『映画 レイトン教授と永遠の歌姫』堀北真希 単独インタビュー
冒険ファンタジーであると同時に、心に響く物語でもある
取材・文:古川祐子 写真:尾藤能暢
全世界で累計790万本を突破中の、人気ゲームソフト「レイトン教授」シリーズを映画化した『映画 レイトン教授と永遠の歌姫』。ゲームでおなじみの、考古学教授で謎の研究者である英国紳士レイトンと弟子の少年ルークが、伝説の不老不死王国をめぐる冒険に繰り出す様を壮大なスケールで描く。声優陣はゲームと同じく、レイトンを大泉洋、少年ルークを堀北真希が担当。利発な少年ルークを透明感のある声で絶妙に演じている堀北に今回の映画版アフレコや作品の感想、仕事をする上でのモットーなどさまざまなことを語ってもらった。
すてきな映画になることを確信
Q:最初に映画化の話を聞いたときはどう思いましたか?
もともとゲームの声優をやっているときから、迫力のある画面やストーリー構成が映画みたいだな、と思っていました。だから映画化されると聞いたときも、「どうなるんだろう?」という心配よりむしろ、「すてきな作品になるんだろうな」ってうれしい気持ちになりましたね。
Q:ひたむきで純粋なルークを演じるに当たって、心掛けていたことはありますか?
わたしはプロの声優さんみたいに高度な技術は持っていないし、声に幅がないんですよね。普通に話すとやはり女の子の声に聞こえてしまうので、ルークを演じるときは少年っぽくなるよう意識しながら、低めのトーンで話すようにしました。
Q:映画版は、ゲームとは異なる苦労はありましたか?
ゲームのときと比べると、やはりセリフの量がものすごく多かったので大変でした(笑)。しかも自分の担当するシーン以外は観ないで、ほかのキャストの方の声も入っていたり、入っていなかったりするような錯綜(さくそう)した中で、一生懸命アフレコする状態だったんです。だから仕上がった作品を観たときはすごく達成感がありましたね。
大泉洋に弟子入りしたい!?
Q:ルークとご自身に共通点はありますか?
何にでも興味を持つ、好奇心旺盛なところは似ているかもしれないですね。
Q:ルークはレイトン教授の弟子であることを誇りに思っていますが、堀北さんご自身、誰か弟子入りしてみたい人はいますか?
そうですねえ……。大泉洋さんに弟子入りしてみたいです(笑)。
Q:大泉さんに? 理由は何でしょう?
大泉さんは場を盛り上げて人を笑わせたりするのが得意だし、その一方で人を感動させるお芝居もできる方なんです。そんな器用なところを見習いたいです!
声だけの演技の方が大変!
Q:これまでも声優経験の豊富な堀北さんですが、声だけで表現する演技と、身体全体で表現する演技とではどちらが大変ですか。
声だけのお芝居の方が難しいです。ドラマなどの演技だと、完全に自分に任されてゼロから作り上げることができますが、声だけのときは、ある程度形が出来上がっているものに自分が合わせる作業になるんです。役の気持ちに自分の方から寄っていかなければならないので大変ですね。
Q:この映画は音楽が重要な役割を果たしていて、オペラの美しいメロディーがとても印象的です。普段オペラなどは聴いたりしますか?
普段はオペラではなくて、Jポップを聴いてます! でも海外に行ったときは、やっぱり本場のミュージカルやオペラに触れてみたいと思うので、なるべく劇場に足を運ぶようにしてます。これまでロンドンやチェコで観劇したことがあるんですけど、とても感動しました!
Q:この映画は壮大な冒険が展開する中で友情や親子愛、死を受け入れることの大切さなどいろんなメッセージが含まれている作品ですが、仕上がった作品を観てどんなところが印象に残りましたか。
わたしは今まで、映画の登場人物たちとは違って、永遠の命なんて欲しくないと思っていました。でも、例えば娘の死を受け入れられないウィスラーというキャラクターのように、それぞれが永遠の命を求める理由が見えてくるうちに、自分も同じ立場だったらどうするかな、と考えさせられた部分はありましたね。
女の子の声優にも挑戦したい!
Q:今後また新たな声優をやるとしたら、どんなキャラクターにチャレンジしたいですか?
多分、今までは役と自分のイメージが近いという理由でお仕事をさせてもらっていたと思うんです。だから今後は自分のイメージとはかけ離れた役をやってみたい。割と男の子の役が多いので……女の子の役もやりたいです。
Q:堀北さんはさわやかでボーイッシュなイメージがありますからね。
でも、頑張れば女の子もちゃんとできますよ(笑)!
Q:女優に声優にと、大活躍の堀北さんですが、お仕事をする上でモットーとしていることはありますか。
そうですね。お仕事をしていて壁にぶつかるときはもちろんあります。例えば、こういう声優をしているとき、何度やってもタイミングが合わなかったり、途中で声が枯れて出てこなくなってしまったり、大変なことがいっぱいあります。でも、作品を観てくれる方たちのことを考えて「頑張らなきゃ!」って思うんです。今回も、そのことを意識しながら奮闘していたんですよ。
Q:では最後に、映画を楽しみにしている方たちへ改めてメッセージをお願いします。
18歳のころからお付き合いさせていただいたゲームシリーズが、今回映画になって本当にうれしいです。映画版では、わたしが演じるルークがさらなる大活躍をしています! アニメーションだからこそ実現できる、夢がいっぱい詰まった冒険ファンタジーであると同時に、心に響くものがあるストーリーにもなっています。ぜひ観て楽しんで下さい。
まだ21歳の若さで、すでに多数の映画やドラマ、CMに出演経験のある堀北。終始落ち着いた様子で、じっと相手の目を見つめながら質問に答える姿は、すでにベテラン女優の風格すら漂っていた。そんな彼女がゲームシリーズから長く付き合っているキャラクター・ルークを生き生きと演じる本作は、温かい絵柄はそのままに世界観がよりスケールアップした、子どもから大人まで楽しめる上質ミステリーに仕上がっている。ぜひスクリーンで登場人物たちと共に謎解きをしながら、不老不死王国への旅に身を任せてみてほしい。
『映画 レイトン教授と永遠の歌姫』は12月19日より全国東宝系にて公開中