『幼獣マメシバ』安達祐実 単独インタビュー
わたしの人生を左右する存在は、3歳の娘です!
取材・文:平野敦子 写真:秋山泰彦
映画『テレビばかり見てると馬鹿になる』などの異才、亀井亨監督による一風変わったハートウォーミングストーリー映画『幼獣マメシバ』。35歳の中年ニートの二郎と、彼の人生を変えたマメシバ・一郎との旅を温かく見守る女性、可蓮を演じた安達祐実。これまでの役者人生で経験したことのない優しさを感じたという本作の見どころや、超キュートなマメシバとの共演について楽しそうに話してくれた。
手の平サイズのマメシバにメロメロ!
Q:ずばり安達さんは犬派ですか、それとも猫派ですか?
実家で猫を飼っていたので、どちらかというと猫の方が親しみやすいかもしれないですね。
Q:今回、手の平に乗るぐらいの大きさのマメシバと共演されてみていかがでしたか?
すごくかわいかったですね! もうメロメロでした(笑)。
Q:ご自分でも犬を飼いたいとは思われませんでしたか?
「かわいいから飼っちゃおう!」という気軽な気持ちで飼えるものではないと思うんですよ。でも、自分できちんと責任を持てる上に飼える環境が整っていれば、ぜひとも飼いたいですね。
Q:では、動物のパートナーとして人間に必要な資質は何だと思われますか?
忍耐力と、後は多少の自己犠牲が必要かもしれないですね。自分のことよりも動物のことを優先させるということも、時には必要だと思います。
Q:この映画の中でも、樹海に犬を捨てていく無責任な飼い主の話が出てきますね。
この映画は、現代のいろいろな問題が詰まっている作品だと思います。捨て犬のこともそうですし、引きこもりや家族の問題などもありますよね。
この映画のゆるさが心地いい
Q:安達さんは、この作品をご覧になっていかがでしたか?
日々生活をしていると、新しく人との出会いがあって、緊張の連続なのですが、出来上がった映画を観たら「もうちょっとゆるくてもいいんじゃない?」と思えるようになりました。
Q:主人公で引きこもりの二郎さんに共感する部分はありますか?
人とたくさん接したり、社会に出たりするといいこともたくさんありますが、面倒くさいこともたくさんありますよね? 自分が傷ついたり、イヤだと感じたりすることもあると思うので、二郎ちゃんのように、そういうことに出会わずに生きていけたら楽だろうと思う気持ちもわからなくもないですね。
Q:二郎さんは周りの目を気にするタイプですが、安達さんはどうですか?
わたしは血液型がA型なんですが、よくおおらかなO型だと思われるんですよね。でも、結構周りの目は気にします。一時期コソコソ人が話していると、「悪口を言われているんじゃないかな?」と思ったこともありましたが、今はたとえ悪口を言われていても「まぁ、仕方ないか!?」と思えるようになりましたね。
Q:二郎さんはマメシバの一郎と運命的な出会いを果たしますが、安達さんはこれまでにそのような出会いはありましたか?
人生の節目節目で「この人がいなければ今のわたしはいない!」という人はたくさんいますね。もちろんマネージャーや監督もそうですし。でも、今はわたしの人生を左右するのは3歳の反抗期の娘なんですけれどね(笑)。
Q:娘さんはこの映画をご覧になったのでしょうか?
まだ一本の作品を集中して観るということができる年齢ではないので、そのうちDVDで観賞させることはできると思います。動物がテレビに出ていると、普通のものよりは集中して観るんですが、それでも映画一本を観るのはまだちょっと無理みたいですね。たとえわたしが出演していた作品でも無理だと思います(笑)。後ちょっとでもシリアスな部分があると、「怖いから消して」って言うんですよね。でも、いつかはこの作品も観せてあげたいと思っています。
人間いつだって変われるはず!
Q:二郎さんは35歳で初めて親離れして成長しますが、人間はいくつまで成長できると思われますか?
30代ぐらいまでかな? もちろんいろいろな経験をして、新しく学んでいくことはいくつになってもできるけれど、年を取れば取るほど、なかなか素直に物事を受け入れることができなくなっていくんじゃないかと思うんですよ。反省ができないということは、成長することができないということですから。そういうのは、やはり若いころの方が柔軟だと思いますね。
Q:自分が変わるにはどうすればいいのでしょうか?
現実はそう簡単にはいかないけれど、心の中で何かを変えたいと思っている人はたくさんいると思うんですよ。わたしはそう思う年齢がいくつであってもどんなときであっても、ちょっとしたことで、世界は違う角度から見ることができると思います。人生に迷ったときはこの映画を観て、前に進んでみようという勇気を持ってほしいです。
Q:一郎役のマメシバは、小さいのに随分しっかりとした演技をしていたように見えましたが?
やはりまだ赤ちゃんなので、そんなに芸はできないと言われていたんですが、実際は上手に演技していましたよね! トレーナーの方がうまく指導されたんだと思います。
Q:一番マメシバにメロメロだったのは?
みんなは、もともとそんなに「わんちゃん大好き!」という人たちではなかったんですよ。でも一郎はとってもかわいいので、みんなメロメロだったのですが、どう接したらいいのか……距離感がつかめなかったと思うんですね。そーっと遠くから眺めていたという感じでした(笑)。
Q:富士山の風景も印象的でしたが?
普段富士山に行く機会がないので、今回少しだけ登ったんですけれど「もう登山はしない!」と心に誓いましたね。歩いたり、走ったりすることは一番苦手なことなので(笑)。
Q:では、普段の生活はどうされているのでしょうか?
最近は歩かなければどうしようもない状況なので、仕方なく歩いていますね。子どもを連れて買いものに行ったりしていますけれどね。でも、できるだけ歩きたくないです(笑)! わたしは犬を一日に2回とか散歩に連れて行くのは無理なのかもしれないので、やはり犬は飼えないかもしれませんね……。
顔の大きさがこぶしほどしかなく、細くてきゃしゃなその体からは1児の母親であることがとても信じがたい安達。だが、撮影で一郎を演じた体重およそ10キロの柴犬(すでにマメシバではなくなってしまった)を、「うちの子は12キロなんですよ」とニコニコしながら軽々と抱き上げた姿に、母の強さを垣間見た。とても前向きでしっかりとした考えを持つ安達が太鼓判を押す、大人のための心に効くストーリーと、マメシバの愛らしさに癒されること請け合いの一本を、とくとスクリーンでご覧あれ!
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『幼獣マメシバ』は渋谷シアターTSUTAYAほかにて全国公開中