『バイオハザードV:リトリビューション』ミラ・ジョヴォヴィッチ&ポール・W・S・アンダーソン監督 単独インタビュー
作品に関わる全ての人たちがこの映画を愛している
取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆 写真:奥山智明
続編が公開されるたびに、世界興収記録を塗り替える記録的ヒットを飛ばしている人気シリーズ第5弾『バイオハザードV:リトリビューション』がついに公開を迎える。本格的に3Dカメラで撮影された映像は、前作を上回る大迫力! 第1作をきっかけに出会い、現在は夫婦二人三脚でシリーズを作り上げている主演のミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソン監督が、10年以上にわたり情熱を注ぎ続けてきた本シリーズへの思い、さらに中島美嘉も登場する東京シーンの思い出を語った。
シリーズ史上最高にハードなアクションの連続!
Q:最高にかっこいいアクションシーンばかりでしたね!
ミラ・ジョヴォヴィッチ(以下、ミラ):今までのシリーズで一番ハードだったって断言できるわ。ファイトシーンのトレーニングは6週間前からみっちりやって、撮影に入ってからも、オフの日には役者全員が次の週に備えたトレーニングをしなくてはいけないくらい大変だった。
ポール・W・S・アンダーソン監督(以下、アンダーソン監督):家に帰ってくるミラを見るのはつらかったよ。毎晩、体中が青あざだらけで、それがどんどん増えていくんだからね。あるシーンの撮影では、彼女がこぶしをけがしたんだ。「大丈夫よ!」って言っていたけれど、よく見たらゴルフボールほどに腫れ上がっていた。すぐに病院に連れて行ったけど、彼女の強さにはびっくりしたよ。
ミラ:あのときは、みんな「うわ……」って絶句していたわね(笑)。
Q:それにハラハラドキドキする展開は、まるでゲームをしているようでした。
ミラ:今回は、本当にたくさんの人にそう言ってもらえたわ。「バイオハザードの世界にいる感覚だ」ってね。それってすごくうれしいことなの。
アンダーソン監督:確かにうれしいね。そのたくさんの人々の期待に応えるため、僕らは最大限の努力をした。3D撮影についても、ただの3Dじゃない、これまで観たこともないような映像にしたかった。だから、観客からの「楽しんだ」という一言は僕らにとって一番の喜びなんだ。
ミラ:俳優たちは、1日16時間にわたって撮影をしていたけど、ポールをはじめとする撮影スタッフの労働時間はそれ以上だった。わたしたちが現場を離れた後も、その日撮った映像をすべてチェックして、ミーティングを重ね、次の日の準備をして……。わたしが家に帰ってから、ポールだけ3~4時間帰らないこともざらだった。1日20時間以上働いていて、ほとんど寝る時間もなかったくらいよ。でも彼らを動かしているのは、全て作品への情熱なの。わたしとポールはもちろん、作品に関わっている全ての人たちがこの映画を愛しているのよ。
アンダーソン監督:そうだね。作品に懸ける情熱があるからこそ、プレッシャーも感じている。多くの人が楽しんでくれるか、公開前は本当にドキドキしているんだよ。
『バイオハザード』は、ミラ夫妻の愛の軌跡だった!
Q:夫婦で作った映画は失敗するといわれることもありますが、本作はシリーズを通して大ヒット。お二人も、本当にラブラブですね。
アンダーソン監督:マシンガンを片手に持っている奥さんだからかな。怖くて逆らえないのさ(笑)。
ミラ:ポールはわたしがこれまで出会った中でも、最高に素晴らしい人。ずっと彼に夢中なの。この作品は、まさにわたしたちの愛の軌跡だと思っているわ。1作目で出会って、2作目のときに大ゲンカしてから1年半ほど別れちゃって(笑)、でも10年間ほとんど一緒にいられたのは、この作品のおかげ。それにこの映画のために、ずっとトレーニングを続けているからダイエットにもなるの。おかげでスタイルを保っていられるから、夫のためにきれいでもいられる。30歳を超えると、スタイルをキープするのって本当に大変なんだから!
Q:アンダーソン監督は前作から監督に復帰しましたが、現場で夫婦げんかをしたりすることはなかったんですか?
ミラ:わたしってすごく気分屋で面倒くさい人間なの。現場にいると特にストレスを感じやすくて、イライラしちゃうし。でもポールはどんなにストレスを感じていても、それを見せない人。彼の冷静なところがいつもわたしを助けてくれるのよ。監督としても、ああしろこうしろってイライラするタイプじゃなくて、いつも穏やかなの。
アンダーソン監督:2と3では監督をしなかったけれど、撮影現場にいてもディレクターズチェアに座れないことが本当にストレスだった。ほかの監督たちが気に入らなかったという話じゃなくね。そのときに二度とこんな思いはしたくないって思ったから、前作でも本作も、監督ができているだけで撮影中はずっとハッピーだったよ。
ミラ:あのね、監督が旦那様ってすごくいいのよ。わたしたちは撮影が終わると、いつもハワイでバカンスを過ごすんだけど、そこで彼に聞くのが次回作のこと! 夜マイタイを飲みながら「アリスはこれからどうなるの? 次は誰が出てくるの?」なんて質問タイムが始まる。たまに聞きすぎて、怒られちゃうんだけどね(笑)。
中島美嘉の熱演は「クレイジー!」
Q:前作に続いて東京が登場するのは、日本のファンにとってすごくうれしいことです。
アンダーソン監督:渋谷のスクランブル交差点はすごく有名で、世界中の人が一目見て「東京だ」ってわかるランドマーク。だから、今回は前回に続く重要なシーンに登場させたんだ。
ミラ:雨の中でたくさんの傘が行き交う東京のシーンはお気に入りの一つよ。渋谷は本当にかっこいい街! 昨日も109で3時間ぐらいずっとショッピングをして、今日着ているTシャツもそのとき買ったのよ(笑)。
Q:中島美嘉とのファイトシーンも迫力満点でした。
ミラ:美嘉は本当に小さくて細くて、吹けば飛んでいっちゃいそうだった。しかもすごくおとなしいのよ。でもアクションの声が掛かった途端に、ものすごいエネルギーで襲い掛かってきて、すっごくクレイジーだった。しかもカットの声が掛かると、またものすごくおとなしい女の子に戻るのよ。「本当に別人になるのね!」って思わず言っちゃったわ。
アンダーソン監督:彼女はタフだったね。あのシーンを撮影したのは、明け方の3時で、雨も降らせていたから凍えるような寒さだったんだ。ファイトシーンの撮影もすべて夜中だった。アクションもとても複雑だったんだけど、彼女は文句ひとつ言わずに成し遂げた。
Q:日本はシリーズにとって、とても重要な存在なんですね。
アンダーソン監督:その通り。何といっても、ゲームの生まれた国だしね。僕は常に日本のファンを意識しながら、この作品を作っている。こうしてかっこいい東京のシーンを入れられたことも、日本人キャストたちを登場させることができたこともすごくうれしいんだ。3Dはもちろんだけど、東京のシーンは思いっきり楽しんで観てほしいね。
ミラ:とっても重要よ! わたしは、このシリーズを支えてくれているのは、日本にいるたくさんのファンだと思っているの。今回はみんなが喜ぶようなキャラクターもたくさん登場するから、楽しみにしていてね!
仲むつまじいミラとポールからは、二人を結び付けた『バイオハザード』シリーズへの愛が感じられた。撮影現場には娘のエバーちゃんもいつもいるそうで、もはや本作は、ファミリーにとってのライフワークになっているもよう。ミラも娘について「ゾンビのやっつけ方も習得しているのよ」と笑顔を浮かべていた。ちなみに、でんぐり返しをしながら敵(スタントマン)をやっつけるキュートなエバーちゃんの動画は、ミラのツイッターなどでも公開中。『バイオハザード』シリーズの次世代ヒロインは、この娘に決定かも?
映画『バイオハザードV:リトリビューション』は全国公開中