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『ダークナイト』クリスチャン・ベイル 単独インタビュー

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『ダークナイト』クリスチャン・ベイル 単独インタビュー

ヒースは楽しみながらジョーカーを演じ、自分の出来に満足していたよ

取材・文:鵜沢シズカ 写真:秋山泰彦

前作『バットマン ビギンズ』で新バットマンの肩書きを手にしたのは、実力派俳優であるクリスチャン・ベイル。彼はもちろん、多くの出演者やスタッフが再結集した『ダークナイト』は、7月18日にアメリカで公開され、たった10日間で約300億円の興収を突破し話題となった。今回激しい戦いの中で、ある衝撃的な決断を迫られるバットマンを演じた彼に、本作について話を聞いた。彼の口から語られる実力派俳優たちとの共演やバットマン像から、この映画がなぜこれほど多くの観客に受け入れられたのか、その秘密が浮き彫りになった。

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バットマンの身に起きた変化とは?

クリスチャン・ベイル

Q:同じ役に2度チャレンジした感想は?

同じ役に2度チャレンジするのは、難しくはなかったよ。前作のときには、バットマンというキャラクターを細かく分析したし、アクションシーン用に体も鍛えたので大変だった。でも今回は以前のキャラクターに戻れば良かったし、体も基礎ができていたしね。それにモーガン・フリーマンやゲイリー・オールドマンなど、前作で一緒に仕事をした仲間が現場にいるのも、同じ役に戻るのを簡単にしてくれた。マイケル・ケインやクリストファー・ノーラン監督と仕事をするのは3回目になるけれど、彼らは自分を理解してくれる存在であり、自分が信頼できる存在だとわかっているから、気持ちもだいぶ楽だったよ。

Q:バットマンに変化はありましたか?

彼は成長したし、彼を取り巻く環境も変わった。一番大きな変化は、彼はもはや両親を殺された、怒れる若者ではないってことだろうね。でも、彼はもともとの理想を持ち続けているし、抱える苦しみも変わらない。そして自分の人生を犠牲にしてまで、安全で民主的なゴッサムシティを作ろうとしているところも変わらない。この点で彼は成長した。そして彼は今回、自分の代わりになる人物を探している。その役目には自分のような存在ではなく、合法的に選ばれた人間であるべきだと思っているんだ。前作で生み出した彼の力に、責任を感じているのが本作だろう。

ヒースたちと築いた最高のチーム

クリスチャン・ベイル

Q:『ダークナイト』はアメリカで興行的にもレビュー的にも成功を納めましたが、この映画の魅力は何でしょうか?

僕も今回の興行的な成功には、びっくりさせられたよ。本作は大掛かりなエンターテイメント映画だけど、クリストファー監督はそこに知性を注ぎ込み、記憶に残るような作品に仕上げたんだ。彼はエンターテイメントのために、人間ドラマを捨てるようなことはしなかった。彼は見事にこの2つを融合させて、深みのあるエンターテイメントを作り出した。そしてこの映画は簡単に人々の想像をかき立てることができる。ただ何も考えずに見ようとしても、気が付いたらかなり深くまで、この映画の世界観に入り込んでしまうはずだよ。僕は自分がかかわった映画が成功することがうれしくてね。でも作っているときには、まだ誰もこの映画がこんなに成功するなんて思ってはいなかったけど。

Q:この映画にはたくさんの魅力的な役者さんが出演されていますよね?

この映画が単なるポップコーン・ムービーになっていないのは、キャスティングの成功によるものだと思う。監督はただせりふを読み上げるだけの役者は望んでいなかった。僕たち出演者は、キャラクターを息づかせる努力をしたし、その努力を楽しんだ。演技はスポーツと一緒で、いい人間が集まればいいチームになり、いい結果は生まれる。いいチームの中ではないと、個性を生かすこともできないしね。

Q:ジョーカー役のヒース・レジャーとの共演はいかがでしたか?

とっても素晴らしかったし、彼とのシーンは楽しく演じることができたよ。彼は自分でも楽しみながら、ジョーカーを演じていた。彼自身で成功を確信しているようだった。全力で役に取り組んでいる人間と仕事をするのは喜ばしいことで、ヒースからもそんな喜びを得ることができた。僕たちの仕事は、少しでも手を抜くとバカバカしいものになってしまう。だから彼のような役者と仕事ができることはとてもうれしいよ。彼はジョーカー役に『時計じかけのオレンジ』のような、アナーキーなセンスを足して、本当に素晴らしいジョーカーを生み出したと思うよ。

人々に理解されない存在のバットマン

クリスチャン・ベイル

Q:バットマンを演じた役者として、彼に起こった最もつらい試練は何だと思いますか?

人々に理解されないってことだろうな。前作で描こうとしたのが、彼は人々から誤解され、時には悲しませてしまう存在であるってことだ。前作でこの部分がしっかり描けていて、観客にも伝わっていたから、『ダークナイト』でのバットマンの決断を観客は理解することができるんだ。このこともクリストファー監督の采配のうまさで、今回成功した理由の一つだろうね。

Q:多くのアクションシーンをご自身でされたそうですが?

アクションシーンの中でも、ファイティングシーンしか僕はやっていないよ。前作のときに習った格闘技を続けていたので、より上達できた。とっても楽しかったよ。それに、僕の専属のスタントマンが素晴らしくて、実生活では本当に格闘家なんだ。僕なんて簡単に吹き飛ばしちゃうようなやつだよ。彼のおかげで、僕はアクションシーンでの演技に集中できた。このキャラクターを誰よりも理解しているのは僕だけど、バットマンが本物のコンクリートにたたきつけられるようなシーンはできないからね。

Q:最後に一言お願いします。

(日本語で)こんにちは。『ダークナイト』を楽しんでください。


インタビュー中もその前後も、とっても静かで穏やかな物腰の人物だった。バットマンとして、彼が演じた寡黙で情熱を内に秘めたキャラクターは、彼自身とさほど遠くはないのかもしれない。それでいて日本語を話しながらみせた、子どものような表情が印象的だった。そんな彼が再びバットマンに扮し、宿敵ジョーカーとの戦いを演じた『ダークナイト』。アメリカが夢中になったこのスペクタクル超大作の魅力を、ぜひ自分の目で確認してほしい。

『ダークナイト』は8月9日より丸の内プラゼールほかにて全国公開

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