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『探偵はBARにいる』大泉洋・松田龍平 単独インタビュー

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『探偵はBARにいる』大泉洋・松田龍平 単独インタビュー

正反対な2人の掛け合いを楽しんでもらいたい

取材・文:斉藤由紀子 写真:吉岡希鼓斗

人気作家・東直己の「ススキノ探偵シリーズ」の2作目「バーにかかってきた電話」を映画化した『探偵はBARにいる』。ドラマ「相棒」シリーズの橋本一監督がメガホンを取った本作は、ナゾの女からの依頼がキッカケで命を狙われるハメになった探偵が、独自の捜査で事件の真相に迫っていくハードボイルド・タッチのミステリー。主人公の探偵をコミカルかつ哀愁たっぷりに演じた大泉洋と、探偵の相棒で超マイペースな高田にふんした松田龍平が、映画さながらの絶妙なコンビネーションで撮影の裏話や初共演の感想を語った。

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初対面で意気投合……ではなかった!?

大泉洋・松田龍平

Q:まずは、北海道が舞台の本作に出演することになったときのお気持ちから聞かせてください。

大泉洋(以下、大泉):原作者の東さんも、プロデューサーの須藤(奏司)さんも北海道の方だったので、北海道で役者を続けていた僕にオファーが来たのだと思うんですけど、とにかくうれしかったですね。もしも、この役を別の役者さんが演じていたとしたら、「なぜ、おれじゃないんだ!」って、すごく悔しがったと思います。

松田龍平(以下、松田):僕は、最初にこの話を聞いたとき、「北海道でおいしいものを食べられるな……」と思いました(笑)。

大泉:……それだけか(笑)?

松田:(笑)。撮影に入る前に大泉さんとお会いして、すごく楽しい方だと思ったので、ご一緒するのが楽しみでしたね。

Q:お二人の息がピッタリでしたが、初対面のときから意気投合されていたのですか?

大泉:はっきり言って、龍平くんは意気投合するようなタイプの人じゃないんですよ(笑)。「イェ~イ」なんて言いながら肩を組んでお酒を飲んだりするような感じでは……。

松田:そんなふうに飲んだときもありましたね。

大泉:いや、ないない(笑)。でも、龍平くんは何とも言えない独特の松田龍平ワールドを持っていて、とても居心地がよかったんです。僕のほうがよくしゃべるし、年もずっと上なんだけど、何となく龍平くんの世界に僕が入り込んでいるような雰囲気があるんですよ。僕のペースではなくて、彼のペースになってしまうというか。

松田:大泉さんは、最初から壁をまったく感じない方でした。撮影現場の雰囲気が良かったのも、大泉さんの力が大きかったと思います。その場を明るく照らしてくれる「晴れ男」みたいな感じですね。

大泉:実際の僕は、どちらかというと「雨男」ですけどね(笑)。

痛いけど楽しかったアクション撮影

大泉洋・松田龍平

Q:雪の中のアクションシーンも見どころですが、スタントはほとんどなしで挑んだそうですね?

大泉:そうですね。アクションシーンを撮るときは、「あー、今日もアクションか……」って、憂うつでしょうがなかったです(笑)。やるたびにちょっと足をひねってしまったり、軽く突き指をしたりしちゃうんです。スタッフさんに「大丈夫ですか!?」って言われて、「大丈夫、大丈夫!」なんて答えていましたけど、本当は満身創痍(まんしんそうい)でした(苦笑)。でも、現場はすごく楽しかったですよ。ピリピリするスタッフもいなかったし、監督も本当に楽しそうにされていましたしね。

松田:監督は、血ノリを使うアクションシーンが本当に楽しそうでしたよね(笑)。

大泉:そうそう。もう、楽しくてしょうがないんだなーって何度も感じました。もともとアクションがお好きな方なんですよね。

松田:安全に気を使い過ぎるのではなく、「そこまでやるか!」というくらい攻めていく現場だったので、ハードな撮影ではありましたけど、すごく楽しめましたね。

Q:松田さんのスピーディーなアクションもさすがの一言でした。撮影のためにアクションの勉強をされたんですか?

松田:特に何もしていません。撮影前は「大丈夫かな?」と少し不安に思っていました。

大泉:でも、回しげりとかスゴかったよね!

松田:そう言ってもらえるとうれしいです。

大泉:確かに、撮り方は大事だよね。撮るアングルによっては、相手に攻撃が当たっているように見えないときもありますし。やっている僕らは自分でチェックができないから、撮影中はカメラマンさんだけが頼りなんです。今回の撮影の田中(一成)さんは本当に素晴らしかったです。

女性に頼まれたら、やっぱり断れない!?

大泉洋・松田龍平

Q:古今東西の探偵モノの中で、お気に入りの作品があったら教えてください。

大泉:探偵モノといえば、松田優作さんの「探偵物語」は好きでしたねえ。

Q:実は、「探偵物語」と本作には、同じにおいを感じました!

大泉:そうですね。どこか雰囲気は似ていますよね。都会の街を動き回る探偵という部分もそうですし、陰影のはっきりした画の質感もそうさせたんだと思います。でも、もちろん優作さんをイメージしたわけではないですよ。僕とは、役者としてのレベルが違い過ぎますから、まねしても仕方ない(笑)。

松田:周りの人々に愛されているというところが似ているのかもしれません。きっと、男があこがれるいいイメージの探偵像なんでしょうね。

大泉:そう、僕らの世代の男があこがれる探偵といえば、やっぱり松田優作さんでしょうね。それ以外でも、「明智小五郎」シリーズや「金田一耕助」シリーズなど、昔は探偵ものが多かったですよね。今でもたまに観たくなります。

松田:僕の世代の探偵といえば、「名探偵コナン」ですけどね。

大泉:世代の違いを感じるよね(笑)。

Q:女性からの頼みごとに弱い本作の探偵。お二人は、頼まれたら断れないタイプですか?

大泉:男女問わず、誰かに頼まれるとがんばってしまうタイプです。乗り気ではない仕事でも、「ぜひ大泉さんで!」って熱く言われてしまうと、「やりましょう!」ってなってしまうことが多いです。

松田:僕も、相手の熱意に動かされて仕事を受けてしまうことが多いですね。

続編があったらラブシーンを入れてほしい!

大泉洋・松田龍平

Q:原作のようにシリーズ化を期待してしまう本作ですが、もしも続編があったとしたら、リクエストしたいことはありますか?

大泉:僕ではなくて、高田に熱いラブシーンとかをやってほしいですよね(笑)。こういったハードボイルドは、濡れ場があったほうがいいんですよ! 実は、今回も監督に言っていたんです。「高田の乱暴なラブシーンを入れましょう! 意味もなく激しい濡れ場があってもいいじゃないですか!」って(笑)。

松田:僕は、もしも続編があったら、監督に「探偵の激しいラブシーンを入れましょう! それを高田はそっとのぞいていますから!」とリクエストします(笑)。

大泉:のぞいているって、そんな気持ち悪いヤツいないだろっ(笑)!

Q:やっぱりお二人は、映画の探偵と高田そのままの名コンビですね!

大泉:僕と龍平くんはテンポがまったく違うから、逆に合うのかもしれませんね。僕たちのテンポのズレが、芝居でもうまく出せたような気がするんです。

松田:そうですね。僕は、大泉さんが演じる探偵に合わせて高田というキャラクターをつくっていったところがあって、すごく刺激を受けました。

大泉:喜怒哀楽が激しい探偵と、びっくりするほどマイペースな高田、正反対な2人の掛け合いを楽しんでもらいたいですね。


役柄のイメージそのままの明るくてサービス精神満点の大泉と、クールな中に意外なほどのユーモアを秘めた松田。取材中、まじめに語っている大泉の横で松田がおどけたポーズをしてみせ、大泉が思わず吹き出してしまった場面も。そんな2人が最高の名コンビをつくり上げた『探偵はBARにいる』は、最後までナゾを引っ張るミステリーとしての面白さや、ホロリとさせられる純愛ドラマなど、映画的な魅力に満ちた秀作だ。見終わった後は、静かなバーで一杯やりながら、映画の余韻を味わいたくなることだろう。

(C) 2011「探偵はBARにいる」製作委員会

映画『探偵はBARにいる』は9月10日より全国公開

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