『イルマーレ』キアヌ・リーヴス&サンドラ・ブロック 単独インタビュー
12年ぶりのキスは、友だち同士のキス?
取材・文:シネマトゥデイ
全米のみならず、世界中を熱狂させた『スピード』のキアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロックが、静かな大人のラブストーリー『イルマーレ』で12年ぶりの共演を果たした。2年という時を隔てた恋人たちを描いた本作は、一足早く公開された本国でも大ヒット。普段は、食事に行ったり、飲みに行ったりするほど、大の仲良しというキアヌとサンドラが、プロモーションのため来日した。インタビュー前日のプレミアでは多くのファンの歓迎を受けて大感激したという2人が、笑顔でインタビューに応えてくれた。
変なオーディションでの初対面
Q:『スピード』から12年経ちましたが、お互いの初印象をまだ覚えてますか?
キアヌ(以下:キ):うん。ええと、確か、『スピード』のオーディションで初めて会ったんだけど、それはそれは、ガッツのある元気いっぱいな若い女の子だと思ったよ。それが最初の印象だね。
サンドラ(以下:サ):すっごく変なオーディションだったのよ。バスを運転しているふりをしなくちゃいけなかったんだけど。わたしは、ちょうどこんな風にして(バスを運転するふり)……。折りたたみのいすはあるんだけど、肝心のバスがない! やっていてばからしくなったんだけど、やったの。でも彼が協力してくれたおかげで、恥ずかしいことも、そんなに恥ずかしく思わずにできたわ。それが最初ね。
キアヌは、ビキニ姿の写真をわたしに送ってきたわ!
Q:『イルマーレ』の撮影は、普通の恋愛映画と違って、お互いの顔を見ながらセリフを言わないですよね。お互いの姿が見えない状態で演じながら、お2人はどのように恋愛感情をはぐくんだのですか?
サ:彼にわたしのビキニ姿の写真をたくさん送ったわ。毎日トレーラーでビキニを着てセクシーポーズで写真を撮ったの。最後まで我慢してれば、この子が手に入るのよって(笑)。我慢してねって! キアヌは、「ア~~~!!(パニック)」ってなってたけどね!
Q:キアヌさんも、ビキニ姿の写真を送ったのですか?
サ:スピードのね。
キ:スピードの?
サ:そう、スピード(競泳用ビキニのブランド)の。
キ:スピードの……黒いのかな。
サ:違うわ、紫よ。
キ:紫の……。
サ:てかてかした小さい紫のやつね。
キ:そっか……。
サ:そうよ!(笑)
めちゃくちゃ特別な環境なら、会ったことがない女性と恋に落ちるかも……
Q:実際に会ったことのない人と恋に落ちることができると思いますか?
キ:めちゃくちゃ特別な環境だったらできるかもね。
サ:実際みんなしていると思うわ。インターネットで通信しあったり、手紙を書きあったり、何らかの形でお互いコミュニケーションがあれば起こりうると思うわ。昨夜のプレミアでは、キアヌに一度も会ったことがなかった、たくさんの女の子が恋に落ちていったのを目撃したわよ!
キ:昨夜は僕の身にも起こったよ。
サ:何? 誰かに恋したの?
キ:ある女性が僕を受け入れて、(ごにょごにょ)……。
サ:やめてよ。
キ:受け入れてくれなかった(じっとサンドラを見る)。
サ:遠くから愛を送ってたわ!
Q:舞台になった家は、とても変わった建物でしたが、あの家で過ごしたいと思いますか?
キ:休暇を過ごしたいね。
サ:わたしは、あの家が好きよ。全面ガラス張りではあるけれど、カーテンが引けるでしょ。あの家の周りには何にもなくて湖の上にたった1軒建っているのよ。
キ:完全に1人ぼっちだよね。
サ:何?
キ:完全に1人で過ごさなくちゃいけないね……。
サ:そうね。わたしは1人で過ごすのが好きなの。隔離されてね。
キ:自分だけの湖だね(笑)。
サ:何かおかしい? 大丈夫?
キ:何でもないよ。ただ、何となくおかしくなっただけ!
あの郵便受けがあったなら、エルヴィス・プレスリーに手紙を書く!
Q:魔法の郵便箱があったら誰に手紙を書きますか?
サ:誰でも、いつの時代の人でもいいの?
キ:エルヴィス……、エルヴィスとサンタクロース!
サ:エルヴィス! あの夜、あのトイレに座っちゃダメよ! だって、エルヴィスはトイレで死んじゃったんだから。大スターなのにかわいそう。
キ:……僕は、サンタ。
サ:ひいひいひいおじいさんとか、実際会ったことない家族に宛てて書くわ。ずっと昔の先祖がどんな生活をしていたか知りたいから。
Q:撮影中の特別な思い出は何かありますか?
サ:スピードを着たキアヌ……。
キ:ちょっと! やめてくれよっ。
サ:素晴らしかったわ。
キ:やめてくれってば~。
サ:誇りに思うべきよ。
キ:あれは、君のためにやったんだよ。
サ:スタイルのいい体を誇りに思うべきだわ。
キ:はいはい……。だけど、面白い撮影の仕方だったね。まず僕が先に撮影をして、2日間休み、そして10日間2人の撮影で、それから彼女の撮影が……何日か忘れたけど、3週間?
サ:もっと長くて、6週間よ。だってキアヌとまったく同じことをしなくちゃいけないから。
キ:そうか。僕と同じ?
サ:キアヌとまったく同じじゃなくちゃいけないの。子どもが2人いたら2人とも平等にしなくちゃいけないみたいに、キアヌが持ってるすべてを把握していなくちゃいけなかったのよ。
キ:だからこの撮影は変わっていたよね。時々撮影できないときもあって。僕が覚えているのは、ある日撮影に行って、準備が十分じゃなくて同じ状況を再現できなかったから撮影しなかったのが面白かった。普通は撮影に行ったら必ず撮影するし、みんなもそう思っている。でもその日は撮影しなかった。ただ、ディナーに行ったんだ。これは面白いエピソードだけど、それだけ、この映画がとてもこだわって撮影されたということの証でもあるんだよ。
12年ぶりのキスは……
Q:12年ぶりのキスの感想は?
キ&サ:なかなか良かったよね?
サ:わたしたちのキスは撮影用だから、家でキスをするのとは違うのよ。
キ:変な感じだよね。
サ:そうね、変な感じよね。だから家でする純粋なキスみたいには楽しめないんだけど、その瞬間はすてきな瞬間だったわ。友だち同士のキスは普段からしているんだけどね。
Q:そう、お2人は普段は友だち同士ですよね? 何だか想像できないんですが……。
サ:あ、そこは忘れるの。友だちだってことは忘れなきゃダメ。
キ:そうだね。友だち感覚は、1回どっかに置いといて……。
キ&サ:で、終わったらまたすぐ友だちに戻る!
Q:旦那さんに悪いとは思いませんでしたか?
サ:そのときはまだ結婚していなかったわ。……ちょっと待って。結婚する前にしたキスもある……。
キ:そうだね。
サ:この映画の中で、独身だったサンドラと妻になったサンドラ、両方のわたしとキスしたなんて、キアヌってば、ラッキーな男ね。
キ:僕は、ラッキーな男だね。間違いない!
Q:日本の皆さんにメッセージをお願いします。
サ:皆さん『イルマーレ』を観に来てください。美しくて、ドラマチックなラブストーリーです。あと、キアヌのスピードも(※サンドラのジョーク)。駆け抜けているキアヌの姿は、子犬ちゃんみたいに、かわいいわよ。
キ:(無言でうなずく)
サ:(大爆笑)
マスコミ嫌いで有名なキアヌ・リーヴスだったが、親友サンドラ・ブロックと一緒だと、彼女のジョークに大笑いしっぱなしだ。いつもは寡黙なキアヌすらも、ついついおしゃべりさせてしまうサンドラの明るい性格が、全米でいつまでも“GIRL NEXT DOOR”(近所のお姉さんのような親しみやすい女性)として好かれている秘密なのだろう。スピードのビキニのネタをいつまでも、ひっぱられて「もうやめて……」と懇願するキアヌを見てうれしそうに大笑いするサンドラ。そんな息の合った2人が演じる最高のラブストーリーは2人の言葉どおり「とてもすてきだった」キスシーンが一番の見どころかもしれない。
『イルマーレ』は9月23日より丸の内プラゼールほかにて公開。