『シャーロットのおくりもの』鶴田真由 単独インタビュー
落ち着いて愛情のある大人の女性を演じたい
取材・文:平野敦子 写真:シネマトゥデイ
『梟の城』や『半落ち』などに出演し、着実にそのキャリアを積んできた鶴田真由。女優として演技にますます磨きがかかってきた彼女が、心温まる動物たちの物語として話題の『シャーロットのおくりもの』で声優デビューを果たす。吹き替え作業に入る前の鶴田に、クモのシャーロット役に抜擢された感想や、初めての声優に対する心構えについて話を聞いた。
動物は好きだが、ゴキブリは大の苦手
Q:クモのシャーロット役の吹き替えを担当するということですが、最初に依頼を受けたときの感想を教えてください。
そうですね……クモのどんな話なんだろうとワクワクしました。動物は好きですが、昆虫は……う~ん、ちょっと苦手かもしれない(笑)。特にゴキブリはダメです。吹き替えは初挑戦だったんですが、どんな風に難しいのかということも含めて未知の世界だったので、まずはやってみようと思いました(笑)。
Q:少女の声を担当した福田麻由子ちゃんはこの映画を観た後、クモを殺すのをためらってしまったそうですが、鶴田さんはいかがですか?
小さいころから家にクモが出ると祖母に「クモは家を守ってくれるのだから殺してはいけませんよ」と言われていたので、クモを殺すことは昔からしていないですね。
ジュリア・ロバーツの声をお手本に!
Q:これから吹き替えをなさるということですが、どのようなイメージのシャーロットになりそうですか?
今はまだ模索中なのですが、シャーロットのキャラクターを生かした温かさと強さを出したいと思います。基本的には、ジュリア・ロバーツの声に添うように作りたいと思っています。彼女が吹き替えをしたシャーロットはすごくキャラクターと合っていたし、ステキだったと思います。彼女のやった役を参考にしながら、吹き替えていきたいと思っています。
Q:ハリウッドの女優さんなどは声優だとメイクや衣装替えがないので、演じるよりも楽だと言う人もいると聞いたことがあるのですが……。
あはは(笑)。自分の“間”で芝居ができなかったり、英語のセリフに合った時間帯の中で日本語を合わせなければならなかったりと、ものすごく制約が多いんですよ。それがどれぐらい苦しいのかわからないので、わたし自身はあまり楽だとは思っていないですね。
笑えるシーン満載のかわいい映画
Q:本編を観ての感想を聞かせてください。
この作品には子ブタやウマやネズミやガチョウなどたくさんの動物が登場するのですが、それぞれのキャラクターの個性がはっきりとしていて、どの動物もおちゃめでかわいらしいんです。おもわず笑ってしまうシーンがたくさんあります。その笑いというのは自分が子どもに返って無邪気に笑えるような感じですので、とてもかわいい話だと思いました。
Q:クモのシャーロットの役を演じられますが、ほかの動物で演じてみたいと思われたキャラクターはいますか?
うーん……(とても悩んだ様子で)、多分シャーロットが自分には一番やりやすい役だと思いますね。小ブタちゃんの役はわたしにはちょっとムリですから。
Q:この映画のお気に入りのシーンを教えていただけますか?
馬がヒューンと倒れて気絶するシーンですね。あそこは何度観ても笑ってしまいます。まだどういう内容かは秘密なのですが、ラストシーンもとても良いのでぜひ観ていただきたいです。あとはそれぞれのキャラクターのかわいらしさも、ぜひ観ていただきたいですね。
シャーロットは“大人の女性”
Q:これからシャーロットを演じるにあたり、注意したい点はありますか?
落ち着いて愛情のある、でもちゃんと芯の強い “大人の女性”にしたいと思っています。
Q:ヒロミさんや松本伊代さんはじめ共演者の方々はぜひ子どもにこの映画を見せたいとおっしゃっていましたが、鶴田さんもご主人とご一緒にいかがですか?
そうですね、この映画は家族で観るのがいいんじゃないかと思います。
Q:今後また声優の仕事があったらやってみたいと思われますか?
うーん、それは終わってみないとなんとも言えませんね。もしかしたらもう二度とやりたくないと思うかもしれませんよ(笑)。想像よりも大変だったと思うかもしれないし、想像よりずっと楽しかったと思うかもしれない。その辺りはまだ分からないので、どうなるか楽しみですね。
Q:では、最後に観客の方々にメッセージをお願いします。
人のぬくもりを感じてジーンとするところが多い映画なので、クリスマスの夜に家族みんなで観てください。ほんのりあったかい気持ちになると思います!
一見おしとやかではかなげな風情の女優、鶴田真由。しかし、実際の彼女はチャレンジ精神旺盛で、好奇心にあふれたとても気さくな人だった。ハリウッドスター、ジュリア・ロバーツの声を吹き替えるにあたっても緊張した様子はなく、むしろ未知の世界に足を踏み入れる状況を楽しんでいるようだ。今後、さらに活躍の場を広げていくことによって、女優としてだけでなく、ひとりの女性としてますます輝きを増していくだろう。
『シャーロットのおくりもの』は12月23日より全国公開。