映画『ライアーゲーム -再生-』松田翔太&芦田愛菜 単独インタビュー
映画の中ではだまし合っていても、作品は助け合って生まれた
取材・文:高山亜紀 写真:吉岡希鼓斗
2007年に深夜枠でテレビドラマ化され、2009年にゴールデン枠でシーズン2を放送、2010年には映画『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』が公開され、着実にステップアップを遂げてきた「ライアーゲーム」シリーズ。2012年、新たなヒロイン篠宮優役に多部未華子を迎え、映画『ライアーゲーム -再生-』として生まれ変わった同シリーズで、元天才詐欺師・秋山深一を演じ続けてきた松田翔太と、本作で最年少事務局員アリスに抜てきされ、笑顔を封印して新境地に挑戦した芦田愛菜が、初共演を振り返った。
2年ぶりの新作。でも続編は予感していた!?
Q:出来上がった作品を観て、どうでしたか。
松田翔太(以下、松田):できれば、もう一度、観たいです。
芦田愛菜(以下、芦田):秋山がいろいろ計画を立てて、いろいろ見破っていくのが面白かったです!
Q:松田さんは、2年ぶりの新作と聞いたとき、どのような心境だったのでしょうか?
松田:1が終わっても、2があって、その後も映画……とあったので、その辺は慣れていたかもしれません(笑)。それに、またこうやって映画を作るチャンスがあるというのは大変、光栄です。秋山深一という役ができたのは、僕にとって大きなことでしたし、また松山(博昭)監督の作り出す世界に行けるということが、本当にうれしかったです。
実はとっても優しい松田翔太の素顔
Q:秋山を2年ぶりに演じてみて、何か新しい発見などはありましたか?
松田:設定では一応、年を取っていますが、基本的には「ライアーゲーム」の中の秋山は変わっていないんじゃないかなと思いながら演じていました。ただ、ヒロインに多部(未華子)さんを迎えたことで、口調が優しくなっていたり、演技をしていく中で自分の中の自然な変化に気付いて、成長したのかなと思いました。実際、自分自身が年を取ったからかもしれませんが(笑)。
Q:愛菜ちゃんのアリスという役は、とても難しい役どころでしたね。
芦田:目や体を動かさないお芝居は難しかったです。
Q:今日の衣装もそうですけど、映画でも黒い衣装がすてきでした。
芦田:こういうクールな衣装を着てみたいと思っていたので、衣装合わせのときから、早く本番が始まらないかなってワクワクしていました。(Ω役の)江角(マキコ)さんと撮影したときは、自分がちっちゃいΩ(オメガ)みたいでうれしかったです。
Q:松田さんと愛菜ちゃん、お互い共演しての印象は、いかがでしたか?
松田:一緒に演技をする場面は少なかったので、また違う作品で一緒になれたらいいですね。
芦田:松田さんは、絵を描いていたら、「何を描いているの?」とか、「おれには“バイバイ”でいいよ」とか、たくさん話し掛けてくれて、本当に優しくてうれしかったので、わたしもまた共演したいです。
松田が太鼓判。愛菜ちゃんはもう立派な大人!
Q:撮影現場はどんな雰囲気でしたか?
松田:撮影現場は、足場もあまりよくなく、廃墟独特の空気が漂っていたのですが、とてつもなく広かったので、開放感もありましたね。でも、寒かった。あの撮影現場は愛菜ちゃん、怖かったんじゃない?
芦田:(「ライアーゲーム」のメインとなる)セットは、キラキラしていてきれいだったんですけど、外は電気が消えると暗くて、ちょっと怖かったです。
Q:キャストは新旧入り混じった個性的な面々ですが、どのようなムードだったんでしょうか?
松田:皆さん、個性的なキャラクターを演じる上で、常に高いテンションを保っていらしたんですが、それがとても助かりましたね。「ライアーゲーム」シリーズは、撮影に長い時間を費やすんですが、助け合いがすごかったです。スタッフの方が、肉まんを持って来てくれたり、スープを用意してくれたりして、そのおかげでキャストも自分の出番が終わったら終わりということにはならず、役に入り込みながら面白い話や芝居の話ができました。実は自分も撮影が終わった後、愛菜ちゃんの演技を残ってこっそり見たりしていたんです。
芦田:え? わからなかった!
松田:僕らがいないところで、撮影していたのを見せていただいたんです。事務局員として一生懸命、やっている彼女の姿がすてきで、ちょっと感動してしまいました。こんな小さな女の子を巻き込んでまで、「ライアーゲーム」をやっているんだなって。始めて何年にもなりますが、またもう一度、できたんだなあと感慨深かったし、今時代を背負っている“女性”である彼女に出ていただいて、本当にうれしかったです。
芦田:ありがとうございます!
Q:松田さんはちゃんとレディーとして愛菜ちゃんに接しているんですね。
松田:もう立派な大人ですからね。
芦田:いえいえ、そんなことないです(笑)。
松田:子ども扱いをしたくないというか、僕も小さいときに「そんなこと、わかっているよ」と思うことがあったから。彼女、頭、いいですからね。ちゃんとした“女性”として接したいなというのはありますよ。ね? “女性”ですよね?
芦田:(照れ笑い)。
愛菜ちゃん、次回作ではプレイヤーに挑戦!?
Q:今回の賞金は20億円ですが、もし自分ならどう使いますか?
松田:山を買います。僕はクロスカントリースキーをやっているので、一番、雪質のいいところに山を買いたいです。調べてみたら、スキー場でも廃れたところなら800万円くらいで購入できるそうなんですよ。管理が大変そうで、以前考えたときは思い直しました(笑)。
Q:もしシリーズが続くなら、今後はどんな「ライアーゲーム」を希望しますか?
松田:誰かが演じている秋山を客観的に見てみたいです。そして、一参加者としての僕の新しいキャラクターを作ってみたいなと思います。あるいは愛菜ちゃんみたいな“女性”がゲームに呼ばれてしまうとか。秋山の相手はこれまでは成人した“女性”でしたから、女の子に対して、どう接するのか。今まで通り冷たくするのか、あるいは「仕方ないな。今度はおれが解いてやるよ」となるのか、その辺、ちょっと見てみたいですね。愛菜ちゃんに「助けて。1億円の負債、背負っちゃったの」と言われたら、これはまた秋山もぶれざるを得ない。それは新しいんじゃないかと思います(笑)。
Q:じゃあ、愛菜ちゃん、今度はプレイヤーになる?
芦田:うーん……。
松田:撮影、大変だもんね。もうちょっと大きくなったらね。
Q:最後に、松田さんにとってのライアーゲームとは何か教えてください。
松田:少年少女に会っても、同世代の人たちに会っても、精神的哲学など抜きにエンターテインメントとして紹介できる作品を自分の中に持っているという感覚がすごく強いんです。この作品の存在に本当に助けられています。
「ライアーゲーム」の秋山深一は、他人のどんな表情の変化も見落とさないが、自分の感情はほとんど表に出さない。松田翔太自身もそんなクールなキャラなのかと思っていたが、小さなレディー芦田愛菜の前ではとても穏やかな表情を見せていた。一方、映画では笑顔を完全封印していた芦田はといえば、取材中、くるくると表情を変え、これがまた想像を絶するかわいさ。実際に、こんなかわいらしい女の子の頼みだったら、完ぺきな秋山もぶれるに違いない。松田提案の「ライアーゲーム」の続編、案外ありかも。二人のがっつり共演はぜひ次回作でお願いしたい。
(C) 2012 フジテレビジョン / 集英社 / 東宝 / FNS27社
映画『ライアーゲーム -再生-』は3月3日より全国公開