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『ディパーテッド』レオナルド・ディカプリオ 単独インタビュー

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『ディパーテッド』レオナルド・ディカプリオ 単独インタビュー

自分の職業が大好きだから、セットの上に立ったら、

自然と全身全霊で尽くすよう追い込まれる

取材・文: シネマトゥデイ 写真: 秋山泰彦

犯罪者の一族に生まれたという生い立ちと決別するため警察官となった男は、覆面捜査官としてマフィアへの潜入捜査を命じられる……。マーティン・スコセッシが描くハードボイルド『ディパーテッド』で、レオナルド・ディカプリオは、善良な心を持ちながらもマフィアとして凶悪な犯罪に手を染めていく主人公ビリーの苦悩を、表情を変えずに、まなざしの動きのみで見事に表現した。役者としての真骨頂を示した熱演に、早くもアカデミー賞の声もあがっているディカプリオに話を聞いた。

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僕は自分の職業が大好き

レオナルド・ディカプリオ

Q:素晴らしい才能の持ち主であるあなたでしたが、本作での演技で、役者としてさらなる躍進を遂げましたね。デビューから10年以上たった今も変わらず進化しつづける秘訣を教えてください。

ひとつの映画で役を演じるには、並はずれた努力と労力や気持ちを込めることが必要なんだ。でも時がたつにつれて、僕はどんどん映画に出演することに魅力を感じているし、芸術作品に参加できる喜びがさらなる向上心を生み出している。若くても、有能な役者がたくさんいるからこそ、日々進化し続けて、ほかの役者のレベルに負けないように自分のレベルに磨きをかけているんだ。基本的に、僕は自分の職業が大好きだから、セットの上に立ったら、自然と全身全霊で尽くすように追い込まれるんだよ。

Q:バイオレンス・シーンも数多くありましたが、あのような暴力的な場面は、どのような気持ちで演じられましたか?

おもしろいことに、バイオレンス・シーンをスクリーンで観るのと、演じるのとでは全然違って、演じているときは特に何も感じないんだよ。その役に自然と成りきってしまっているから。でもね、この映画の中で、でっかいイタリアンギャングたちを、倒さないといけないシーンがあったんだけど、そのときは、さすがに緊張したよ(笑)。演技ではなく、リアルに強く見せたかったからね。一回演じてしまえば何でも平気かな……それからは勝手にその役になりきれるから。

Q:大きなギャングを倒した気分はいかがでした?

楽しかったよ! だって僕は実際、凶暴な人間じゃないから、そういったキャラに成りすますのってすごく楽しいんだ。

変質者のマネをするジャック・ニコルソン

レオナルド・ディカプリオ

Q:ジャック・ニコルソンの演技は、アドリブにあふれていると聞きましたが、彼の演技トリックのなかで一番強烈だったことはなんですか?

そうだね、これはマット(マット・デイモン)とのシーンでのことなんだけど……(笑)。本当に“アレ”を出した訳じゃないんだけど、ジャックはトレンチコートを着て現れて、変質者のマネをして驚かせたりしていたよ。僕がジャックに(本当に警察官なのかと)問い詰められているシーンで、予期していなかったのに急に銃を顔に突きつけられたら、本番中だし、当然役者としてはとっさに「どう対処しようか?」と演技で、その状況を抜け出さなければいけないという本能が働くから、自然と演技をすることができて、演技の質が高くなったんだ。あなたが言ったように、ジャックはそういう予期せぬハプニングを生み出して作品を活気づけるプロだよ!

Q:ちょっとビックリしましたか?

いや、僕自身はしなかったけれども、ビリーという役には影響があったね、驚かされたから。

“アメリカの陰”について

レオナルド・ディカプリオ

Q:ヴェラ・ファーミガが演じた紅一点のマドリンは、追いつめられていくビリーを癒す唯一の存在となっていました。あの男女関係をどう思われましたか?

確かに、彼(ビリー)にとってマドリンとの関係は癒しそのものとなっていたね。僕自身は、ビリーのような苦痛や常に命を狙われているような、サバイバルな状況に陥ったことはないから想像もできないけれど(笑)。想像を絶するストレスの中で、マドリンだけが彼にとって真の人間関係を築ける相手だったと思う。この映画の中の人間関係は、だましあい、ウソであふれていて、誰も本性を出さないから。だからそんな環境下で、マドリンとの関係は大切なものだったね。

Q:ボストンという町を舞台に、アメリカの陰の部分を見せ付けられた感じがしましたが、この作品で描かれている“アメリカの陰”についてどう思われますか?

映画には、必ず観ている人たちへのメッセージが含まれているという意見にはちょっと疑問に思っているんだけど、僕らは今、権力者たちに対して、閉ざされたドアの向こうでは一体何が起きているのかという真実を、追求していく必要があると思う。この映画の中でも皆が、真実を隠し続けて生きているけど、僕が演じたビリーは、彼自身ウソの中で生きていながらもそのことに疑問を抱いて葛藤(かっとう)しているんだ。実際、警察組織やFBIによる故意の誤報というのは、今や世の中にあふれているから、考え方によっては、メッセージではないけど、この映画の中の一つのテーマとして社会について考えさせられたんじゃないかな。

王子様からタフガイへ

レオナルド・ディカプリオ

Q:10年前、ティーンたちの間では、まるで王子様のような存在だったあなたが、今ではすっかりタフガイになりましたね。『ギャング・オブ・ニューヨーク』あたりから変化がでてきた気がするんですが……。

そうだね、あの映画に出会えなかったら、こんなにさまざまな役をやらせてもらう機会をもらえなかったと思うよ。いつも新しいことに挑戦しなくちゃ、同じような役ばかり演じていても飽きられてしまうでしょ? 僕がいつも同じような役ばかり、毎回演じていたのでは、誰も僕に興味がなくなってしまうし、同じような役をやるにも限界があるでしょう。だから常にどんな役にも挑戦するし、同じような役でも挑戦したいと思うほどの魅力的な役なら喜んで演じるよ。それが俳優というものだと思うし、興味があることをなんでもやらせてもらえる特別なポジションにいさせてもらえていることは本当にラッキーだ(ありがたいと)思っているよ。


終始落ち着いた様子でインタビューに応えていたディカプリオだったが、尊敬しているジャック・ニコルソンとの話になると、急にクスクスと思い出し笑いを始め、次々に出てくるアドリブに応戦する大変さを楽しそうに語った。「演技することが好き。だから、この仕事にはいつまでも終わりが見えてこない」と語ったディカプリオは、10年後、20年後、さまざまな経験と挑戦を重ねていくことになるだろう。ハードボイルドな演技で観客を圧倒するタフな役者へ躍進を遂げたレオナルド・ディカプリオの姿を、最新作『ディパーテッド』で確かめてもらいたい。

『ディパーテッド』は1月20日より、サロンパス ルーブル丸の内ほかにて公開中。

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