映画『少女たちの羅針盤』成海璃子、忽那汐里、森田彩華、草刈麻有 単独インタビュー
一生青春!
取材・文:シネマトゥデイ編集部 森田真帆 写真:吉岡希鼓斗
演劇に情熱を懸ける4人の少女たちで作られた劇団・羅針盤の姿と、ある少女の死をめぐるドラマが複雑に絡み合う水生大海のミステリー小説を映画化した『少女たちの羅針盤』。いじめや性、夢に悩みながら、演劇を通して人生にきらめきを見いだしていく少女たちを演じるのは、『書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園-』の成海璃子、『BECK』の忽那汐里、『三本木農業高校、馬術部 ~盲目の馬と少女の実話~』の森田彩華、『蘇りの血』の草刈麻有。広島県福山市での1か月にわたるロケで友情をはぐくんだ4人が、撮影を振り返った。
作品の中心となった演劇シーンのけいこは、全員が真剣!
Q:“羅針盤”での演劇シーンは、素晴らしい出来でしたね。皆さん、かなり練習を積まれたのでしょうか?
成海璃子(以下、成海):羅針盤=演劇、というところは一番大事にしていて、ずっと4人で芝居のけいこをしていました。撮影前から始まっていたけいこは、撮影中も並行して、ロケが終わった後にみんなで集まってやっていました。
忽那汐里(以下、忽那):わたしは今まで舞台経験がなくて、舞台を観たことも2、3回しかなかったので、すごく難しかったです。羅針盤の舞台が、映画になったとき、どんなふうに映るのか、想像もできなかったですね。
森田彩華(以下、森田):セリフの間のタイミングは大変だったよね。わたしは、どうでもいい会話を淡々とする舞台を観るのが好きなので、とにかく面白いものにしたかったんです。だから、間がうまくとれたときはうれしかったです。
草刈麻有(以下、草刈):練習していくうちに、タイミングがつかめてくるんですよね。だから、お芝居もどんどん面白くなっていって……。練習すればするほど、良くなっていくのがわかって、楽しかったですね。
Q:ステージバトルのシーンは、皆さんの熱い気持ちが伝わってきました。
成海:あのシーンは、すごく時間をかけて撮ったんです。本当なら、お芝居を通しでやるところを、何度も区切って。
忽那:ステージバトルのお芝居は、わたしと麻有ちゃんの2人芝居から始まるので、ステージに立ちながら、とてもドキドキしていました。
草刈:みんなでたくさん練習したという意識があって、わたしはそこまで緊張しなかったんです。でもとにかく、客席の一番後ろの列まで声が届くように、最初の一声を出しました。
森田:あれほど大きな劇場の舞台で演劇をするって、このお仕事をしていてもあまりできないことなので、貴重な経験になりました。エキストラの方たちからの大きな拍手はすごくうれしかったです。
4人が語る、共演者たちのキャラクター
Q:それぞれのキャラクターとご本人との共通点ってどんなところですか?
森田:成海さんは、熱いところは似ていると思います。仕事に対して、本当にまじめで、ガッツリ打ちこむ人です。
草刈:リーダーっぽいところも似ているよね!
忽那:いつもみんなを引っ張ってくれていました。でも、瑠美ほどストレートに感情をぶつけたりはしないよね。
成海:口に出しちゃったらソフトに言えない性格だから、言わないんですよ(笑)。蘭は、忽那さんと、重なる感じがしますね。普段話している感じに、すごく近い気がする。おとなしいけどちょっと天然なところとか。
森田:あと、蘭みたいに、たまにはっちゃけるところもあるよね。
忽那:森田さんは、バタに似ていると思います。いつもみんなに「大丈夫大丈夫!」って言いながら、実はすごく気を使っているところとか。
成海:確かに! バタってちょっと強く見せつつ、本当は繊細なんだよね。
森田:なんか、すごい照れる……。(全員笑)
成海:草刈さんは、初めて会ったときがすごく印象的でした。もう、何なんだろう、この子は! って。ずうっと笑いながらこっちを見てくるんです。なんかかわいくて、わんちゃんみたいでした。
忽那:一番年下だったし、映画の中のかなめと同じで、ムードメーカーでしたね。
ホテルの部屋に全員集合!修学旅行のような1か月間で大の仲良しに
Q:広島県福島市を舞台にしたこの作品は、約1か月のオールロケだったと聞きました。皆さんの撮影の思い出を聞かせてください。
成海:本当に濃い現場で、羅針盤のみんなとの距離感が“共演者”っていうのをはるかに越えているんです。けいこもずっと一緒にやっているし、食事にも一緒に行っているし、思い出がいっぱいあり過ぎて、語り尽くせないですね。なんかさ、よくみんなで広島焼き食べに行ったときに、お店の人がいろいろごちそうしてくれたよね!
忽那:え? どこどこ?
森田&草刈:行った! よく4人で行ったとこだよー!
忽那:あー、思い出した! みんなで行ったね。本当に、しょっちゅうみんなでご飯食べていたもんね。
成海:ご飯を食べていたら、急にお店のお兄さんが、「僕、男の子が好きだから、危なくないよ」ってわたしたちに話し掛けてきたことがあったんです。本当に楽しかった! たぶん東京のロケだったら、みんなでご飯を食べに行ったりとかもなかったと思うし。
忽那:夜も、みんなでホテルの部屋に集まったりして、修学旅行みたいだったよね。
草刈:そう、撮影も楽しかったけど、夜に皆と集まるのが本当に楽しみで。常にみんなでふざけていて。みんなとの思い出がたくさんあり過ぎて、語り尽くせないです。
少女たちが、「羅針盤」で見つけた青春!
Q:この作品は、青春を演劇に懸けている少女たちの姿を描いていますが、皆さんがこの作品にかかわって改めて見つけた“青春”は何でしたか?
成海:わたしは、もう一生青春だと思っています! この羅針盤の現場もすごく楽しくて、刺激が強かったので、自分自身、いろいろ変わった気がしています。だから、撮影が終わってから、すごく毎日に気合が入っていますね。
忽那:わたしの役は、3人と違う高校で、最初はちょっと違う距離感だったんですけど、一緒にお芝居をやっていくうちに、仲間になって、打ち解けていくんです。現場でも、一人だけ違う制服でちょっと寂しかったけれど、役柄と同じようにだんだんみんなと打ち解けていく感じがすごく楽しくて、毎日が青春でした。
森田:高校も中学も、青春があまりなかったので、こういう作品に参加できてすごくうれしかったです。何かに夢中になったり、学生時代にできなかったことを、羅針盤のみんなとできたことは何よりもうれしかったです。
草刈:わたしは青春って何だろう……ってよく考えるんですけど、まだあまりわかっていないような気がしています。でも、みんなと撮影しているときは、本当に楽しくて。だから、これから仕事をするときも、ずっとこんなふうに楽しく演じていけたらいいなって思っています。
こちらを真っすぐに見つめながら、はきはきと話す成海を中心に、和気あいあいとおしゃべりをしている4人は、映画の中の劇団・羅針盤そのままだった。一か月に及んだロケではぐくまれた少女たちの友情は、きっとこれから先も大きな宝物となるはずだ。スクリーンの中でキラキラと輝く4人の姿を見ているだけで、何かに夢中になることの素晴らしさに胸がいっぱいになる。青春映画としても十分楽しめる本作だが、そこに絡み合う緊張感あふれるミステリーにも期待してほしい。
(C) 映画「少女たちの羅針盤」製作委員会
映画『少女たちの羅針盤』は5月14日全国公開