『花より男子ファイナル』井上真央 単独インタビュー
道明寺みたいに一途に自分のことを思ってくれる人がいたらいいな
取材・文:南樹里 写真:田中紀子
驚異的な売り上げを誇る神尾葉子原作の大人気コミックから誕生した「花より男子」シリーズ。テレビドラマ「花より男子」「花より男子2(リターンズ)」として放映され高視聴率を記録した。その続編であり、シリーズ初のオリジナル・ストーリーとして完結する映画『花より男子ファイナル』。ヒロインの牧野つくしを3作続けて魅力たっぷりに演じた井上真央に話を聞いた。
牧野つくしを演じた日々を振り返る
Q:牧野つくしを演じた日々を振り返ると、今はどのようなお気持ちですか?
あっという間でしたけど濃密な日々でした。なので、今写真や作品を見ても撮影のときの感情がこみ上げてくる感じです。ある意味、つくしと自分が一心同体になってきたようにも思えますし、つくしを通してわたし自身成長した部分もあるので、一生忘れられない思い出深い役柄になりました。
Q:つくし役ともこれで最後ですね。完成作をご覧になっていかがでしたか?
まだ一度しか観れていないんですけど、思い入れが強すぎるのか客観的には観られませんでした。ただ、自分が映っていないところは声を出して笑ったり、胸キュンしたりして楽しめました。それに“花男”ファンにとっては、たまらないシーンがたくさんあるんですよ。これで本当にファイナル(完結)なんだって実感がわいてきました。
Q:豪華絢爛(けんらん)で見どころ満載ですが、お気に入りのシーンを教えてください。
選ぶのは難しい……全部です(笑)。でも強いて言うならエンドクレジット中にみんなのその後が描かれているシーンかな。
Q:ファイナル製作にあたって、アイデアを出された部分はありますか?
女の子が観て胸キュンできるのが “花男”の魅力だと思うんです。その“花男”のファイナルですから、皆さんの期待を裏切りたくはないという思いがこれまで以上に強かったんです。F4は、今まで恥ずかしくなっちゃうような言葉をいっぱい言ってきたけれど、ファイナルだからこそ「もっといっぱい言って胸キュンシーンを増やしてほしい」って希望を出しました(笑)。それから原作にはあるのに、ドラマでは取り入れられなかった道明寺が語る夢とか、あと無人島の場面が大好きなので「ちょっと無理でしょ」と言われながらも、移動も増え過酷になるのを承知で「無人島は? 無人島は?」って言い続けて、映画で採用してもらえました(笑)。
ワールドワイドな撮影現場
Q:今回の撮影は移動が多かったですよね。香港、ラスベガス、無人島など、ある種のロードムービーですが、撮影はいかがでしたか?
ドラマのときからなんですけど、常に何か事件が起きたりして気を緩めることが許されないのが“花男”の現場。でもスタッフ・キャストは、3年間一緒に“花男”を作ってきたチームなので結束が固いんです。なので「大変だねぇ」って笑い合える独特な雰囲気がある。とはいえ、特に無人島のシーンは道明寺とつくしの2人が最終的に追い込まれていく重要な場面ということもあって、体力的にも過酷で本当に大変でした。けど、ラスベガスでは、潤くんが日本にお仕事しに行っている間、4日間ぐらいお休みがもらえたんです。その間、シルク・ドゥ・ソレイユのショーを観たり、カジノで遊べました。カジノでは、ビギナーズラックに恵まれて、100ドルの掛け金が4,000ドルになったんです(笑)。
Q:シリーズ史上最もゴージャスなファイナルの中で、どれか一つが実際にかなうとしたら?
プライベートジェットですね。やっぱりお金持ちでないと無理ですし、行きたいところにいつでも行けるのは素晴らしいってあこがれちゃいます。
Q:ゴージャスといえば、結納の席での振袖姿もすてきでしたね。
ありがとうございます。実はあの着物、私物なんです。昨年の成人式の際に京都で着物を選んだんですが、成人式用の着物よりも先に、一目ぼれしたのが劇中で着ていたアンティークの着物でした。道明寺財閥の御曹司の結納なら、由緒ある感じがふさわしいように思えたし、きっとつくしが選ぶというより道明寺が用意してくれたと考えると、華やかで最適かなって。どこかで着られる機会があればと思っていたのでうれしかったです。
道明寺の一途(いちず)な愛
Q:道明寺とつくしの恋愛・結婚がクローズアップされる物語になりました。2人の愛をどう思われますか?
道明寺のように、一途(いちず)に自分のことを思ってくれる人がいるって素晴らしいと思います。結婚は、まだ実感がないですけど、この映画では結婚がテーマ。なので自分が結婚してもおかしくない年代なんだなぁって(笑)。もし、お姑さんが恐そうだったり、世界の道明寺財閥とかになっちゃったりすると、つくしみたいに耐えられるのか……わたしには恐れ多い感じですね。けど、いろんなことを乗り越え、嫁ごうと思える相手がいるってすてきなこと。本当に道明寺みたいな人がいたらいいですよね。
Q:結婚に対して実感がないとおっしゃいましたが、以前からそうですか?
いずれは結婚するのかもしれないですけど、年齢的なこともあって、どうもピンとこない感じですね。ちなみに子どものころは、将来は動物に囲まれて暮らしたいと思っていました(笑)。
Q:最後に、「ありえないっつーの!」的な撮影エピソードをお願いします。
「ありえないっつーの!」ですか(笑)。それならば、道明寺とつくしの設定と同じようなクランクインのときの格差です。わたしは婚約発表会見で世界にお披露目される、つくしのブサイクな写真撮影から始まりました。「目や鼻の穴を広げましょうか?」とか言って、いかにしてブサイクに写すかを研究しながら、実際にラーメン屋さんで撮影して、スタッフもまばらに20分ぐらいで終了。それに比べ潤くんの撮影初日は、スタッフやエキストラさんがいっぱいいて、高級ホテルの大広間で華やかな婚約披露発表会見の壇上。道明寺が、ソファーにオレ様座りしているシーンだったんですけど、いかにも道明寺とつくしらしいスタートですよね。サプライズでわたしも見学に言ったんですけど、その違いがまさに“花男”(笑)!
吸い込まれそうな輝きのある瞳の持ち主であり、子役時代から変わらない愛らしさをキープしている井上真央。そんな井上の「“花男”は体力勝負の現場」だとキッパリ言い切る姿に、かわいいだけではない仕事への責任感と精神力の強さを垣間見た。“花男”ファイナルは女子は胸キュン体感、男子は胸キュン指南としての鑑賞をおすすめできる胸キュン完結作であること間違いなしだ。
『花より男子ファイナル』は6月28日より全国公開