映画『さらば愛しの大統領』世界のナベアツ、宮川大輔、ケンドーコバヤシ 単独インタビュー
大阪のええとこが満載の映画です
取材・文:シネマトゥデイ 写真:吉岡希鼓斗
世界のナベアツが、初めてメガホンを取った映画『さらば愛しの大統領』は、人気芸人の世界のナベアツが大阪府知事に当選した上、独立国家宣言をして大阪合衆国の大統領に就任するという奇想天外なギャグ・エンターテインメント映画だ。暗殺予告をされた、世界のナベアツ大統領を守る刑事二人を、宮川大輔とケンドーコバヤシが、刑事映画史上に残る(?)迷演で見せている。そんな3人が集まれば、インタビューは大暴走! 途中退席、下ネタトークは当たり前! 前代未聞のアホ全開インタビューをお楽しみください。
撮影は楽しかったけど、寒かった思い出が、めっちゃあります(宮川)
Q:3人がいるだけで、何だか楽しそうですが、撮影はいかがでしたか?
宮川大輔(以下、宮川):撮影は楽しかったけど、寒かった思い出が、めっちゃあります。雹(ひょう)も降ってきましたし。
ケンドーコバヤシ(以下ケンコバ):そうそう。雹(ひょう)が降るほどの寒さだったんで、もうオシッコ我慢できなくて……。商店街での撮影だったので、トイレがなかったんですよ。そんな中、布団屋の方が、「うちでオシッコしていいですよ」って言ってくれて……。ほんのひととき、地元の人たちと触れ合うことができて、とても心が温まりました。
世界のナベアツ(以下、ナベアツ):すみません……、ちょっとトイレ行ってきていいですか?
宮川&ケンコバ:え?
ナベアツ:急におなか痛くなってきたわ……。
宮川:ちょっと大統領!
ケンコバ:今、むっちゃええ話してたのに……。
(世界のナベアツ、腹痛のため途中退場!)
ケンコバ:きっと、この時間は家でウン●してる時間なんです。
宮川:そうなんやろな、きっと……。
Q:お二人とも外のシーンでは、真っ白な息が出ていましたね。
宮川:僕ら、ほぼ裸やったんで、ロングのダウンを用意してもらってたんですけど、ヤクザ役の悪役商会の役者さんにはロングダウンが用意されていなくて……。悪役商会の方って、ほんまは、優しい人なんですよ。でも、そのおかげで非常にやりにくくてね……。めっちゃ、気を使いました。
Q:商店街で撮影をしていたら、やじ馬もいっぱい集まりそうですよね?
ケンコバ:ほんまに寂しい話なんですけど、あそこはもうかなり寂れてしまった商店街でしてね……(涙ぐむケンコバ)。今の日本の景気がそのまま象徴されたような……。
宮川:何をいいかげんなこと、言ってんねん! そんなんちゃいますよ。東京の、普通の商店街です。
ケンコバ:小泉政権のつめ跡やな……と。
宮川:関係あらへん! 夜やったから、シャッター閉まってましたけど、普段は普通に活気ある商店街です。
ニコラス・ケイジでも、あれほどリアルな芝居はできなかったと思います(ケンコバ)
Q:ケンコバさんと宮川さんの役柄は、ナベアツ監督が、二人に合わせて考えたキャラクターだったんですか?
ナベアツ:そうですね。やっぱり仲も良いので、脚本考える早い段階で二人の名前が挙がって、二人を想像しながら書いたんです。
ケンコバ:スケジュールが合って、良かったです。もし、合わなかったら、指圧師の役をやっていたかもしれません。
宮川:なんでやねん!
Q:ケンコバさんは、ちょっとエッチな刑事役でした。実生活と共通するところはあるんですか?
ナベアツ:潜入捜査中に、ピンクチラシを見つけて、夢中になるシーンがあるんですけど、あれはまさしくコバヤシくんですよね。あれ、アドリブちゃいました?
ケンコバ:あれは、そうですね。ただ、僕の「ここに電話してみましょうよ!」っていうセリフに対する、大輔さんの「待て!」っていう言葉は間違いなく、いつもの大輔さんじゃないです。仕事優先とか、絶対ない!
宮川:よう言うわ。そんなこと、ありません!
ナベアツ:そやな、いつもの大輔さんやったら、「貸せ!」ですね(笑)。
ケンコバ:ええ。なんで、あれは完全に芝居です。いつもやったら、電話番号登録してます。
宮川:まあ、そうですね。
ナベアツ:最終的には、認めるんかい!
Q:なかなか、キワどい下ネタもたくさん出てきていましたね
ケンコバ:取り調べ室で、宮川さんがとあるスイッチを押したりね。
Q:あれは、なんのスイッチなんでしょう?
ナベアツ:そこにメス入れてきますか(笑)。良い子のみんなは、お父さん、お母さんに聞いてください。
ケンコバ:ドン●ホーテに行ったら、きっと、謎がとけますわ。
Q:宮川さんが謎のスイッチをオンにすると、皆さんがひゃあってなったりするんですよね。あれは、いつ仕込んだんですか?
ナベアツ:いや、仕込んでるわけないでしょう! 仕込んでないのに、あれだけのリアルな芝居ができるってことは、天才なんです!
ケンコバ:ニコラス・ケイジでも、あれほどリアルな芝居はできなかったと思います。
いっつも撮影中にアホなことばっかりしてました(ナベアツ)
Q:宮川さんも、役柄のように、けっこうよく切れるんですか?
宮川:そんなことないです。怒らないです。
ケンコバ:いや、怒ります。こないだも、3人で行ったラーメン屋で、ブチキレたとこじゃないですか!(一同爆笑)
宮川:あれは仕方ないでしょう! 店の客がそそうばっかりするからや!
ナベアツ:いや、ちゃうちゃう。ラーメン屋で、酔っ払いのおっさんが、酔っ払っているもんやから、フラついていて、ガンガンぶつかってきたんです。大輔さんが、ちょうど、つけめん食べて「ウマーい!」って言った瞬間に、ガンッてぶつかって、そしたら「もう、ウマない!!!!」ってぶち切れ(笑)。
ケンコバ:そうそう、「せっかくウマかったのに、そんなんされたら、もうウマないっ!」って。
宮川:かわいいでしょ。
Q:役柄より、ぜんぜんかわいいですね!
宮川:でしょでしょ! 最後、はしで刺したろ思いましたわ。
ケンコバ:ぜんぜん、かわいくない!
Q:ラストシーンで、宮川さんがダッシュするシーンは、すごくかっこ良かったです。
ナベアツ:僕らも、あれはかっこ良かったって思いましたわ!
宮川:ほんま? 走り方見て、年いったわーってちょっと落ち込みました。舘ひろしさんとか、いつまでもスーツであれだけ走れるってすごいです。やっぱりアゴが上がってしまいますもん。
大阪のええところや、アホな僕らをぜひ観てほしい(ナベアツ)
Q:大阪のおばちゃんが、兵隊になっていたのが面白かったんですが、あんなに強烈なんですか?
ケンコバ:スーパーで、魚のパック指で押さえていて、そのままズボッて穴を開けて、フッツーの顔でどっか行きますからね。
宮川:パワーあるよな、ほんまに。
ナベアツ:おばちゃんのパワーもそうですけど、ほんまに大阪のええとこが満載の映画なんです。
Q:この映画には、皆さんの大阪への愛情がたっぷり詰まっていました。最後に、皆さんが、大阪のどんなところが好きかを聞かせてください。
ケンコバ:なんか、ユルいとこが好きですね。
宮川:気取ってないし……。
ナベアツ:人があったかいところ! あと、みんなアホなところ。みんなで観て、大阪のええところや、アホな僕らをぜひ観てほしいと思います!
取材部屋が笑い声であふれかえるほど、3人のインタビューは盛り上がった。この映画のテーマは、「アホ」。アホになるって簡単そうだが、実はとっても難しいもの。今回のインタビューでは、不景気なんてどこ吹く風というくらい、ポジティブなパワーを感じた。「笑う門には福来る」という言葉がある通り、不景気な今だからこそ、わたしたちは、アホ全開に大笑いしていたいものだ。本作で大いに笑って、嫌なことをすべて吹き飛ばしてもらいたい!
【宮川大輔】スタイリスト:平野彩 ヘアメイク:内城千栄子(Lapin)
カルクイントLRG/MACKDADDY(パンツ、ベルト、ネックレスにしたウォレットチェーン)、私物(ボウタイ、靴)
【ケンドーコバヤシ】スタイリスト:今井輝美 ヘアメイク:内城千栄子(Lapin)
WEIRDO(シャツ、パンツ)/GANGSTERVILLE(HAT)
映画『さらば愛しの大統領』は11月6日より全国公開