『超劇場版 ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ 天空大決戦であります!』土田晃之&柳原可奈子 単独インタビュー
音程がずれたりグダグダだったり、いい味出ています
取材・文:内田涼 写真:秋山泰彦
今や“ペコポン”(地球)を代表する人気キャラクターとなった「ケロロ軍曹」のオリジナル劇場版第3弾が公開される。タイトルは『超劇場版 ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ 天空大決戦であります!』。同作のオープニングテーマ「ケロッ!とマーチ2008」で念願の(?)歌手デビューを果たした土田晃之と柳原可奈子にレコーディングの様子について話を聞いた。
グダグダな歌声採用され不服?
Q:レコーディングで特に苦労した点はありますか?
土田:何度も何度も歌うのが大変でした。だって、普通カラオケ行っても、順番待ちがあるから、連チャンで歌うことって無いじゃないですか。あんなに次から次へと「もう1回いきましょうか」って言われると意外としんどかったです。
柳原:そうそう。「絶対、一発で決めてやろう」とすごく気合いを入れてたんですけど、何度も歌っているうちにグダグダになってきて……。そしたら、意外とそっちの方が採用されていました(笑)。
土田:まじめに歌った部分は全然使われてないよね。手を抜いて歌った部分がメインになっていて「あれ?」って。ちょっと腑(ふ)に落ちないですけど(笑)。
柳原:逆に何度も聞いていると、音程が外れたところとか、味が出ていますけどね。
土田:あっ、いいこと言った! そう、味があるんですよ(笑)。
Q:レコーディングをする前に、どの程度練習されたんですか?
土田:いや全然。普通に「ケロッ!とマーチ」のCD持っていたし、いつもカラオケで歌ってますから。それに車のハードディスクにも入っていて、ドライブ行くときは子どもたちと一緒に「ケロッケロッケロ」って。だからレコーディングの前に練習する必要なかったですね。そういえば、可奈子は楽屋とかでよくこの曲を聞いていたよね。
柳原:そうですね、どこに行っても練習していましたよ。わたし、努力家なんで! それにちゃんと歌詞を覚えてないと、本番で土田さんに怒られると思ってたんで(笑)。
Q:「ケロッ!マーチ2008」には、「土田、行きまーす」といったセリフも入っていますね。これはガンダム芸人としても知られる土田さんのアドリブですか?
土田:ガンダムファンの反感を買いたくないんで、ハッキリ言いますが、あれはディレクターの指示です!! 現場ではディレクターと戦いましたよ(笑)。だってケロロのテーマ曲で「土田、行きまーす」は絶対おかしいって。せめて「ケロロ、行きまーす」ならわかりますけど。
柳原:でも最後の方に、アドリブ入れてるんですよね。あれって元ネタは何ですか?
土田:あぁ、「あえて言おう、歌であると」というセリフね。あれは「機動戦士ガンダム」のギレン・ザビっていうキャラクターの演説シーン。ザビ家の長男ですけど。彼の「あえて言おう、カスであると」っていう名せりふを、まぁパクった感じです(笑)。
ケロロについてはただ今勉強中であります!?
Q:「ケロロ軍曹」との出会いを教えてください。
土田:最初は子どもが観ていて、「何これ?」って一緒になって楽しんでいたら、物語の中にちょいちょいガンダムのネタが出てきて「わぁ、これちょっと面白いな」って思ったんです。そのうち「北斗の拳」や「ガラスの仮面」といった僕ら世代のアニメ要素がいっぱい出てくるんで、いつの間にか子ども以上に、僕がハマってしまいましたね。DVDも普通に全巻買って、僕の部屋にあります、リビングじゃなくて。
柳原:土田さん、携帯ストラップもケロロですよね!
土田:ガチャポンでゲットしました。でも最初はクルルとドロロばっかり出てきやがって。それで頭に来て、ケロロを手に入れるまで数千円はつぎ込みました。嫁には「バカじゃないの?」って言われる始末で(笑)。
Q:柳原さんは「ケロロ軍曹」のことをご存じだったんですか?
柳原:かなり一夜漬けでしたけど……。
土田:いやー、いろいろ教えなきゃいけないから大変でしたよ。今でこそ「ケロロ軍曹」のこと少しはわかってくれていますけど、最初のころなんて、ぬいぐるみ持ってきて「誰ですか、これ?」って(笑)。だから「これはクルル! カレーが大好きで声優は子安さん」とか「地球のことはペコポンっていうの」とか全部教えたんですよ。
柳原:おかげで、だいぶコアな情報までたたきこまれました。今はクルルが好きなんです。カレー好きっていう共通点があるんで。
土田:でも可奈子は、21歳の女の子ですからね。なかなかテレビのアニメは観ないですよ。僕も独身だったら観ていなかったかもしれない。
Q:今回の劇場版第3弾では、“ダークケロロ”という敵キャラクターが登場しますが、お2人とも他人には見せていないダークな部分はありますか?
土田:うーん、僕は基本的に“陽”な部分があまりないし、普段からダークなんで……。可奈子は明るいキャラだから、逆に知らざるダークな部分があるんじゃない?
柳原:確かにネタを作るために、他人の会話を盗み聞きしたり、それをメモしたりするときは“ダーク可奈子”かもしれないですね。
土田:冷静に考えれば、可奈子のネタに出てくるキャラクターって、みんなバカにしているもんね(笑)。
柳原:いや、バカにはしてないんですよ! でも「ウザい」って言われるのは一番のホメ言葉ですね。最近やっているネタも、わたしがいつも行ってる美容室の美容師さんがモデル。だから最近、その店にすごく行きづらいですよ(笑)。まぁ、わかってくれているみたいですけど。
ふざけてるわけじゃない!
Q:最後に「ケロッ!とマーチ2008」の聞きどころを教えてください。
土田:さっきも言いましたが、本当ふざけるわけじゃないんです。僕らちゃんと歌ったんですから! この曲を聞いて「こいつら、ふざけているな」と思う人もいるかもしれませんが、それはディレクターのせいです(笑)。
柳原:あっ、そうだ。土田さんはソロの挿入歌もあるんですよね。わたし、そっちもすごく楽しみです。
土田:「燃えろ!ケロロ軍曹」っていうタイトルなんですが、レコーディング中いい感じで歌っていたら「前奏の部分で、タイトル言っちゃいましょうか」ってディレクターの指示が出て、また「えー」って。普通、曲の冒頭でタイトルを言うことってないじゃないですか! あれにはビックリしました。
柳原:「ケロッ!とマーチ2008」はわたしの記念すべき歌手デビュー曲で、ちょっとした小ネタもはさんでいるので、ぜひ聞き逃さないでくださいね!
同じ事務所の先輩後輩ということもあり、2人の息はぴったりでトークも絶好調。インタビュアーが入り込む隙間もないほど、楽しく濃密なケロロ談議に花が咲くインタビューとなった。また、そんな2人のトークを通して、子どもだけでなく大人にも愛されている「ケロロ軍曹」の幅広い人気を改めて実感。今回、劇場版が第3弾を迎え、ますますファンが増えそうな「ケロロ軍曹」が、世代を超えた共通語となる日も近い。
映画『超劇場版 ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ 天空大決戦であります!』は3月1日より全国公開