気温と夜10時近くまで落ちない日差しに照らされ、男性スタッフは真っ黒に日焼けし、女性スタッフは帽子に長袖と完璧な日焼け防止対策を余儀なくされていた。さらに現場を過酷にしている要因は、気温だけではなく、平原中に散らばっている馬糞(ばふん)にもあった。乾燥した気候により乾いた馬糞(ばふん)が、馬の走行や風によって巻き上げられ、その空気を吸うことでノドの炎症を起こすスタッフやマスコミが続出した。その症状はスタッフの間で“馬糞症”と名付けられていた。

見渡す限りの大平原に戴冠式のセットが建てられ、“蒼き狼”と描かれた青いスタッフTシャツを着た撮影クルーたちが見守る中、何度も何度もテスト撮影が繰り返された。大天幕に設けられた金の玉座の前には、白いカーペットが敷かれ、その両脇にチンギス・ハーンの家族や親衛隊の兵士、太鼓奏者や踊り子、本物のモンゴル国軍兵士ふんする騎馬隊が陣取った。取材クルーたちは撮影の邪魔にならないよう、少し離れた場所からの取材しか許されないほど、現場にはぴりぴりとした緊張感が漂っていた。

2万人のエキストラがいてこそ実現した迫力の映像

角川春樹、反町隆史

2万人のエキストラは “デール”と呼ばれる民族衣装を身に着け、朝の10時ごろからバス140台とミニバン450台によって次々と現場に到着し、2万人すべてがそろうまでにおよそ3時間かかった。

撮影されたシーンは、反町ふんするチンギス・ハーンが戴冠式のために集まった家来や群集たちに向かって、高らかと即位宣言をするシーン。反町が「モンゴルの夜明けに旅立つ蒼き狼の行方をー!」と叫び両手を空に掲げたのを合図に、エキストラたちが一斉に「ホエラー(=バンザイの意)、チンギス・ハーン」と合唱した。大合唱が大平原に響き渡る様は、本物だからこそ味わうことのできる臨場感にあふれ、圧巻の一言に尽きる撮影風景だった。

撮影を終え、角川は「反町にもわたしにもチンギス・ハーンが乗り移ったような感覚を覚えた。満足いくシーンが撮れた」と撮影に関わったスタッフに向けて感謝を述べた。反町も「チンギス・ハーンの偉大さをより一層感じることができた」と感激した胸の内を語った。撮影後、水を配るトラックにエキストラ群がり、一時現場が騒然となる一幕もあったが、大事件に発展することもなく大成功のうちに幕を下ろした。

自然に抱かれながら開催された記者会見

角川春樹、反町隆史

取材に訪れたマスコミ向けのミニ記者会見が、モンゴルの青空と緑の大平原をバックに行なわれた。ホテルの会場で行なわれる会見とは違い、作品同様にスケールの大きい会見となった。会見には、角川春樹監督のほか、キャストの反町隆史、若村麻由美、菊川怜、Ara、袴田吉彦、野村祐人が撮影衣装のまま参加した。

人間味あふれるチンギス・ハーンを演じたいと熱く語る反町は「角川さんに『おまえ前より成長したな』と言われました。褒めてもらえたのはうれしいけど、実感はありません」とチンギス・ハーンの威厳たっぷりに語った。

女性陣に対しては紫外線対策についての質問が集中し、若村が「サンバイザーの上からUV仕様の布をかぶっています」と万全な日差し対策法を明かすと、角川が「鉄火面みたいだよな(笑)」と率直な感想を述べ、その姿を見たことのあるキャストやスタッフから笑いが起こった。


過酷な撮影状況の中、スタッフ、キャスト、モンゴル人、日本人すべての人々が一丸となり、全力で撮影に臨む姿を目の当たりにして、この映画に寄せる人々の思いを肌で感じることができた。戴冠式のシーンについては、映画史に残る名シーンとなることを確信するとともに、映画の成功を予感させる圧倒的な世界観を垣間見ることができた。

『蒼き狼 地果て海尽きるまで』は2007年3月3日より全国ロードショー。

最新インタビュー

インタビュー一覧 »

ADVERTISEMENT