『マイティ・ハート/愛と絆』アンジェリーナ・ジョリー インタビュー
ブラッドは子どもに人気があって、ジェラシーを感じちゃうわ
文・構成:シネマトゥデイ
ジャーナリストとしての使命を果たそうと、パキスタンに住んで活動していた実在した人物、ダニエル・パール。彼がテロリストとおぼしきグループに誘拐された事件は世界的な大ニュースとなった。そして、彼の妻マリアンヌ・パールの書いた「マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死」をいち早く映画化しようとしたのはブラッド・ピットだった。お涙ちょうだいの作品にしないようにとピットが選んだ監督は、『グアンタナモ、僕達が見た真実』のマイケル・ウィンターボトム。2007年のカンヌ国際映画祭で開催されたインターナショナルインタビューで、身重の主人公を演じたアンジェリーナ・ジョリーを直撃した。
原作との出会いは妊娠中
Q:ダニエル・パールの誘拐事件、そして妻マリアンヌのことはいつ知りましたか?
実はあのとき、わたしは妊娠中だったから、次の仕事のことなんて何も考えていなかったの。彼女が書いた原作を読んで、過酷な状況にあってもなぜマリアンヌが強くいられるのか、ひたすらマリアンヌの置かれた状況に思いをはせていたわ。
Q:“マイティ・ハート”というのは、マリアンヌのことを指すのでしょうか?
それはダニエルのことよ。原作にも「彼は大いなる心を持った普通の人間だった」という記述があるけれど、マリアンヌを始め、周囲の人に彼が及ぼした影響は計り知れないものがあるわ。
Q:撮影はどんな風に進んでいったのですか?
映画でマリアンヌたちが借りている設定の家は大きかったから、そこは合宿所のようだったわ(笑)。ある場所で撮影をしているかと思えば、カメラが向いていないスペースではスタッフやキャストが食事をしていることもあったわ。
Q:マリアンヌもいてくれたそうですね。
事件が起きたとき、彼女のお腹にいた坊やもね(笑)。わたしも自分の子どもたちを現場に連れて行くから、みんなすっかり仲良くなっていたわ。マリアンヌもわたしと似ているところがあるの。その1つは子どもを国際的な環境で育てたいと思っていること。後は結構バカバカしいことが好きという点も(笑)。2人とも料理が下手だしね。わたしなんて、作れるのはせいぜいサンドイッチかパスタだもの。
Q:お味は?
それはブラッドに聞いた方がいいわ(笑)。
ブラッドとの共同作業は最高にやりやすい!
Q:あなたのパートナーのブラッド・ピットは、早くからこのプロジェクトにかかわっていましたが、あなたは?
マリアンヌが「わたしの役は、ぜひあなたにやってほしい」と言ってくれたの。そのときから責任重大だと思っていたけど、彼女という人を知れば知るほど、その思いは強くなったわ。だって自分が知っていて、しかも尊敬の念を抱いている実在の人間を演じることくらい難しいものはないでしょう? クランクイン前夜は一睡もできなかったくらいよ。こんなに緊張したのは初めてよ。
Q:ブラッドとは共演ではないですが、『Mr.&Mrs. スミス』以来の共同作業ですね。
プロデューサーとしての彼は「驚異的!」の一言よ。わたしもいろんなプロデューサーと仕事をしているから分かるけど、何かトラブルが起こると逃げてしまったり適当に片付けてしまったりする人が結構多いの。でもブラッドは違う。とても根気強くその問題にあたり、必ず解決策を見い出すのよ。俳優にとってこんなにやりやすいプロデューサーはいないわ。監督のマイケルも同じ意見だと思うわよ。
Q:家庭でのブラッドはどんな感じなのですか?
わたしたちは、どっちかが仕事に集中しているときは、手の空いている方が子守を担当するんだけど、ブラッドは子どもの扱いも上手なのよ。特に男の子たちからの人気は圧倒的で、ちょっとジェラシーを感じでしまうほど(笑)。わたしは息子に“アンジー”(彼女の愛称)と呼んでもらっているのよ(笑)。甘えん坊になるときは“ママ”なんだけど。
Q:ブラッドとはまた一緒に仕事をしたいと思っていますか?
もちろん! それも今回みたいな誇りに思える作品なら最高ね。
「アンジー、激ヤセ!」のニュースがタブロイド紙に載ったが、確かにテーブルインタビューの席で隣に座った彼女の手足は驚くほど細い。しかし「でもこの腕に2人の子どもを抱えるんだから(笑)」と心意気はあくまでも肝っ玉母さん。『マイティ・ハート/愛と絆』を通じて深いきずなを結んだマリアンヌとも、「これからも親友であり続けたい」と、大きな瞳で真剣に語る。映画の中のアンジェリーナは、マリアンヌ本人もびっくりするほど彼女にそっくりだった。
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『マイティ・ハート/愛と絆』は11月23日よりTOHOシネマズ六本木ほかにて公開