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映画『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』浅野忠信 堀北真希 単独インタビュー

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映画『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』浅野忠信 堀北真希 単独インタビュー

僕は俳優なんだなってつくづく思い知りました

取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆 写真:尾藤能暢

国民的ギャグ漫画「天才バカボン」の作者として知られる赤塚不二夫氏と、彼の担当編集者であった武居俊樹さんとの間で繰り広げられた爆笑エピソードを映画化した『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』。赤塚氏役には国際的な活躍が続く浅野忠信、武居さんの性別を女性に変更し、赤塚氏と男女の関係を超えたきずなを結ぶ新米編集者役を、映画『白夜行』で名演を見せた堀北真希が演じる。役者として、見事に振り切れた演技を見せた浅野と堀北が、本作の撮影の裏側を爆笑トークで語り尽くす!

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それぞれの役柄への思い

浅野忠信、堀北真希

Q:浅野さんは、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』でアルコール依存症となる役柄を演じたばかりですが、今回の赤塚さんは、また違う形でお酒と共に生きた人でしたよね。演じられていかがでしたか?

浅野:僕は、『風花 kaza-hana』という映画でお酒を飲んでめちゃくちゃになるサラリーマンを演じてから、『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』の大谷や、『鈍獣』の主人公など、お酒を飲んでどうしようもないことになる役が本当に多いんです。僕自身はものすごくお酒が弱いので、何でおれにばっかりこういう役が? とすごく不思議なんですけど、この役は、いろんなことに挑戦できたので、本当に楽しかったですね。

Q:編集者の武居さんは男性なのですが、映画では初美という女性になりました。堀北さんが女性だからこそ、表現できたと感じられる部分はどんなところでしたか?

堀北:初美が女性だということで、わたしは先生の3番目の女の人になるんだって最初に思いました。お母さんがいて、奥さんがいて、3番目の女性として先生を支える、という。そこがすごく深くて、男女の愛情を超えた、編集者と漫画家のきずなをうまく表現できればいいなと思って演じていましたね。監督からは、赤塚さんに母性を持って接してほしい、と言われました。

浅野と堀北の間にあった、ものすごい温度差!?

浅野忠信、堀北真希

Q:浅野さんの今までのイメージが、百八十度変わるようなはっちゃけぶりが本当に楽しそうでしたね

浅野:撮影初日にニャロメの歌に合わせて踊るっていうのが難題だったんです。歌は前日に録音していたんですけど、踊りは監督にアドリブでっていきなり言われて。「パンクバージョン」とか「普通バージョン」とかいろいろあったんですけど、最後に「イっちゃってるバージョン」でお願いしますって言われてしまって。それでひたすら必死に踊ったんですけど、スタッフが誰も笑っていないんですよ。本当に切なかったですね。

堀北:実はこの作品の撮影が始まるギリギリまで、別の作品を撮っていたんです。だから突然、テンションが変わる感じで、最初は追いつけなかったんです。クランクインの前に、みんなでシェーをしたんですけど、あのときはわたしだけしていなかったと思います。

浅野:えー! そうだったの!? 全然気付かなかった。

堀北:わたし、浅野さんの隣にいたので。

浅野:見えてなかったなあ。でも、あの日、あんなにみんなでシェーして盛り上がったのに、初日の本番で誰も笑ってくれなかったのは本当にショックだったなあ。

Q:初美の入社式に赤塚さんが飛び込んでくるシーンが衝撃でした。あの周囲との温度差は現場でもあったのですか?

堀北:あのときも、やっぱりなんか、実際に引いちゃっていましたね。

浅野:ああ、リアルに引いていたんだねえ。

堀北:リアルに、でしたね。あのときは、周りのエキストラさんたちも「浅野さん、すごく楽しそうだなあ」って言っていました。

浅野:ほんと温度差だよね(笑)。おれ一人に対して50人ぐらいだったから切なかった! でも、入社式の撮影のころにはもうかなり開き直ってましたね。

堀北真希のはっちゃけぶりに、浅野もびっくり!

浅野忠信、堀北真希

Q:作品の中でも、最初こそ2人の間に温度差がありましたが、堀北さんも途中からすごいことになっていましたよね

堀北:なんか途中から、わたしも一気にイっちゃってましたね。

浅野:そうなんですよ。だから最初は距離があったかもしれないけれど、それが途中からはじけ出した堀北さんを見て、ええー、自分もなかなか持ってるじゃないですか! って、逆におれが引き離されそうになりました。

Q:浅野さんは、堀北さんの印象は変わりましたか?

浅野:堀北さんってもっとクールな印象があったんです。でも、作品の撮影が始まってからは、そういう振り切っちゃう部分がちょいちょい見えたりして、あれ? この人本当はクールじゃないのかなって思いました。

堀北:本気出したら、やばいんですよ。

さらりとむちゃな要求! 佐藤英明監督のすご過ぎるリクエストとは?

浅野忠信、堀北真希

Q:先ほどからお話を聞いていると、佐藤監督からの要求がいろいろとあったようですが、どんな監督でしたか?

堀北:さらっとむちゃくちゃなこと言う監督さんです。「え?」って聞き直したくなる感じの要求を、さらっと言ってくるので、そう言われたからには、さらっと応じなければいけないと思って演じました。

浅野:そうそう。ほんと、むちゃくちゃなこと言ってくるよね! ほんとにサラッと言うから、断ることを考えるとか、そういう選択肢が与えられなくて、やらなきゃ……っていう。

堀北:台本だとト書きだけだった部分を何テイクも重ねましたよね。なんか笑いながら走るシーンのときも「ハイのMAXで走ってください」って言われて。監督に「どんな気持ちを入れて走ればいいでしょう?」と聞いても、そういうの関係ないみたいで、監督はただ「MAXで!」って。なんかあのシーン、延々とやりましたよね。

浅野:やりました! で、かなり走って、カットがかかって、OKも出て、「やったー終わったー!」なんて言っていたのに、また何日かたってから監督が「ちょっと撮り足したいから、今度はスタジオで、もう一回お願いします」って。「あれ、終わったんじゃないんだ!」ってびっくりしました。

Q:理性という名のスイッチを外して挑んだ本作で、ご自身の中で何かが変わったなって感じるところはありますか?

浅野:僕は俳優なんだなってつくづく思い知りましたね。俳優って全然格好つけたものじゃなくて、ピエロみたいに、おまえここで裸で踊ってみなって言われたら、そのとおりしなきゃいけない存在なんだな、っていうのを改めて実感しました。格好つけててごめんなさいって感じでした。

堀北:わたしは、お酒を飲んで荒れたり、テンションが高くなったりすることがないので、完成した映画を観て自分じゃないような感覚がありました。でも、豪快に笑える女性とか、テンションが高い人ってすごくあこがれていたので、そういう役柄を演じられたことはうれしかったですね。

Q:昨年は、赤塚さんの生誕75周年でした。もしも今、赤塚さんが生きていらしたら、どんなことをお話してみたいですか?

浅野:赤塚さんと、仲間の方々ってすごく楽しそうなんです。だからただ、赤塚さんたちがみんなと楽しそうに過ごしている空間に、いてみたいなって思いますね。僕が何をしていても、ただおとなしくしていても、平等に扱ってくれるような心の大きさを感じるので、居心地よくそこにいられるんじゃないかって。

堀北:実際に赤塚先生に会ったら、わたしは最初引いちゃうんじゃないかなって、想像してみると思っちゃうんです。でも、楽しい思い出話がたくさんありそうなので、ぜひ聞いてみたいですね。


浅野忠信、堀北真希

普段はクールなイメージの浅野忠信と堀北真希だが、本作の浅野は全裸をはじめ、女子高生になったり、イヤミになったりと大変身! 一方の堀北も、酒乱になって暴れ回ったり、女王様のように浅野のお尻をぺんぺんとたたいたり、はじけまくりの大熱演を見せている。そんな2人に共通しているのは、撮影を振り返り、「あんなことしちゃったね」と言いながら、楽しそうに笑っていること。2人のテンションMAXな演技を見れば、きっと元気な笑顔になれるはず。日本に、さわやかな風を吹き込んでくれる映画が誕生した。

映画『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』は全国公開中

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