『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』ジェシカ・アルバ 単独インタビュー
子どもたちにとって、わたしはヒーローなの。それって最高!
取材・文:神津明美
アメリカンコミックの大人気映画化作品、『ファンタスティック・フォー』のシリーズ第2弾『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』。残念ながらスケジュールの都合でジェシカ・アルバの来日は中止になってしまったのだが、地元ロサンゼルスで彼女との合流に成功! 笑顔の愛らしいジェシカが、新作のことから知られざる生い立ちまでいろいろと語ってくれた。
共演者は家族同然!
Q:『銀河の危機』でほかのキャストや監督と再会していかがでしたか?
最高だったわ。映画の撮影に関わった人たちって、みんな家族みたいになるの。特に共演者とは、6か月近く製作に携わって、それからまたプロモーションで1、2か月世界中を一緒に旅するでしょ? だから、なおさらね。今回の『銀河の危機』でも4か月の撮影後に、プロモツアーであちらこちら一緒に旅して回ったわ。だから彼らとは家族同然なの。
Q:オフのときなど、一緒に遊ぶことはあるのですか?
ええ。特に(リード役の)ヨアンと(ジョニー役の)クリスとたまに遊ぶの。(ザ・シング役のマイケル・)チクリスとは、わたしたち3人と一緒に出る機会がとても少なかったから余り知り合う機会がなくて。ほら、彼はメークとかボディースーツとか着けるでしょ? だから別の時間帯での撮影が多かったの。
Q:スー役としては、何か大変なことはありましたか?
ん~、そうでもなかった。でもね、マッスル・スーツというものをユニフォームの下に着用させられたわ。ほら、もっとガッチリして見えるようにね。でもね実は……着心地は良くなかったの(笑)。
スーパーヒーローを演じる喜び
Q:スーパーヒーローを演じるのと、ドラマチックな役を演じるのとでは、かなり違うと思いますが、こういった有名なヒーローを演じることになった感想は?
スーパーヒーローの役って、すべては子どもたちのためにあると思っているの。わたしは小さいころスーパーマンにあこがれていた。あのころ(『スーパーマン』を演じた)クリストファー・リーヴに会えていたら、失神していたと思うの(笑)! 子どものころって現実と幻想の区別がつかなくなるときがあるでしょう? 彼らの目にはわたしが最高のヒーローとして映っているのよ。スーパーヒーローを演じるときの何よりの喜びだわ。
Q:今回の『銀河の危機』では、前作よりもっとドラマに深みがありハートを感じました。
わたしも2作目のほうが気に入ってるの。こういうシリーズものの1作目って、キャラクターの紹介とかで、お膳立てっていう要素が強くなってしまうでしょ。誰がどんなパワー持っていて、どんな性格で、ほかのメンバーとの関係は……とかね。でも今回の2作目では、一人一人のキャラクターがもっと人間らしくなって、コミック・ブックの要素に近づいたと思うの。皆が見ていてもっと感情移入できるようなね。
Q:あなたのパフォーマンスはスーというキャラクターに厚みを持たせたと思うんです。森の中でのシルバーサーファーとの一対一の出会いのシーンとか、すごく良かった。
そういう風に言ってくれてうれしいわ。本来、こういう映画の仕事では、セリフの一言に重みを持たせたりするのって難しいの。だって、一日中同じセリフを繰り返して言わなきゃならなかったり、周りでウィンド・マシーンがブンブン回っていたり、特撮チームは走り回っていたり……。演技というよりも、いかにカッコよく見せるか、っていうことのほうが大切になってきてしまうの。だから今回、リードとの結婚のストーリーがあったり、弟ジョニーとのやりとりや、シルバーサーファーの邪悪さ、最終的に彼の実際の人間性を見出す過程とかを演じて、これこそ俳優の醍醐味って思ったわ。
デビューするまでの苦労話
Q:『銀河の危機』を観て、初めてジェシカ・ファンになる人たちのためにあなたの生い立ち、どうして女優になったのかなど教えてください。
5歳の時から漠然と女優になりたいって思っていたの。11歳のときにタレント・コンテストに参加する機会があってね。優勝者は、フォト・セッションの機会が与えられて演劇スクールへの入学、その終了後にはエージェントやプロデューサーにも紹介してもらえる、というコンテストだった。そうしたら1500人ほどの候補者の中から優勝者に選ばれたの。
当初は、8か月かけて演劇スクールへ通う、っていうプログラムだったんだけど11歳のわたしは、本当の学校に通わないとならなかったから、演劇スクールをすべて夏休みに詰め込むことにしたの! 連日8時間授業で、休みなく通ったわ。私、意思が固かったみたい(笑)。だけどうちは、あまりお金がない家庭だったから、バイトして自分の移動にかかるガソリン代を稼いだりしたわ。それでも3か月ぐらいごとにパパが、「ママもそろそろ働きに出ないといけないのにオマエを送迎しているから何もできない。うちは共働きじゃないとやっていけない家庭なんだよ」って言うの。パパは元軍人だったんだけど、そのころにはもう退役していたから家計が結構大変だったみたい。「学校でもいい成績を取らないと演技をやらせないよ」とも言われていたから、勉強も仕事も両方がんばったわ。
Q:気合いが入ってたんですね~!
そうなの。あと、すぐ俳優業に入ったから、ロケ先に来てくれる家庭教師を付けて春休みも夏休みもなく勉強して、16歳で高校を卒業したわ。出番のないとき、待ち時間はどうせヒマだから勉強でもするか……って(笑)。あと、高校を終わらせることで法律上大人としての役を取れるようになったの。大体、やりがいのある役柄は大人の俳優向けが多かったから。自分に対して18歳まで猶予を与えることにしたわ。それまでに大きな仕事を手にできなければ、大学へ進むってね。それで、17歳になった時に1100人の候補者の中から選ばれて、ジェームズ・キャメロン製作のTVシリーズ『ダーク・エンジェル』の役をもらえることになったの。それで今に至っているわけ。
Q:今回は来日がキャンセルになって残念でしたね。
日本は以前に何回か行ったことがあってとても好きな所だから本当に残念。前に行ったときにすごく楽しかったし。つい先日『The Eye』(トム・クルーズが製作する香港映画のリメイク版)の撮影が終了して、中4日しか休みがなくて、来週の月曜から マイク・マイヤーズと共演する『Love Guru』(原題)の撮影に入るの。4日間じゃ来日するにはあまりに忙し過ぎるっていうことで今回は泣く泣く行かないことになってしまったの。
地球の現状に気付いてほしい
Q:最近、俳優さんの中にも環境保護などに力を入れたりして、仕事の外でも活躍している人たちがいますが、ジェシカは俳優業のほか、どんなことに興味がありますか?
恵まれない地域の公立学校の有り方にとても興味があるの。例えばそういう学校をもっと環境とフレンドリーにして、もっと自然のエネルギーを活用できれば、長い目で見て教育予算をもっと有意義な方向に使えると思うのよ。子どもたちに、今から地球の状態を知ってもらう。もっと大きな視野で、ものごとを見る目を育ててあげたい。
Q:今回の『銀河の危機』では、さりげなく環境問題に触れていたような気がします。
そのとおりよ。現在地球は実際にピンチに立たされていると思う。映画で比喩されているけど、地球は今資源を搾取されまくって干からびつつあるのよ。この映画を観て、大人が気付いてくれるかは別としても、子どもたちは映画に隠された意図をなんとなく察してくれるんじゃないかと思うの。子どもって賢いもの。
Q:最後に日本のファンに一言!
『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』を楽しんでね! スー・ストームは個人的に大好きだし、また演じられたら、と思っているわ。この作品は、作っていてとても楽しかったし、皆さんにもエンジョイして欲しいと思っているの。
インタビュールームに入ったとたん、自ら「ハロー!」と明るく声を掛けてきた彼女はやはり超カワイかった! その日の彼女の服装は、オフホワイトのトップにダークブラウンのスーツ、髪の色もブロンドからダークブラウンになっており、大人のムード。お父さんが元・軍人のしっかりした家庭で育てられたせいか、とてもしっかりした聡明な女性という印象を受けた。映画での華やかでお嬢様的な印象とは打って変わって、結構苦労人的なところもある真の努力家ということが判明。ますます応援したくなる人柄だった。
(C) 2006 TWENTIETH CENTURY FOX
『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』は9月21日より日劇1ほか全国公開