『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』哀川翔、仲里依紗 単独インタビュー
この作品を作り上げたことは、これからの勲章になる
取材・文:シネマトゥデイ 写真:尾藤能暢
主演・哀川翔×監督・三池崇史×脚本・宮藤官九郎という、最強の3人が手掛けて大ヒットを飛ばした映画『ゼブラーマン』の続編映画『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』が、前作から6年の時を経て、ついに完成した。本作でゼブラーマンの前に立ちはだかるのは、真っ黒のボンテージに身を包んだゼブラクイーン! 演じるのは、これまで清純派路線を突っ走ってきた仲里依紗だ。過酷な三池組の現場を共にした二人が、撮影の裏側から作品の見どころまで、存分に語ってくれた。
仲里依紗が、メチャンコに!?
Q:待ちに待った『ゼブラーマン』の続編ですが、前作から25年後という設定がまたユニークですね。
哀川:そうだね。やっぱり「クドカンは天才だ!」って思ったよね。次回作となると、前回からどう続けさせるかっていうのが、大変だったと思う。だから、新市が記憶喪失になるっていう設定を知ったときは、余計なことを考えなくてよかったから「ありがとう! 記憶喪失!」って思ったね(笑)。しかも2025年っていう時代設定も、またすごい。作る側も大変だったと思うよ。
仲:近未来という設定だったので、グリーンバック(CG撮影で使用する背景紙)を使って撮影するシーンもたくさんありました。そこに、まずびっくりしましたね。初めて経験することが、たくさんありましたね。エイリアンとなんて、戦ったことなかったし……。
哀川:いやいや、それは誰もないよ(笑)。オレもいろんなヤツと戦ってきたけど、エイリアンと戦ったことはないもん!
Q:お二人は本作が初めての共演で、しかも敵同士という設定でした。現場を共にしてみていかがでしたか?
哀川:初めて会ったときは、ふつうの20歳の女の子っていう印象でしたね。うちの娘は上が25歳で、下が12歳だから、ちょうど間くらいだよね。でも次に現場で会ったときは、大変身していたよ。見事に悪に成り切っていたし、すごいなぁって思ったね。
Q:仲さんは、戦うお相手が哀川翔さんということで、やはり大変だったのではないでしょうか?
仲:とっても緊張しました! 哀川さんと戦うなんて、本当にすごいことですよね。哀川さんといえば、「アクション」というイメージがあったので……。
哀川:え? そうなの?
仲:はい! 最初はアクションシーンも初めてだし、相手は哀川さんだし、どうしよう……って思っていました。わたし、メチャンコになっちゃうかしらって(笑)。でも哀川さんが「どんどん攻撃してこい!」って言ってくださったので、思いっ切り演じることができました。
哀川:また殺陣師の方がすごくあったかくてね。もうまるで娘のようにかわいがっていましたよ。「何やってんだ、コラ!」って怒鳴ったりすることもあったけど、それが愛のムチだったわけ。あれが三池組のスクラムの良さなんだよね。やっぱり本番までの指導が、生半可じゃなかったから。あそこまでやらないと、この映画はここまでにならなかったと思いますね。
まじめな悪VSふまじめな白!
Q:仲さんは、本作で歌声を披露(ひろう)されていますね。ライブシーンも、迫力あってかっこよかったです!
哀川:そうそう、本当にイケてるよね!
仲:ありがとうございます。大勢の前で歌うのは、すごく苦手だったんですが、ゼブラクイーンとしてなら頑張れる気がしたんですよね。自分の中に、ちゃんとゼブラクイーンのイメージが出来上がっていたからこそ、歌えたんだと思います。
哀川:うちの娘なんて、「スゲー! カッコイイ!」って絶賛してたよ。歌って踊れるアーティストにも劣らぬ迫力だったよね。あれは、それくらいの衝撃だったね。
Q:また、仲さんは初の悪役ということで、これまで演じられた役柄と違って、気持ちの切り替えがかなり必要だったのではないでしょうか?
仲:そうですね。悪役は、今まで全然やったことがなかったので、最初は戸惑いました。でも、どうせならとことんの悪を演じて、むしろやり過ぎぐらいの方がいいんじゃないかなと思って、振り切りました。
哀川:里依紗ちゃんが演じたゼブラクイーンは、まじめな悪! で、おれがふまじめな白だったんだよ。ふまじめな白VSまじめな黒っていうね(笑)!
Q:確かに!
哀川:どう考えても新市はふまじめだもんな。なんであいつは、まじめにやればやるほど、ふまじめになっちゃうのかね(笑)。不思議だよね。
毎日アザを見ながら、頑張った!?
Q:アクションシーンも満載で、見どころたっぷりでしたね。三池監督からはどんな指導がありましたか?
哀川:三池監督って、ものすごいことやらせるのに、簡単に言うんだよ。「ハイ。あれやって」って!
仲:あ、そうですよね(笑)。わたしもありました。「高いところから、クルッと一回転して、飛び降りて~」って、簡単に言われましたね(笑)。
哀川:そうそう、めちゃくちゃ言うんだよ! でも、あまりに軽く言うから、こっちも「やれるのかな」って気持ちになっちゃうんだよね。「大変だろうけど、お願い」とか、絶対言わないもん(笑)。だから、「できる!」って催眠術にかける力がある人だよね。
Q:そんな過酷の撮影だと、ケガとかされませんでしたか?
仲:はい。でも大変というよりも、楽しんでできました。確かにアザとかすごかったので、痛かったんですけど……。アザは自分が頑張っている証拠だと思って、アザを見ながら頑張りました(笑)。
哀川:オレなんて、バコーンってぶつけても、アザもできないんだけどね(笑)! 顔を打っても、青タンすらできないもん。痛いはずなのに、全然痛くなくてさあ。オレの体どうなっちゃってるんだって思ったね。血がだらだら流れていても、「あ、イテテ」ぐらいだったからなあ……。(一同爆笑)
Q:本当に過酷な現場だったんですね。
哀川:でも、三池監督にオレと一緒なんて、こんなに優しい立ち位置ないよ(笑)!
仲:本当に勉強になりました。厳しい現場だったからこそ、毎日を楽しめたんだと思いますね。
二人が、白と黒はっきりさせたいこととは!?
Q:この作品を終えて、どんなお気持ちですか?
仲:自分で自分のハードルを上げたと思っているので、これからがちょっと怖いですね。実は、次のドラマも殺陣があるので、頑張ります!
哀川:20歳でこんな経験は、なかなかできないもんね! 経験としても、作品としても、すごくいい形で残したと思うんだよね。里依紗ちゃんにとっても、オレも三池監督にとっても、あそこまでの作品を作り上げたっていうのは、これからの勲章になると思うよ!
Q:最後にお二人が、この世に、白黒つけたいことを教えてください!
仲:ちゃんと年金もらえるのか、そこはきっちりしてほしいですね。あとお年寄りが来たら、ちゃんと優先席を譲るとか。そういうところに、白黒つけてほしいです!
哀川:あれは本当にイライラするよな! もうなんかセンサーでもつけてさ、お年寄り以外のヤツが座ったら、ビリビリって電流を流すみたいなふうにすりゃいいんだよ(笑)!
この日、TOHOシネマズ上大岡のオープンを記念して、映画館内でインタビューが行われた。くつろいだ様子で取材に応じてくれた二人は、役柄を忘れてしまうほど、まるで親子のような仲の良さだった。そんな二人が、スクリーンの中で熱い火花を散らしている。哀川が、「本当によかった!」と絶賛した仲は、三池組という最高の現場を経験したことで、ゼブラクイーンのようにたくましく成長したのではないだろうか? ぜひ二人の活躍をスクリーンで確認してほしい。
(C) 2010「ゼブラーマン2 ゼブラシティの逆襲」製作委員会
『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』は5月1日より全国公開